番外.王国の周辺事情
トーラム王国の属している大陸…ライベルト大陸には他に5つの国が存在している。
トーラム王国の東側、小高い丘を越え、森を迂回するルートを通ると見えてくるアウィーナ国。周辺の山から鉄などの上質な鉱物が集まるため商人や鍛冶職人が多く、鍛治専門のギルド等が存在している。
トーラム王国から南側、アウィーナ国周辺の山の水が大河を形成し海に流れ出る。海の名はハルマ海。豊富な漁獲量の恩恵は主にナルタル国が受け、輸出による収入で賄っている。
トーラム王国から西側、迷いの森と呼ばれるイリュマリウスの森を抜けた先にある魔術国家、マルク皇国がある。マルク皇国は魔術学園があるほどに魔法が進歩していて、魔術兵器があるとの噂もある。
トーラム王国から北側、ジン山脈を越えた先にあるルーシア国。そこには身を鍛えるために集まる武闘家が多く、イルマ大僧正を中心とした僧侶ギルドがある。主な収入源は魔物退治や僧侶を目指す人の寺院による公益収入などが挙げられる。
今あげた国は比較的トーラム王国と友好関係がありお互いに輸出入だったり、ギルドの支部が作られたりしていて、友好関係が見られる。しかし、もう一つの国は違っていた。
ナルタ国を経由し、ハルマ海を出た先の島国……それがオスレリア帝国。幾度となくナルタ国への侵略及び、トーラム王国を中心とした国へ戦争を仕掛けてきた歴史がある。魔術原子炉を用いた飛空挺、索敵を行う魔導兵器や運搬を担う戦艦など特殊な文化や工業が発達してきた。
しかし、国家間の連合軍を組むことで互角に対峙することが出来た。トーラム王国建国から200年ほど、今から3世紀も前の話だ。今は戦火を起こすことは無いが、緊張状態は保たれている。と言うのも、調査と称して小隊を組んで索敵を行っているからだ。現状、危害は無いがそれでも民は不安に思うところがある。
人と魔物、人と人、国と国。平和の水面下で今の尚くすぶる火種は鎮火することはないのかもしれない───。
『ライベルト大陸の歴史より抜粋』
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