α β γ それと鬼

「…データベース問題ナシ。記憶装置問題ナシ。……龍、復活します。」

自分の体は治った。

ラニアは?

「ラニアならもういないよ」

「…ブラック!」

怖い。また切られる?

「警戒しなくていいよ。ところで弟知らない?」

「先程までショートしてたので知りません。」

あっそうと言う。

「ブラックは、ホワイトのこと好き?」

「え、まあ。」

「ホントに?」

「…」

黒い髪はピクリともせず紫の目だけが僕をなでるように見た。

「何疑ってんのか知らないけどそんなに警戒しないでよ。それに今弟の愛情確認?バカバカしい。」

「そう。ところでアルファとガンマ見なかった?」

今度は片目の髪の毛をはらって両方の目でこちらを見た。

「ロボだから効かないよ。洗脳は。」

「ちっ。」

薄紫の目がこちら見つめてくる

「ほんとつまらない人だね。まぁいい。ホワイトを見つけたらすぐ呼んでくれたまえ」

「…そう。」

すたすたとブラックは去っていった。

自分もブラックとは逆の方向に歩いていった。







「オルカでいいんだよな?」

「はい。船長。」

デッキの外はとても寒い。

「船長。なぜ外に?」

「なんでだと思う?」

海を背にたつその人は月光により顔がよく見えない。

「また戦うのですか?」

「いいや。まぁ、信じていてほしいんだ。必ず帰るって。」

優しい笑顔をしている気がした。

そしてそのまま船長は海に落ちていった。

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