第11話 -ぴしぴしパリン-

馬車が来るまでの間、先程獲得したスキルを確認していこうかな。


えっと、鑑定を使用して…あったあった、剛脚と旋風脚か…竜巻旋風脚っ!とかやれないのかな


で?えーと剛脚に意識を向ければいいんだっけ―――

《剛脚:パッシブスキル。自身の脚部を大幅に強化する。それにより攻撃力、防御力ともに上昇する。》


へぇ、常時発動型で強化スキルか。旋風脚のほうはっと…

《旋風脚:嵐闘流武術の蹴り技の基本スキル。自身の体を軸に沿って回し相手を蹴る。遠心力により威力が増す。》


おー、思ったよりちゃんとしてるな。嵐闘流か…武術の流派の一つかな?元の世界では空手をやっていたけどそのせいもあるのかもな。


『でもいあるはやっぱりすごいね。この世界にまだ馴染んでいないのにそんなに強いなんて。』

ん?馴染んでいない?

(馴染んでないってどういうことだ?)


『あ、えっとね、前の世界で持っていた力がまだこっちに移行されてない感じ?ラグ…てきな。まぁ人間離れしたいあるだからこそなんだけど。能力とかはスキルでいい感じになると思うから安心してね!』


ふぅん、じゃぁのんびり待ってればそのうちついてくるか。


とそんな会話をしていると急に目の前の空間が歪んだ。いや、冗談じゃなくてマジで。空間を手でつかんでひねった感じ。

「なぁ。ゼイル。目の前ぐにゃってなってるけど大丈夫なん?これ?」

「んだよイアル?めまいかなんかじゃないか?」

とこっちを見さえせず寝っ転がったままのゼイル。…股間踏みつぶしてやろうかな。


「いいから見てみって、びっくりするから。」

「ちっ、せっかくいい気分でダラダラしてたのに…ってあぁ!?なんだこれ!?てめっイアル!またなんかしたのか!?」

ゼイルからの信頼がなさ過ぎてつらい…まぁ今日会ったばかりだしな。


「むむっ!この歪みは…人族の神の使徒様が地上に権限なされるときにあらわれるという歪みに酷似している!みなっ離れよ!」

いやいやいや、聖職者風のおっさんよ、いくらなんでもそりゃねぇだろ。てか困るよ?もしそうだったら俺もろ敵じゃん。勝てる気しねぇよ。


(ちょっといある!?なんで光神の使徒の反応がそこに出てるの!?しかもこの魔力は…まさか!)

え、なに、怖いんだけど。なんでそこでとめたの!?気になるじゃん!?


と────

歪みを中心に空間がひび割れていく。ひび割れはまるで蜘蛛の巣のように広がっていく。そして──


パリンっ、という音とともに空間が割れ、その中から一人の青年が出てきた。


金髪碧眼のイケメン天使だ。なんで天使ってわかるかって?だってまるで白鳥のような翼がついてるもん。馬鹿でもわかる。

そいつは「割れ目」から降り立つと、優しく微笑みその口を開き──


「おいこらテメェ、何暗黒神の気配漂わせてんだァ?あァ!?おかげで俺様がわざわざ出てこなきゃいけなくなっただろうが!ふざけてんじゃねぇぞクソガキァ!」


えぇぇぇぇぇ、口悪っ


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いある君過去譚5

幼い時に両親を神話生物に殺されてマフィアに拾われる。

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