第10話美しく荒れた綺麗な海

「今日から、新しい仲間が加わります!ほら、自己紹介して」

「わた、いや、僕の名前はクラブです、よろしくお願いします。」

「それじゃあ海くんとジャックくん。案内お願いね」

「分かりました!先生。」

二人を見た時、最初は少し警戒した。

いつ僕が人創人間だとバレるか不安だった。

それでも、海くんとジャックくんは笑顔で話してくれた。

「クラブくんは、親の顔覚えてる?」

「ううん知らない。海くんは覚えてるの?」

「僕も知らない。今ここでは海って呼ばれてるけど、本当は実の名前もわからないんだ。」

寂しそうに海君が言った。

「ここにいる奴らはみんな親のこと知らないんだ。本来なら僕達が親みたいにしてやんないといけないんだけどね。」

「先生は?」

「あの人たちはただの監視官だよ。僕らが逃げないように見張ってんだ。」

「ジャックくん、それはどうゆうこと?」

「まあ、次第にわかるよ、はい。ここが僕達三人の部屋。」

案内された場所があの薄暗い地下ではなくとても明るい優しい部屋で安心した。

翌日から、海くんだけがよく呼び出されていた。それと同様にジャックと僕でいろんなことを勉強した。

そこで僕とジャックは本当のことを教えて貰った。

僕の名前は蒼氷で、ジャックの本当の名前は織佳。

僕らはザハール王国側の人で月下人という特殊な人間。

将来海鳥に乗りサイール大国にいるセイレーンという両国が仲の良い時にできた王家の姫をザハール王国側に連れてゆくこと。

僕らの他にも同じような人がいること。

海くんだけは、本当に名前がなかったこと。

いろんなことを知ってしまった。

そしてぼくらが18の時に海くんが、海鳥28代目船長になることになった。

海くんは、その日ずっと泣いてた。

僕らをただ抱きしめて。

「お前らのこと、俺、守れんのかな。」

そう何度も繰り返していた。

織佳は、副船長僕は大佐として海くんのことを支えることになった。


何今更思い出してんだろう。そうこうしてるうちにセイの、近くに来ていた。

分厚い扉を叩く。

ここにはベータとセイがいる。

そうだったはずなのに

開いた扉の先には

「ガンマ…。」

不死身の…

「アル…ファ!」

今この空間にいるのは人間一人、 ロボット1台、人造人間一人、改造人間一人。

全く関係無く終われると思ったのに…。

アルファ、ベータ、ガンマ。

皐月、龍、蒼氷じゃない。

これが僕らの本当の名前。

ただの機械に付けられた名前。

アルファは、元の姿に戻っていた。


その頃僕らの上では…



「ジャック!どうしてこんなことを……!」

「ごめんなさい船長。諦めてこちらに来てください!」

共に剣をぶつけ続ける。

「一緒に帰るんじゃないのかよ!」

「ええ、ザハール王国に帰りましょうね。」

オーシャンの剣が飛んだ

織佳が嬉しそうに追い詰めてゆく。

「自分は、昔から船長のこと大好きなんですよ。あははは、恐怖に怯えたその顔も可愛いですねぇ。」

「怖ぇよ。普通に怖ぇよ。今なら美海の気持ちめっちゃわかる。」

「無駄な抵抗しないでください。傷つけてほしいんですか?」

オーシャンが、織佳の胸に蹴りを入れ、剣を取り直す。

あーあ。船が凸凹になっちゃった。

そろそろ僕も動かないとねぇ。

セイレーン姉様。

身体、借りるね。




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