第12話 『創世こぼれ話』…?
さて――どこから説明したものか。
「結局な」
とりあえず、王様とユースの話は、あれからもうちょっと続いていた。
「竜がどうなったかなんてのは、どうでもいいんだよ。なんであれ今世界がヤバいのは変わんねえし、それがなんでかって言ったら魔王だ。なら――」
――俺が、責任取ればいいわけだろ?
ユースは当たり前のことのように口にした。
「責任を取る。どう取るつもりだ」
「魔王を倒す」
「調子に乗るな」
「じゃ、このまま見てるだけのつもりかよ」
「やるべきことをやれと言っている。国を守れと、おまえには言ったはずだ」
城壁の警備を任された、という感じのことを最初に言っていた。
それがユースの役目だと言っているのだろうが――当の本人は、これを鼻で笑う。
「守れって、守ろうと思えば守れるみたいな言い方すんなよな。ここがまだ残ってんのは魔王がまだ来てないからってだけの話で、矛先向いたら象と蟻だっての」
さっきから、ピリピリした会話が続く。
重苦しい空気を画面越しに感じて、『
「四国潰されたんだ。四つ持ってかれたってことだぜ」
「だからこそ、我々は最後の砦だ」
「そうそう最後の砦。だから、残ったふたつが間違っても失われることがないよーに、とっとと確保しなきゃなんない」
「……何をするつもりだ?」
「プロメテウスまで行って、キーストーンを回収してくる。――《プライマル・コード》を集めるんだ」
"プライマル・コード"の名を聞いたのは、このとき。
ユースの瞳に宿る強い意志の光と一緒に――僕はその名を、初めて知った。
「無理だ」
「何が?」
「四国、すでに滅ぼされたと言っただろう。六分の四だぞ。六分の四、魔王だ」
「親父よ、親父。さすがに親父ももう歳だからさ、そのあたりの勘鈍ってたって俺から文句は言えねえよ。でもな……」
実の親とはいえ王に向かって、ユースは不敵な笑みを浮かべる。
「魔王が四で、こっちが二。二対四なら不利は不利でも勝負の体くらいは成すぜ。試合を投げるほどじゃない」
「しかし……」
「現役の勝負勘を信じろって。それにな、残ってんのがどっかよその国なら、俺だってこんなこと言わねえよ」
「……」
「けど――
ここで、やや意味深な沈黙が生じた。
「コード:カイロスがこっちの手にある。なら勝ちの目は十分あるだろう」
ユースの言葉に、王は難しい表情を浮かべて黙り込む。
よくわからないが、ユースは魔王を倒す策を考えているようだ。それがどの程度信頼できるものか、王の反応だけではわからないけれど。
そう、王の反応だけではわからないので――僕は、隣を見る。
「あの……」
「……こほん」
かわいらしく咳払いをしたサレスは、両手を腰にやって胸を張り――
何かを思い出したかのように、ふと、冷たい目を僕に向けた。
「……なんか、わたしずっとこんな役回りな気がするけど」
「……恐れ入ります」
ともあれ、例によって説明である。
「さて、私は魔法使い。当然、いろんな
たとえば、とサレスの突き出した杖が、僕の胸板にそっと触れる。
「コード:フロート」
「おっ、……お、おお!?」
そこからガスでも注入されたかのように身体が宙に浮いた。
床から三十センチくらいのところでしばらくふわふわしていると――
「こういうことも、できる。……コード:ガスト」
サレスが床を杖でつつくと、部屋の中に強烈な風が吹いた。
扇風機とかそのレベルではなく、人が死ぬ規模の台風がこんな感じ。
息ができなくなってきたところで、ようやく床に下ろしてもらえた。
「で、他には……」
両手をついて息を切らす僕をサレスは満足げに見下ろして、それから杖の先で、僕の頬に触れた。
その杖がなんだか、頬を撫でまわすような、あやしい動きを見せたかと思うと――
「コード:チャーム」
視界いっぱいにピンク色の火花が散った。
――なんだか、頭がくらくらする。
そう思った次の瞬間、僕の身体はひとりでに動き――
サレスの目の前で膝をついていた。
「鏡よ鏡。世界で一番美しいものは、この私?」
「いいえ、違います!」
「では、それはなにか」
「貴女様の前にひざまずくことを許された我が身の栄誉、そして私ごときにそれをお許しになった大海のごとく広い心――それがこの世で最も尊く美しく光り輝くのであります!」
「よろしい。ではビクテム、手の甲にキスすることを許すと私が言ったら」
「――いけません。いけません! それでは世界一の美しさが、喜びが更新されてしまう! いや、いや、そんなことをしては私のこの身が尊さに耐え切れず――」
「うふふふふ。とまあ、こんなところ」
僕はこんなに口が回る人間だっただろうか。記憶はないけど違ったと思う。
耐え切れないと口では言いながら、けれど僕は言われるがままサレスの手を取っていた。というか普通にキスする五秒前だった。
杖の先端で側頭部をこつんと叩かれて、そこでようやく我に返る。
「……なんですか、今の」
「実例紹介」
「実例って、いや」
「大丈夫。魔法で手に入れた偽りの愛なんて、むなしいだけ。わかっている」
「だったら実演すんのやめてくださいよ」
「あとで話の種にするくらい」
「やめてくださいよ!」
いやらしい笑みを浮かべるサレスに言いたいことは山ほどあったが、けれど彼女はここから真面目な話と言わんばかりに杖を鳴らした。なので、僕もおとなしく聞くほかない。
「というように、この世界には様々な
今のみっつは、すべて魔法。けれど――
――《ガスト》と《チャーム》が、同じ魔法に見える?
「見えません」
「そう。これらは系統が違う」
火を出す魔法、風を出す魔法、空間転移、精神感応……
魔法には、さまざまな種類がある。それはもう数多く、本当にいろんな効果のものを取り揃えている。
それがなぜかというと――
「魔法とは、枝分かれしていくものだから」
らしい。
たとえば――
「『対象者の精神を破壊し、廃人にする』という魔法があったとする。精神に干渉する魔法」
「……はい」
「すると、その魔法を研究した魔法使いたちは、そこから派生して『強制的に自分と恋をさせる』とか『強い憎しみの感情を抱かせる』とか『今すぐ全裸になりたい気分にさせる』とか、そういう魔法を作り出すことができる」
「……」
「ちなみに、今やった《チャーム》の効果が『強制的に恋をさせる』」
「……まあ、それはわかりますけど……ってことは、その」
「なに」
「サレスさんは、……『今すぐ全裸になりたい気分』の魔法も、使えたり……」
「当然。使えない道理がない」
「……」
「……」
……たとえは物騒だが、そういうことらしい。
このあたりの設定は、たぶんエビルに聞いてもわかるだろう。つまり、最悪サレスの説明でわからなくても、あとでエビルに話してもらえば済む。
だから、あまり肩肘張って聞く必要はないだろうと、そう考えていたのだが……。
「さて。枝分かれして増えていくということは」
「増えていくということは?」
「系図を、逆にたどっていけば……そこには、『一番最初の魔法』があるはず」
「……」
なんとなく、察してしまった。
プライマル・コード、”primal”――
つまりは、そういうことだろう。
《コード:プロメテウス》、
《コード:キネシス》、
《コード:ワダツミ》、
《コード:ガイア》、
《コード:トポス》、
《コード:カイロス》――
「今あるすべての魔法は、元をたどればこの六つの魔法のどれかに必ず行き着くようになっている」
すべての魔法の起源である、この六つの魔法の総称が――
”原初の魔法”、プライマル・コード。そういうことになっているらしい。
だんだんと語りに熱が入ってきたサレスは、ずずいと僕に顔を近づけて言う。
「魔法使いたちは、今ある魔法を研究し、それで新しい魔法を作る。では、原初の魔法たるこのプライマル・コードは……誰の手によって作られた?」
「……」
「答えは、神。世界を創った神」
「……はい?」
吐息がかかるほどの距離、ささやくような声が耳をくすぐり、
――妖しい雰囲気を存分に感じていたのだが。
急に知り合いの話を出されて、一瞬変な声を出してしまった。
神。世界を創った神。と、いうのは、やはり――
……ごく自然に神のことをアレ扱いしてしまったので、たぶん僕にはそのうちバチが当たる。
「神は、自らの力――世界創造の力を、魔法という形にして。人間たちに与えた」
「……神の力、ですか……」
「六つのプライマル・コードをすべて習得した人間は、神にも等しい力を得る。そういうふうに伝えられている」
「……そういう言い伝えが残ってる、ってことは……」
「ことは?」
「全部使える人なんか、今までひとりもいなかった……って、ことじゃないですか?」
「当たり。これはほとんどおとぎ話」
さっきのはあくまでたとえ話だが、しかし『対象者を廃人にする』から派生した魔法が『恋をさせる』『憎しみの感情を抱かせる』『全裸』になるわけだ。
細く枝分かれした魔法より、派生元のほうが強い。源流に近づくほど強くなる。
プライマル・コードは源流そのもの。力のほどは、推して知るべし――
「つまり、習得するのも難しい。それはもう死ぬほど難しい。ひとつ使えればそれだけで伝説級の魔法使いだし、六つ全部使えた人間は、今のところひとりもいない」
「へえ……」
今のサレスの台詞。一か所だけ線を引くなら、どの単語か?
――六つ全部使えた"人間"は、ひとりもいない。
「過去、すべてのプライマル・コードを手中に収めた存在は――人間ではなく、”魔王”と呼ばれた」
そういうことらしかった。
ユースが最初に話してくれた、勇者と魔王の伝説――魔王は六つの魔法を自在に操ったと、たしか言っていた。
そして魔王を倒した勇者は、六つの魔法を六大陸に封じたとも。
「魔王の力を、プライマル・コードが悪用されるとどうなるかを目にした勇者は、六つの魔法を各大陸に――魔法石に、封印した。どうせもともと使える人間は少ない、ならば封じて悲劇の芽を摘んでしまったほうがまだいいだろうと。それで、"キーストーン"と呼ばれたその石は、今でも各国で保管されている、けど……」
「……すでに、四つの国は……」
「たぶん、封印は解かれてる」
――つまるところ。
魔王は、すでに四つのプライマル・コードを手にしていると思われる。
ユースが言っているのは、残りふたつのコードを魔王より先に手に入れてしまおうという案だ。それで魔王を迎え撃つべきだと。二対四だが、勝負にはなると。
だいたいの事情は、わかった。が――
「……あの、それで、なんで僕――」
「そう。そこで君の出番」
「え」
――この話、僕に何の関係がある?
質問を最後まで言い切る前に、サレスはずいと身を乗り出した。思わず僕が一歩下がると向こうも一歩踏み込んできて、たじろぐ僕の両手を握る。
「最初からおかしいと思ってた」
「あ、あの」
「あの結界は国の魔導士が張ったのを私が補強した。悪しきもの、魔の気配を弾く」
「……結界?」
「つまり、魔物のほかに、魔法の気配が濃いものも弾くということ」
「……」
今の今までほとんど思い返すこともなかった昨日の記憶が、「結界」というワードに反応して、戻る。
外で魔物に囲まれていた僕を、ユースは城壁めがけて投げた。城には結界が張ってあるにもかかわらず。
普通の人間ならすり抜けるとユースは言っていたし、実際そうなると思っていたようだ。が、僕の身体は結界を通り抜けることなく壁に激突した――
「これでも私は魔法使いのはしくれ。コードの区別くらいはつく。それが偉大なる原初のコードであればなおさら、一目見てはっきりとわかる」
「……ええっと……」
僕を見つめる深緑の瞳は、熱でもあるかのように爛々と輝いていた。
「――君の身体からは、プライマル・コードの気配がする。全身から、においが漂ってる! 生きてる間にこんな人に会えるなんてわたし思ってなかった……!」
なんだか目がうるんでいるようにすら見えるのだが、単に熱が入りすぎているだけなのか、それともガチ泣きしているのか、ちょっと判断がつかない。
たたみかけるようにサレスは続ける。
「記憶がないって言ったよねそれもコードの影響かもしれない。なにかコードに触れた影響かもしれない。それで飛んだのかもしれないそれくらいあるありえる」
「え、いや、その……」
「ユースはコードを探すって言ったし私もそれに賛成してる、でもコードを扱うのは難しい。とても難しい。とてもとても難しい封印が解けても使えるとは限らない。だから君にいてほしい」
「はい?」
「君にいてほしい。君も来てほしい。だってここまで濃いにおいがする人初めてだしきっと適合すると思うんだコードがコードが、プライマル・コードが目の前で見られるかもしれない! すごい!」
「…………」
サレスはこれでもかというほど早口にまくし立てていたのだが、その滑舌は素晴らしいの一言で一言一句完璧に聞き取ることができた。むしろ聞き取れるからタチが悪いとも思ったが、とりあえず状況は把握することができた。
「というわけで、ふたりと一緒にプロメテウスへ行くことになったんです。キーストーンの回収、プライマル・コードの確保、それを目標に」
「ふむ……」
「プロメテウスまでは、サレスさんの転移魔法で行くことになってて。座標の調整とかに少し時間がかかるみたいで、その間休んでていいって言われたんで、ちょっと寝て、こっち来ました」
表情を変えずに聞いていたエビルに、僕は仮説を話してみる。
「もしかしたら、なんですけど。転生者には、能力が与えられるって、言ってましたよね」
「ああ」
「だから、その……僕は『とても強い魔法が使える』みたいな能力を、転生のときに手に入れたんじゃないのかなって。そう思ってるんです」
「……」
エビルは例によって回転椅子に座っていた。説明の間は止めていたその椅子を再び回転させ、考え込む姿勢のままでくるくる回りながら、言う。
「……よくわかんない映像を見たって言ったね。体育倉庫でイジメに遭う男子生徒」
それがもしおまえの記憶であるとするなら、と前置きをして。
「強力な魔法剣――膨大な魔力が込められた剣に、同じく膨大な魔力を持つおまえが手を触れたことで、魔力がオーバーヒートして……そのはずみで、記憶が蘇った」
そういうことは考えられる――かもしれない、と付け足して、エビルは神妙にうなずいた。
――となると、やはりあれは僕の記憶なのだろうか。高校の体育倉庫、ガラの悪い金髪の男子生徒:泥藤を中心としたグループによる集団暴行。
僕は、イジメに遭っていたのだろうか?
あれこれ思いを巡らせてはみるが、いまひとつピンとこない。
「……」
僕だけでなく、エビルもかなり微妙な表情を浮かべている。ズレたメガネを直そうともせず、何事か考え込んでいる。
非常に、なんともいえない空気――
とりあえず何かしゃべらなければ、という焦りが喉をせり上がってきた。
「でも、まあ、あれですね。なんだかんだで、魔王のほうはどうにかなりそうじゃないですか! プライマル・コード!」
現世のフリーズに関しては原因がまったくわかっていないけれど、異世界のほうは簡単な話。魔王さえ排除できるなら、こちらの滅亡は簡単に阻止できる。
その魔王が桁外れに強いというのが問題だったわけだが、立ち向かう策があるならそれに縋ればいい。やるべきことがわかっているというのは実に気楽でいい!
状況は明るいですよと精一杯の笑顔をエビルに向ける。が――
エビルは、非常に申し訳なさそうな表情とともに、手を挙げた。
「あの」
「はい?」
「……非常に、非っ……常に、言いづらいんだけど……」
「なんです?」
「……プライマル・コードって、何?」
「……」
「……」
「…………」
「……いや、あたし、そんなカッコいい名前の設定、作った覚え……ない……」
「………………」
「………………」
さすがに爆発した。
「――なんで神様が知らないんですか!? いや……ほんとに信じられない!!」
「だっ、からあたしを信じてよぉ!! あたし神様なんだって、ほんとに、ほんとにそんな名前つけた覚えないの! ほんとに!」
「いや、これもうそんな問題じゃないですよ絶対に! おかしいですって!」」
これに関しては、伝説のひとり歩きとかそんな理屈では片付かない。
『下界の様子をあまり見ない』にしても限度というものがある!
だって、これは根幹設定。異世界を構成する六大国、その成り立ちに関わる設定なわけで――
これを知らないのは、さすがにどうだよ!?
「さすがに事情に疎すぎますよ、もうちょっと下界の様子見ましょうよ! ゲーム全部ファミコンって言っちゃうおばさんみたいな取り残され方してますよ!?」
「おっ、ば、さ……いや、あたしだってDSくらいまでは知ってるよ!」
「そこじゃないです!」
「う、ううう……」
イヤイヤをする子供のように、エビルは僕に背を向けたまま耳をふさいで首を振る。下界の様子見るのってそんなに楽しい仕事じゃないんだよお、という唸り声が、背中越しに聞こえる……。
それでも、懸命に思い出そうとはしているようだ。こめかみをゴリゴリと揉みながら、エビルは半泣きでうめいている。
「ううー……プライマルコード……ぷらいまるこーどぉ……? んだよそれ……」
「……すべての魔法の大元にあたる、六つの魔法のことですよ」
「六つ……六つ……? 六つってなんだよ六つって……コード……コード…………プロメテウス・キネシス・ワダツミ・ガイア・トポス・カイロス……」
「……あれ? これか?」
唐突に、エビルはぽかんと間抜けに大口を開けて僕を見る。
何の拍子にか、六つのプライマル・コードをすらすらと暗唱してみせた。
「……あー、六つ! 六つってもしかしてあれか、この六つか!?」
「あ、はい。六大国に封印された六つの魔法をそう呼ぶって……」
エビルは、そこで大きく手を叩いた。ぱん、と小気味いい音がして、
――非常に、なんとも言いがたい表情を浮かべて、エビルは震えていた。
「……あ、れ、かぁー……!! え、なんだっけ? プライマル・コード? プライマルコード。……ぷ、ぷらいまるこーど……! え、あれそんなカッコイイ名前ついてんの? ええ? ……えぇー……!?」
『悶えている』とか『のたうっている』とか、そういう表現が正確な気がする。
かなり意味のわからない反応だが、とりあえず何かを知ってはいるようだ。
「ええと……思い出したんですか? プライマ――」
そこで、がくりと僕の膝が折れた。
――なんだ?
まぶたが猛烈な勢いで落ちてくる。異様なほどの眠気が、全身を襲って――
――異世界のほうの肉体が、もうすぐ目覚めそうになっているのだ!
「いや、思い出したっていうか……いや、間違ってはない。間違ってはないんだけど、ちょっと期待しすぎというか……なんていうの? ぶっちゃけ、あれって……その、楽屋ネタみたいなもんなんだよ」
くずおれた僕に気づいているのかどうか、エビルは何かが猛烈に恥ずかしいとでもいうように、メガネを外して、目元を手で覆っている。
「だから、その、言いづらいんだけど、とりあえず言えるのは……六つ揃えると神にも等しい力、ってのはさすがに話盛りすぎだし……」
抗いがたい眠気を前にして、ほとんど僕は意識を失っていた。
にも、かかわらず。
「たぶん、コード揃えても、それで魔王倒すのは……無理だと思う……」
――目が覚めたら、僕はプライマル・コードを手に入れるためにプロメテウスへ向かうというのに。
これからまさに冒険の旅へ出るところだというのに、その旅が無意味だと伝えるこの台詞だけは――きっちりと、聞き取ってしまった!
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