第2話明るい未来を胸に進め!

「船長、娘が捕まったようです。」

「そうか。」

「やはり、強制的に血を吸って連れてきた様子です」

零の仕業か。

「そうか…」

トラップが動けばだいぶ良かったんだが…

「今、女は何処にいる。」

「地下牢にいます。食事を与えても食べていない様子です」

「やはりそうか。」

女はこういう空気が苦手だからな。

「女の様子を見てくる。……ラーズに甘い物作るように言っておいてくれ。」

ラーズはこの船で料理を作ってくれる。

見た目は男、中身は女。

あの女の話し相手には持ってこいだ。

そう思いながら下に行った。




「おい女。」

声をかけると赤く目を腫らした顔が見えた。

「誰ですか?」

こえが震えている。

「ん?あぁ俺か。俺は28代目海鳥船長オーシャンだ。」

「船長……?」

不安そうな顔だな。

「俺が怖いか、女。」

「い…いえ、そうではなくてあの……」

「なんだ?」

「私より歳上なのに、何だか子供っぽいので、船とか運転できるのかな、っておもっただけです。」

ブフォっという笑い声が至る所から聞こえてきた。

「美海ちゃんナイス!」

監視のクラブが言った。

「美海さん……ククッ」

クラブの付き添いのべータが笑いながら言った。

「お前ら、笑うなっクッ」

俺の右腕のジャックまで笑った。

流石にムッときた。

「美海、ジャック、ベター、クラブ、そして影でコソコソ笑ってる零とトラップ、あと逃げようとしてるホワイトとブラックと笑ってご飯落したラーズと皐月!飯抜き!」

ええーっと言う声がめちゃくちゃした。

美海からもした。

美海がやっと笑った。

ここに居る船員達もほっとした顔をした。

「美海。」

「ふふっ、あっはい。」

「お前を売るようなことはしない。お前らを沈めもしない。俺達は、みんなで帰る。決して一人も死なせない。だから」

美海に手を差し出す。

「来い、美海。」

美海は静かに手を握った。

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