帰る場所
帰りの船は寂しさと希望を連れて進んだ。
思い出話に花を咲かせ、これからについて馬鹿みたいに真面目に考えた。
悲しいくらいに青い空。
そこにはいつまでも白い月が上がっていた。
形はどんどん薄くなっていった。
だんだんサイールの大陸が見えてくる。
もう、悲しむ時も、思い出に浸る時も
終わる。
「後、もう一日でつく。」
「そうか。」
黙っていても波はこの船を進めて行く。
帰りなさい
そう言うように。
愛した人は水底に居る。
だから寂しくなったら、
愛おしくなったら
会いたくなったら
海に行けばいい。
そんな話をした。
陽は昇る
照らし出される海鳥。
街の人々は
船に乗る船員たちを見つけみな歓喜した。
”人”が初めて帰ってきたのだ。
王は娘の帰りに驚いていた。
息子の姿に顔を青くした。
「おま、えたち。」
2人は怪しく輝くアメジストのように笑って、
「お城て沢山お話しましょうね。」
と言った。
海鳥の皆は、ほんの少しだけ集まって隊員達だけにしか聞こえない声で肩を組み合い丸くなり話した。
「頑張ろう。そして、また会おう。」
5人は別の場所へ、帰った。
サイール大国中央マリン広場にて。
「な、なぁ。俺、お前らの父さんなんだぞ。」
鎖に繋がれた元王。
国民の皆は花をまき散らし祝福する。
「新しき王、アトランティス様!」
「早くそいつを殺ってくれ!!」
元王はアルテミスにも泣きつく
「う、美しくなったな!そうだ!ドレスを…」
「要らない。あなたの首以外。」
冷ややかな娘の目に元王は凍りついた。
「アルテ、血飛沫がかかるよ、此方においで。」
「はい、お兄様!」
新しき王は元王に向かって剣を振り落とした
孤児院、または修道院、または組織。
「何故役目をほっぽって!!」
「俺は、あなた達の元に従っていない!」
青髪の戦士は組織に立ち向かった。
「俺は、昔からオーシャンに、海に忠誠を誓ったんだ!!」
元々能力だった水を出す力、チョップビームにより組織のものを地獄に叩き落とした。
終わった時、海を見て何を思ったかは、書かなくてもわかるだろう。
ザハール王国ペルラ亭にて
「おまえ!その汚らわしい目はなんだ!」
「汚らわしい?これは愛の証であり涙の証である。」
黒き純潔の、マルガリータは偽物の愛を送ったものに呪いをかけた。
その呪いはもちろん白蝶譲りの強力なものだ。
「二度と涙を出せぬ愛せぬものになれ!」
そういい、ペルラ亭を飛び出し目指すはザハール王国中央シャークの城であった。
あの兄妹が待っている。
ムール帝国オホーツク城にて。
「……‼」
「ただ今帰りました母上。」
窶れた母親。
あぁ、また会えてよかった。
「アルファ…アルファ!!」
母親の愛を大きくなった体で受け止める。
「母上。すみませんがまた少しこの国を離れます」
「今度は…何処へ?」
涙を落とす母親にハンカチを取り出して言う。
「僕は2年間の間で、大切な人ができたんです。迎えに、行きたいのです。」
すると母上は心底幸せそうな顔をした。
「今度は、すぐ、帰ってくるんだよ。」
「はい。」
母親の愛ほど心地の良いものは無い。
クリスタル島にて。
「お父さん、これ。」
「…あぁ、ベータ…。」
美しい娘に仕上げてくれた父さんは髪留めを見せると大泣きした。
「帰ってこいって、言ったのに……」
「お父さん、あのね、彼は海になったんだよ。だから、いつかここの島に帰ってくるよ!」
そういった時に、扉は開かれた。
「お父さん。」
「アルファか、…おかえり。」
やせ細った父親の姿に2人は目を合わせた。
「…お父さんも、来て下さい。」
「いいや。俺はここで、あいつの帰りを待つよ。」
そう言って彼は展望台に登ってしまった。
「…結婚、おめでとう。」
そう聞こえたのは間違いなんかじゃない。
皆、帰った。
地上に帰った。
たまに酒を交わしながら
話す。
あぁ。
もう、終わりか。
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