第1部「佐伯ちゃんの同級生」

第一章「好きです」

第1話「始まる?」

桜舞う4月、ちょっと大きめの制服を着て家を出る。明るい茶色の長い髪を揺らし女の子が1人…。


「ちょっと陽花はるか!待ちなさいよ!私達をおいていくつもり!?」


後ろから甲高い声が聞こえる。陽花が後ろを振り返ると2人の少女と少年が立っていた。


「やっと止まった…無視して先進むんじゃないわよ」

「別に先行ってもいいけど。玲愛を置いていけば、走って陽花に追いつくしな」

「私置いてかれるの!?」


このコントをしている2人は私、佐伯陽花さえきはるかの幼なじみだ。女の子の方は木野玲愛きのれいあ。青い髪に長いサイドテール。怒りっぽいけど優しい子だ。

男の子の方は増田里緒ますだりお。サッカー部のエースで足が速いけど背が伸びないことに悩んでいる…らしい。口が悪いのに女子に人気だ。


「玲愛姉。里緒兄。コントしてないで速く行こう?入学式から遅刻する気なの?」

式は8時から始まるらしい。陽花たちの家から学校まではバスでも30分くらいかかるので早めに家を出なければいけなかった。


「はっ!!そうだ!急がないと!」

「お前ら早起きして早く家出ろよ…」

「うっさい。玲愛姉はともかく私は昨日は深夜までアニメ見てたの。」

「はいはい。そーかよ」


こんなくだらない話をしながらバス停までの道のりを歩く。今日は入学式。私は早歩きで横断歩道を渡る。

いい出会いがあると願いながら…。

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