甘い話には罠がある
「よう、あずさ。どうする? ナナミって奴との戦い。ずっと引き分けじゃねーか」
「うん・・・・だって。やっぱ倒せないよ」
その言葉にマンガのページをめくる手がとまった。
その後、私とナナミは二度戦って、お互いに決定打に欠けるままタイムオーバーで引き分けになっていた。
決定打に欠けるというのは正しくなくて、本当はあずさが逃げ回ってるからである。
その間に向こうは量子魔法を消耗して結界が蒸発しタイムオーバーになってしまう。
「まぁ、しょうがないわな。調べてみたけどお前の戦闘系アクセッサ、インストール失敗してるしな」
「インストール? 失敗??」
「ああ、一度起動したら再インストールはできねぇ。どこまで入ったかわかんねーけど、多分お前は量子魔法結果を張れねーんじゃねーかな」
「?? 分かるように教えてよ」
本当にさっぱり分からない。背もたれ代わりにしていたベッドから身をおこして真剣に考えてみるが、ただ眉が寄るばかりだ。
「めんどくせぇなぁ。お前は量子魔法で戦えねーってこどだよ。ナナミは思うだけで量子魔法が使えるが、お前はできない」
「・・・・それって」
「ドラクエでいうと、MPはあるけど攻撃魔法覚えてましぇん、てことだ」
「ごめん、うーちゃん。私ドラクエって知らない」
「ひょほー、なんて言う事でしょう。あの超有名なゲームがっ。遂に来たかドラクエを知らない世代が。じゃパズドラでもいいぜ」
「それもやったことないんだけど・・・・」
「はぁ~いい。もういいです! ゲームやらない人とは話したくありません」
「なによ! あんなの子供の遊びじゃない!」
「違う! 子供の遊びじゃない! 男のたしなみさ」
「男の子っていっつもそう。バカなことばっかりして」
「うっせー! キャプテンハーロックとロッキーを見てから男を語れってんだ! 違う違う。そんなことはどうでもいいんだ。量子魔法ゲートが開けるくらいだからお前のMPキャパはずば抜けてあるんだが、量子魔法が使えないんじゃ戦いようがねーって話だ」
「なんだかわかんないけど、私がのせいかな」
自室のキルトの敷物の上にペタンと女の子座りし、申し訳なさそうに話す姿が少々痛々しい。たとえそれがウマ相手であっても。
「お前のせいじゃねーよ。さてどうすっかな。色々試してみるか。もしかしたら今は引き出せない領域に量子魔法の知識が入ってるかもしんねーし」
「どうやって?」
「お前の量子魔法は確率変動のきっかけを何か食べることにフックさせてる。だから食えば変身しなくてもある程度の量子魔法が使える。前も言ったよな」
『あれ? そんなこと言ってたっけ? 全然覚えてないけど、ここで知らないと言ったらまた、うーちゃんにバカにされそう。適当に返事しとけ』
「うん、なんか言ってた気がする」
「大人の言うことは覚えておけって。変身は確率変動を極大にするために必要なだけで、量子魔法の転換効率を気にしないなら変身なんかする必要はねーんだ」
「うーん、そう・・・・だね」
「分かってねーだろ」
「う・・・・ううん、そんなことないよ」
「いや、分かってない返事だった」
「えーと・・・・とにかく何か食べれば変身しなくてもバキバキ量子魔法が使えるんでしょ」
「まぁ当たりじゃないが間違いではない」
「違うの?」
「起こしたい変化に関連したものを食べる必要があるんだ。転換効率が悪いっていったろ」
よくわからない様子が伝わったのだろう、ウマは軽い溜息をついて、ならばと実際に体験してみることを促した。
ついと落とした視線の先には木製の菓子鉢。
「たとえば・・・・そこに横綱っていう菓子があるだろ」
「うん」
「それを食って、横綱から連想できることをイメージしてみろ」
「そんな、ダジャレみたいな魔法少女って・・・・」
「いいから食え! 下手な考え休むに似たりだ」
「う、うん」
促されるままに、菓子鉢に入ったおかきをポイと口に放り込む。そして目を閉じて念じてみる。
「横綱、横綱・・・・」
念が強まるにつれて人の耳には聞こえない音が奔流となってあずさの周りを取り囲む。といっても音は聞こえないので気配が変わるだけなのだが。
それが次第に収まりあずさの中に収束していった。軽い衝撃が体の中から発せられる。
「いいぜ。もう発動してるはずだ」
「え、ほんと? 全然、変わってないんだけど」
腕を捻って背中とか足元を見る。もちろんピンクのスーツになってるわけでもなく、体のどこかに異変があるわけでもない。ただ念じただけだからそう思えても無理はない。
「何を念じた?」
「横綱だから、強い押しかな」
「ああ、突っ張りか。じゃ、そこの柱を突いてみな」
「うん」
また促されるままに立ち上がり、軽い気持ちで掌底打ちで柱をトンと突いてみた。
ダーン!!!
「うわぁ!」
家が揺れた!
柱は手を突いた部分がうっすら凹み、あずさが立っていた足元のキルトは強い力で押されたように寄れて盛り上がっている。
手は・・・・手は全然痛くない。足も。
「ちょっと、あずさ。何やってるの! 家を壊さないでよ!!」
余りの轟音と震動に驚いたママが下で怒ってる。
「ごめん! ママちょっとムーンサルトの練習で」
「もうっ! 気をつけてやりなさいよ!」
信じた! 我が母親とはいえ人を疑うことを覚えて欲しいものだ。
あずさは自分の手をマジマジとみながら「すごい」と一言だけ嘆息を漏らした。
「どうだ、量子魔法が発動したようには思えなかったろ」
じっと手を見つめていた顔が、朝陽を浴びた花弁のようにみるみる色づく。
「すごいっ! ダジャレ魔法少女、スゴすぎる!」
「ダジャレ魔法少女って、お前、量子魔法を林家木久蔵かなんかと勘違いしてるだろ」
「失礼だなぁ。木久蔵じゃなくて木久扇だよ」
「そこにツッコむか! そんなの気にする小学生がドコにいるんだよ!」
「ここにいるじゃん!」
「お前は落語協会の回し者か、それとも三人目のナイツか?」
「お師匠から頂いた名前は大事なんだよ、それにうーちゃん、ナイツは漫才協会ですー」
「・・・・こういうちっこい量子魔法を使ってるうちに、なんか思い出すんじゃねーの。まぁ何もやらねーよりはいいだろ」
「ごまかしたでしょ、いま」
「ごまかしてない!」
「ま、いいけどね。ところで、これって他にもできるの? 例えば体じゃなくてアタマが良くなるとか。相手が考えてることが分かるとか」
「まぁ、できなくねーな。あとはお前の念じる力次第だ」
あずさの顔がぱぁ~と明るくなる。
『ふふふ、これで勉強しなくてもいい点とれるかも! そうだ翔くんの好きな子もわかっちゃうかも。でへ~困っちゃうなぁ~』
「おい、おい、おいって! なにぼへーって『魚心くん』みてーな顔してんだよ」
「はっ! してないよ! ぜんぜん!」
「なんか思い出したら教えてくれや」
「うん、うーちゃん」
これはいいことを教えてもらった。初めて魔法少女になって良かったことかもしれない。
ここまで散々だったもんなぁ。
いきなり3日分のご飯食べさせられて2キロも太っちゃうし。うーちゃんに泣かされるし、しかもナナミには会うたびポンコツ扱いされて肉体的にも精神的にもボロボロだったし。
さって、どうしますかね~。
翌日の学校。
「あずりーん、今日の国語のテスト勉強してきた?」
あずりんって私のあだ名だ。そう呼びかけてきたのはクラスメイトの『りんちゃん』。幼稚園から一緒の仲良しだ。
「全然~。でもバッチリだよ」
「おー、あずりんのくせに珍しいじゃない。なにその自信は。私に黙って密かに勉強してきやがったな」
りんちゃんが細いくせに力強い腕で、私の脇腹をグリグリ小突く。
「いや、勉強はしてないけど、今回は自信があるのさ」
「なにそれー」
横に座る『まおちん』も入ってきた。まおちんはお淑やか(おしとやか)な女の子女の子って感じの子。髪もふわふわーとしててお人形さんみたい。男子ってこういう子が好きなんだろうな。
「まおちん。まぁ見てて。今回は満点とっちゃうよ」
「あずさちゃん、すごいねー」
なんて話していると先生が入ってきた。
「よーし、今日は昨日言った通り漢字のテストをするぞ。これが書けないと恥ずかしい漢字ばっかりだ。頑張れよ」
「はーい」なんとなく低めの不満げな返事がクラスから返ってくる。
テスト用紙が前に座るりんちゃんから送られてきた、それを受け取りながら問題を見る。
「わらう、きせつ、まご、やしなう・・・・」
う、全然分かんない。まごって子へんに何んかぐちゃぐちゃって感じだった気がするけど・・・・。
でも大丈夫。
そのための魔法少女よ!
そっと引き出しにある二つの食べ物を確認する。一つは
この二つを交互に食べれば、漢字が分かるよーかん、よかん、予感が働く!
そして私が羊羹を食べながらテストを受けてることは、茗荷パワーでみんな忘れちゃうって寸法!
※本当に茗荷で忘れる訳ではありません。仏説で自分の名前すら忘れてしまうチューラパンタにお釈迦様が名札(茗荷)をかけてやったことから言われる俗説です。なおチューラパンタカは他の弟子に先んじて悟りを得たとさ。
いざ来い! テスト! 輝く未来に向けて、Go away!
「はい、はじめー」
みんなが鉛筆を走らせるコツコツという音がクラスに響く。
よし私も。
「わらう」「わらう」。これはギリギリ書けそう。「笑う」だったよね。
次は、「きせつ」
どうだったっけ? ダメだ木しか出てこない。絶対違うわ。いきなり羊羹か。まぁここで一度試しておこうっと。
引き出しから1本まるごとの羊羹を取だし、端っこをカプっとかじる。そして念じる。
「予感来い、予感来い!」
幸い私の席は窓側の一番後ろなので、食べているのはあまり目立たないが、横に座っているまおちんが何してんの? って顔して私を見てる。
いいのだ。私には茗荷がある。
「来た!」
「季節」「季節だ!」
量子魔法スゲー! 本当に予感来たよ! よしこれさえあれば本当に100点取れちゃうよ!!
そうそう、まおちんが先生を呼ぶ前に茗荷食べなきゃ。さくっと茗荷をかじりまた念じる。
「忘れろ、今見た景色を忘れろ!」
するとまおちんは、一瞬ぽーっとした表情を浮かべ・・・・はっと我に返りまたテスト用紙に向き合った。
「成功、成功、ムフッ」
よしじゃ次の問題だ。「まご」か。なんかごちゃごちゃっとしてるヤツ。
・・・・あれ、予感が来ないなぁ。茗荷でリセットされちゃった?
しょうがない。もう一度、羊羹をかじってと。
また、まおちんがこっちを見てる。そりゃそうだ。テスト中に何で羊羹食べてるんだって普通思うよね。
「来た! 孫」
ととと、なんかまおちんがそわそわ前を見てる。いそいで茗荷を。
なんて調子でテストをやっていくんだけど、今回テスト多くない? 50問って!
・・・・
えー、いま44問目。もう40口も羊羹食べてるんですけど。お腹がちょー苦しいです。
私バカかも。テストで羊羹食べるって分かってたのに、なんで給食おなか一杯食べてんのよ。
しかも、この25センチもある羊羹を二本も食べる程、漢字が分からないなんて・・・・ほんとにバカ。
「げぷっ」
うっ! お腹いっぱいのあまり、クラスに聞こえるような音でゲップをしてしまった。急いで口に手を当てるも手遅れ。みんな私の方を振りかえる。
『ちょー、恥ずかしいっ』
恥かしさで顔が、いや耳まで真っ赤になっているのが分かる。
それよか、もう羊羹見たくない。これ意外に食べ続けられるもんじゃない。甘ったるくて胸やけが・・・・。
しかも、あの太っくて重いのが私の体の中に二つも入ってるんだもん。
そりゃお腹もパンパンに。
制服の下に風船でも入れたようにお腹が膨らんでる。スカートも手が入らないくらいビチビチだ。でもスカートを緩めるわけにはいかない。だってバレちゃうから。
左手でお腹をさすってみると丸々とした感触が手に残る。それが胸の下から下っ腹まで。
軽く押してみると随分固くパッツンパッツンになってい・・・・。
うっ、なんか急に上がってきた。気持ち悪るっ。
急いで口に手を当ててふさぐ。
それを、まおちんが見ていた。
「先生! あずさちゃんが具合が悪そうなんです」
まおちん・・・・ありがとう。私、確かにいま具合悪くて吐きそう。けど、このお腹を皆に晒せというの・・・・でも、このままだとココで吐いちゃう。
どっちもダメ!
先生が前からくる。
「御子柴、どうした? 具合が悪いのか? 保健室にいくか。連れて行くぞ」
先生、来ないで!
「お前らはテストの続きをしてろ! 俺は御子柴を保健室に連れて行くから。カンニングとかするんじゃないぞ」
来ないで!! でも吐きたくない!!
刹那
何か音圧のような気配が辺りを支配する。
・・・・あれ先生が戻っていく。吐き気もウソみたいにない。何、どうしたの?
「大丈夫? あずさちゃん」
まおちんが心配そうに眉を落として声をかけてくれる。
「だ、大丈夫。なんか一瞬気持ち悪くなったんだけど、いま全然平気だから。ありがとう心配してくれて」
そう言ってまおちんの方を振り向き、軽くガッツポーズをして元気さをアピールした。
だが、急に元気になるとは思えないまおちんは、なお心配をして聞いてくる。
「でも、あずさちゃん、何かおなか凄くない?」
はっ! すっかり元気になって胸やけもまるでなくなっちゃったから忘れてたけど、この腹がへっこんだ訳じゃないんだ。
視線を下に落とすと、ブラウス越しの丸々としたお腹が制服のボレロを押し分けるほどに存在を主張している。自分でも不自然だと思うんだ、まおちんがみたらどうしたって思うに違いない。
それにウチのボレロって下が留まってないから、お腹が出っ張ると超目立つんだ。
「あわわ、これは、その、あの」
「それと、口になんか黒いのついてるんだけど」
「え、え、何かなぁ~。お昼についちゃったのかなぁ~」
ごまかしきれず、すごい高い変な声が出ちゃった。それを聞いてまたクラスのみんながこっちを見る。
ダメだ、もうごまかしきれない。しょうがない茗荷パワーでみんなには忘れてもらうしか。
引き出しをごそごそ探るが・・・・あれ? もう茗荷がない・・・・かも。
まじー、まじですか!! どうすんのこの局面! このぽて腹を男子にも見られるの? ていうかテスト中に羊羹食べてる女子ってことで、学校中の噂になったら生きていけないよ~。
「あと3分だと、テストに集中しろ!」
先生の声にクラスの子はザワザワと前を向くが、考えてみればテストが終わった後のことを、まったく考えてなかった。
食べた分だけお腹も膨らむんだから、それをごまかすことを考えなきゃいけなかったんだ。
あと3分後には、みんなに私の姿をみられちゃうよー。
あーもう、どうしたら・・・・とりあえず口についた羊羹を食べとく。
その時、ふっと予感が閃いた。
そういえば、お昼に食べたの「
よし、結果は分かんないけどやってみよう。
ダメ元で、目をつむり強く念じる。
「消化しちゃ、食べたもの全部消化しちゃえ・・・・」
するとあら不思議。あのパンパンだったお腹がスーと楽になって。みるみるペタンコになっていく。
キツキツで指も入らなかったスカートも、今はふんわりと胴回りを押さえているのみ。
見た目にもおなかすっきり、なんかダイエットのテレビCMみたいに一瞬で別人のスタイルになってるし!!
「終了! よし後ろから回答を集めろ」
先生の声と同時に、就業のベルが鳴る。同時にまおちんが駆け寄っててきた。
「あずさちゃん大丈夫。おなか」
「え、なんのこと?」
「だって・・・・あれー? さっきまでおなかが凄かったように見えたけど」
「気のせーだよ、あは、あは。なんかこの服、おっきいからそう見えちゃったんじゃないかな~。それより、まおちん、りんちゃん5時間目も終わったし帰ろうよ」
不自然かもしれないけど、ここは白をきって誤魔化しきろう。
「う、うん」
「あずりん、テストどうだった? 自信のほどを聞かせて・・・・ん? なんか、あずりん太ってね?」
「えっ?」
「だよね、りんちゃん。やっぱあずさちゃん、なんか変だよね」
がーん! 太ってる? そうか羊羹! 羊羹消化しちゃったから太っちゃったんだ。
せっかく、がんばって2キロ減らしたのに、また・・・・。
りんはあずさの肩や二の腕を遠慮なくぱふぱふ叩いて、その感じを確認する。
まおも普段ならそんなことしないのに、そーとあずさの背中に手をのばしてなでなでし始める。
「二人とも、そんなに真剣に私を触らなくても・・・・」
「なんか、背中がおっきくなってみえるよ」
「みえるっていうか・・・・朝より確実に太ってね? あずりん」
左様です。太ってると思うよ。間違いなく・・・・。
「はは、はは、はは、ちょっとね・・・・」
がっくり肩を落として二人に答える。
「ごめんね、あずさちゃん、わたし太ったなんて言って・・・・」
まおちん、優しい子。その優しさが今私を傷つけてるのよ。もう森へお帰り。
「ううん、いいんだよ。身から出たサビってやつ」
心配というかするまおちんと、私をイジリまくるりんちゃんとトボトボ家に帰る。テストの点数の代りに得た代償はあまりに大きかった。
・・・・
「って、ことがあったんだよ。うーちゃん」
「それで二の腕がむっちりしてのか。おまえホントにバカだな。まずそんだけ食わないと分からんのもバカだが、その作戦の前後を考えてないのもバカだ。消化したら太るのも当たり前だろ。吸収しないで流れちゃえとか念じれいいものによ。本当にバカだなぁ~」
「う、うっ、そこまでバカバカいわなくても。もう十分知ってるよ」
「でも、ムチムチの魔法少女って案外人気出るかもしんねーぞ。タルドル的な」
うーちゃんががふわりと浮いて、私の二の腕をぽよぽよ押す。
「そんな人気なんていらないよっ。それに人気取りで太ったんじゃないんだから」
「だな、ナチュラルに太ったんだもんな」
「ちがうわ!! そのぽよぽよ押すのもやめぇ!! だいたい私は被害者なんだからね。うーちゃんのせいで」
「はぁ? 魔法少女を斡旋したのは俺だが、太れとは言ってねーし、テスト中に羊羮食えとも言ってねーぞ」
「だって、だって、だって誰かのせいにしないとやってけないんだもん~」
半べそをかいて、やり場のない思いに駄々をこねるあずさを、ウマはアホな子供の戯れと言わんばかりに適当にあしらう。
「はいはい。まぁその調子で量子魔法をガンガン使って、量子魔法を思い出してくれや」
「ぶー、人ごとだと思って! 魔法を使う度に何か食べてたら、魔法少女じゃなくて肥満少女になっちゃうよ。だいたい食べて魔法だなんて・・・・でも吐き気がなくなった時は、なにも食べてないのに量子魔法が発動したんだよ」
「あ? 食ってねーのに発動した?」
「ちょーヤバイ状況でね。『先生来るなって』強く念じたら」
「へぇー、よく分からんが、いろいろ身についてよかったな。主に肉が」
「いいわけないよ。お肉はいやー!!」
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