三食目
「ただいまー」
お腹すいたな、ぎゅーとお腹が鳴っている。
私は部屋に行くと、タンスの中からお菓子を出して食べながら夕の帰りを待っていた。
数時間して、タンスの中は空になってしまった。
私は少しいっぱいになったおなかを擦った後お菓子のごみを片付けた。
まつこと数分、夕は帰ってきた。
「ただいま」
軽く言った後、私にすぐ夕飯作るからと言って台所に行った。
「……暇だなぁ…」
買いたてのスマートフォンを眺めていると
こんな記事があった。
「痩せるひと急増……」
その中の1人が私なんだと思う。
ただ、私はこの人たちとは違う筈だと思う。
だって私は、お腹を膨らませたい。
「夕飯出来たぞ」
そう言われてから私はスマホをポッケに
入れて、夕飯を食べに行った。
「珍しいな、愛咲がスマホ持ってくるなんて」
「としごろだから?」
「意味わかんないで使ってるだろ…まあいいや、早く食えよ、好きだろ?ギョウザ」
「うん!」
私は自分の席に座ってギョウザを醤油につけて、一口で食べた。
熱かったけど美味しかった。
はふっと息を出すと夕が私を見てることに気付いて、ギョウザを、飲み込んでから言った
「夕は食べないの?」
「俺は自分の分取っといたし、食えよ、俺は良いから」
明るく夕は笑う。
本当に良いのかな。
モグモグモグモグモグモグ。
味噌汁、ご飯、ギョウザ、野菜
全部食べ終わった。
美味しかった。
「ごちそうさまでした」
私はその後、お風呂を終えた後、時間があったのでスマホでアプリをいれてみた。
それはゾンビ?を殺すゲーム。
ゲーム説明をちゃんと読んで、遊んでいたら途中でゾンビに食べられてしまった。
「……これでゾンビはお腹いっぱいになるのかな」
そう呟く。
だって、もしお腹がいっぱいになるんなら
私だって、人間を食べれば、お腹いっぱいに
なるはずだから。
「……」
私が、私が何を食べてもお腹が膨らまないのは、そういう理由なのかもしれない。
そういうなら、私は
人を食べれば、お腹が膨らむの?
訳がわからなくて混乱した頭の中。
頭の隅っこで、ひとってどんな味がするんだろう、と、思ってしまう私がいたことに
私は、期待を覚えてしまったんだ
このまんま、夕の作るご飯を食べ続けて本当に
お腹は膨らむの?
きっと、いえ絶対に膨らまない。
そんなのは嫌だ、嫌だ。
そう、頭で考えながら私は眠りについた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます