この命を掛けても守る者が有るって、貴方は恐怖を恐れても立ち向かったね

少年は飛び交う銃弾の中を掻い潜り、規則的な呼吸を繰り返して敵軍の追撃から逃げていた。それも少年の作戦、今は作戦の進行は順調という所だろうか。兵士が雄叫びを上げてこちらに向かって、手榴弾や銃を一心不乱に打ち放っているのが見えた。それを見て少年は紫の目を細め、せせら笑って見せる。

名前のない怪物で最も精神病質者で人の殺し方はショウ、チャイミー、カケルより計り知れない殺しのエンターテイナー的存在、名前のない怪物の少尉も務める最恐の契約者、その名は“イカロス=ファロス”彼の契約武器は鎌ーヘルゲートー金色に輝き、至る所に嵌め込まれた禍々しいオーラを放つ宝石が赤い空に微かに昇る太陽に乱反射した。

通り名は地獄の殺人鬼(ヘル・シリアルキラー)

ーーイカロスはその通り名は余り悪くない名だと勝手に思ってみた。連合軍からはそう見えているのかもしれないが、そう見えていたのなら大歓迎、その最高の名前を付けてくれた連合軍に感謝しながら殺す。そしてイカロスの人の殺し方は毎回違っている、どうやって殺すかは自分の知恵を絞って考え出すのだ。

頭にピンとくる。今日の殺害方法は決まった。それを考え出すために態と逃げていたのだから。

「僕の作戦にまんまと引っかかってしまっていて大層残念だよ…。」

兵士に聞こえる程度でそう言ってみたが聞こえていないのか、それとも馬鹿なのか反論を始めた。

「うるせぇ!てめえら!怯むんじゃねえぞ!あの地獄の殺人鬼(ヘル・シリアルキラー)を殺すんだ!」

イカロスはその言葉に呆れ気味の溜息をついた。ーー無能で馬鹿ばっかりだ。そう思った瞬間に唯ならぬ殺意が芽生えるーーもう殺してしまおう。あの兵士に僕がどれだけ絶望を与えるか思い知らせてみようじゃないか。

イカロスは虚空から発現させたヘルゲートを手に握り、そこから消える。

兵士は動揺を見せていたがその兵士の不安が的中することになる。イカロスは兵士の前から瞬間で移動し30人もの兵士の背後に回り込んでいたのだ。それは流石に驚くだろう。兵士は今の現状を思い知るのに何秒間の時間を必要とした。背後にいるのにも気付かず、前だけ見ていて後ろから悲鳴があったと思ったらイカロスが一気に5人の兵士を惨殺していたなんて全くと言っていいほどに思っていなかった。兵士からは内蔵が飛び出ていて、腹から垂れ下がっている腸がズルズルと出ていた。目を見開いて、瞳孔が開きっぱなしの兵士は動かない。

「僕の力、君達にとくと見せてあげるよ!」

ーーーーーーーーーーーーー

イカロス=ファロス

ハルベロスではない国、アメリカのエリア51で兵士とその愛人の間に産み落とされた。

エリア51は荒れきった環境で宇宙人と宇宙人が殴り合いをして喧嘩する毎日をイカロスは見ていた。そこからイカロスの精神病質は養われていった。そしてエリア51の兵士達に親と愛人が殺されイカロスも連行された。それが究極兵士を生み出す人体実験、通称MKウルトラの発端である。毎日5回に及ぶ麻薬を打たされて1年間に3600回の電気ショックを受けられた地獄を経験している。これだったら普通の人間は記憶が抹消しているのだが、イカロスは呪われた力で記憶が抹消することは無かった。そして命からがら逃げ、そこの過程で出会ったヘルゲートと契約を契る、人間を初めて殺してみると唯ならぬ高揚感を感じるようになり人を惨殺し尽くす。

人が嫌がる殺し方で惨殺する。そしてチャイミーとショウと出会いで今のイカロスが作られていった。

その後遺症で片目が黒くなり人間には見せられない状態になっている為、髪で隠している。イカロスの殺人量はショウやチャイミーにも負けるとも劣らないとも言われている。

ーーーーーーーーーーーーー

鎌を全体重を乗せて投げつける、イカロスの背後の存在に気づきたての兵士は交わす術も無く胴を切り離されて大量の血飛沫を上げて吹き飛んだ。それを辛うじて交わすことが出来た兵士も胴の半分を斬られ血塗れでズリズリと匍匐前進をして命乞いをイカロスに求めていた。

「お願いだッ!助けてくれ!助けてくれ!命だけは!」

イカロスはせせら笑って冷徹な目で片手を腹で抑えて息も絶えたえな兵士を見下した。当然な事にイカロスは兵士を助けるという良心はこれっぽっちも無い。ヘルゲートが血の雫をポタポタと垂れ流している、その鎌を兵士に振り翳すと思いきや赤い空に振りあげた。

兵士の青ざめた顔も投げるのを見て少しは顔の色は戻ったみたいだった。

しかしこれは命乞いの承諾ではない、イカロスの必殺技の構えに入っているのだ。

「...........ぇ?」

空中に飛び上がったイカロスは宙に放り投げたヘルゲートを掴み取った。すると瞬く間にヘルゲートの輝いていた金が白と黒に変化し、異常なほどの殺気がイカロスに代わってヘルゲートが纏っていた。

「暗黒物質(ダークマター)」

白黒の鎌はイカロスが放った瞬間に地を抉り、兵士の腹を裂き、黒い魔法陣が浮き出て、兵士の周辺の建物を巻き込む形で漆黒の空間が天に向かって柱のようにそそり立った。

当然、その一撃を直撃した兵士の身体はもう存在しない。瓦礫に大量の鮮血を巻き込みながら消え失せていた。

イカロスは兵士達の軟弱さに吐息混じりの溜息をついた。

イカロスはこれで殺害した量はハルベロスの戦地で千人を超えていた。返り血を浴びた服を少し見てから、ヘルゲートに付いていた鮮血を切るように払った。

ーー弱い。

ーー弱すぎる。

血だらけの戦地を夢遊病者の様にフラフラしながら歩いていく、これは深い訳では無い。弱っていると思って襲いかかってきた兵士を一気に瞬殺するという何とも精神病質さが光る作戦だった。

イカロスの予想は的中し襲いかかってきた兵士が銃で叩きつけるように振り上げるが自らの手で兵士の腹を貫通させる。兵士は吐血し力無くガクッと倒れた。

血に染まった茶髪を撫でて、ハルベロス学園へと向かっていく。

イカロスはショウ達とは別のルートでハルベロス学園に向かっていた。当然ながら道ばたには大量の死体がバタバタと倒れているのが視界が捉えている。ーーしかし、なんだろうか、この静けさ、まるで時が止まったように風の音しか聞こえない、時間は刻一刻と過ぎているのに不思議だなと思った。

歌を歌いながら呑気に歩いているとハルベロス学園に一直線に続く大広間に足を踏み入れていた。しかしながら此処も人の気配が一切と言っていい程に感じない、ーー駄目だ、気を抜くな。戦場ではこの気の緩みが生命取りとなるのはイカロス含めショウ達も十分に思い知っていた。だってそんな日々を嫌というほど過ごしてきたからだろう。

イカロスは自身からピリッとした空気を出した。自ら空気を重くして人の気配を炙り出すのだ。

すると.......。

パァン!と重い銃声が1発、その余りにも予想していなかった軌道をした銃弾がイカロスの肩に命中した。

「ーーッ!?」

痛みはある。出血量から考えると12・5センチだろうか、スナイパーが使うライフル銃程の大きさ。幸い、貫通はしてはいないようだ。これで片方の肩は暫くの間は使い物にならないだろう。

イカロスは焦っていて冷静に鎌を出現させ、片方の手で持つ。ガシガシと何かが近づいてくる、シルエットで見えないがそれは徐々に見えてきた。アメリカは戦場の機械に人間をリンクさせる技術を開発していた。そしてそのイカロスの相手は10人余りの兵士と人間と機械の融合生物。

アバターとの対決。これは流石に劣勢という程でもないが片腕が機能不能なイカロスからしたら少し嫌だった。

ーー兵士は雄叫びを上げて襲いかかってくる。イカロスは鎌を振りかざし反撃を試みようとする。するとその兵士のど真ん中で“2人の助っ人”が駆けつけてくれた。

まず一人目は赤黒い禍々しい雰囲気を纏った槍ーロンギヌスーを持つ名前のない怪物屈指の身体能力を持つ黒一色に染め、魔女帽を被った青年契約者。

通称、鬼の槍使い(オーガ・ランサー)


ダイの奇襲が始まった。


「イカロス!俺を忘れてしまっては困るなあ!」

ダイの武器は、数百キロにも及ぶ魔槍、この槍は掠るだけでも相手には深刻なダメージを与えることが出来るのだ。

ダイは勢いよくロンギヌスを直列の兵士に投げつけた。

兵士の腹を貫通して次の兵士、そのまた次へとパワーが落ちずに兵士を貫いていく、それを直撃して腹にポッカリと穴が空いた兵士は内蔵を吐き出して悶絶する。

そしてロンギヌスを振り回し敵の兵士の頭を掠める。兵士はそのまま頭蓋を持って行かれあらぬ方向へと吹き飛んでいく。その兵士は壁にぶつかり、ゴシャァ!と頭蓋が潰れる音がして顔面が破裂した。血と脳みそと頭蓋の破片が止めどなく流れ出ている。

そしてロンギヌスの槍は未知の物質のオリハルコンで出来ている、だから皆を守る事が出来る盾にでもなるのだ。

「ここから先は一歩も通させない!おおおおおおッ!」

ダイは全力疾走で敵に向かっていく、一件冷静沈着で物静かで鉄仮面のような愛想だが戦闘時になると仲間を守る力は誰にも負けないとイカロスは勝手に思っている。ーーダイは昔は仲間を信ずることが出来なかったのに

ーーーーーーーーーーーーー

ダイ=スタイル

ハルベロスで最も治安の悪く殺人が絶えない街、ムーで育つ、生まれたダイは身体能力

が非常に高く追いかけっこなどでは誰にも追いつけないほどの身体能力の持ち主であった。

しかし母が殺害された直後に父は鬱状態になり、仕事もクビになり酒に溺れる日が続いた。

父は母が全てであった。

そして父は再婚し生活を始めるが父が酒に溺れ、酔った勢いで妻を殴るDVを繰り返すのも少なくはなかった。ダイはそれを見て家を飛び出し友の家に泊まる日も少なくはなかった。

そして妻も暴力の道へと進みDVの矛先はダイに向かう。ダイは殴られて、蹴られてまさに数年前とは真逆の地獄へと誘われていった。

そして苦痛に我慢が出来なくなり家を飛び出す。そしてロンギヌスはダイの身体能力を見込んだのか数百キロにも及ぶ槍と契約した。ダイはロンギヌスを軽々と抱えることが出来た。そしてその槍で両親を殺害、逃亡している。

後遺症として人を信ずることが難しくなり、心を開いた人間(契約者など)しか信ずることが出来なくなった。ダイには人を信じては駄目だ、人は必ず裏切り、命を狙う。と思うようになった。

人間不信なのか声をかけた人が殺された人間は後を絶たない。

ーーーーーーーーーーーーー

するとダイの特攻攻撃をサポートするようにダイの背後から無数の光り輝く矢が降り注いだ。兵士は肩、腕などに突き刺さるが刺さった直後にバタバタと眠るように死んでいくのだ。

「ダイ!私を置いて特攻だなんて度胸があるよね?」

そう言ったのは、茶髪のロングで黒い目、まるで日本国の出身の様だが少し違う。この少女もハルベロス出身なのだ。名前のない怪物で屈指の柔軟力でどんな状況にも対応することが出来る。

弓ープロキオンボウーを扱う契約者。

通称、閃光の弓使い(ライトニング・アーチャー)

ルナの追撃も加えてダイの特攻をサポートする。

「光輪之矢(こうりんのや)ッ!」

光り輝く矢がもう1度降り注いだ。アバターにはあまり効果は無く鉄の胴体が光輪之矢をはじき飛ばしていく。しかしここからは兵士は全滅しアバターだけが生き残っている。一体だけなら問題ない。3人で一斉にかかれば殲滅は十分に可能だ。イカロスは肩を抑え止血を施している。いつもは虚空から現出させるヘルゲートも地面に突き刺しているようだ。確かにイカロスに命中した銃弾はスナイパーが放つ巨大な銃弾、普通なら死んでしまう程の大きな弾。それが命中しても未だに立っていられ、戦う根気が残っているのが契約者の根性なのかもしれない。イカロスは少し息を荒くして言う。

「僕も戦う、君達に任せっぱなしは少し癪に障るからね、足で纏いかも知れないけど、手伝わせてくれ。」

ルナは余裕綽綽の表情で頷いた。

「うん!だって私達仲間でしょ?ねぇ!ダイ!」

ダイは溜息を付きながらそうだなと一言言って槍を持ち直した。ダイはいつもルナと一緒なのだが別に嫌だとは思っていない、ルナは好意を持っているとダイも自覚している、でも尚更に意識する事が出来ない、いつもの態度でルナに接しているがルナに少しその態度を取るとルナは不機嫌アピールを続ける、だから機嫌取りの為に態と元気に、陽気に接しているつもりだ。

今もルナは少し頬を膨らませてぶーぶーと言っていて少し五月蝿い。

するとアバターが出しゃばったのか初めて契約者に言葉を発する。

『そうやって笑っていられるのは今のうちだぞ、俺が3人を皆殺しにしてやろう!』

「へー、君ってそんなに強いんだ。じゃあ僕に見せてみてよ。契約者より強い事を証明してみなよッ!!」

その言葉にダイとルナは奮い立たされ武器を取り構えを取る。先陣を切ったのはダイであった。突如何がしたいのか上空に飛び上がる、そして一回転をして力を込め、自身の槍を紅いオーラを纏わせアバターの目の前にそそり立たせる。

「天空落とし(ヘブンドライブ)!」

その衝撃でアバターは数十メートル吹き飛び、機械が壊れそうな嫌な音がした。しかし何で出来ているのか全く壊れる気配はない。

しかし、ここでルナがアバターの体制を整える前に動いていた。ルナの目は瞳孔が開いていてまるで狂気に満ち満ちていた。

アバターの正面に立ち、光り輝く弓矢を引き、キリキリと弦が軋む音がしたがそれでもルナは弓を引くのをやめない、そして最大限までに引き留まった光の矢をアバターに向けた。

「紅蓮之弓矢」

ーーーーーーーーーーーーー

ルナ・コニー

ハルベロスで海沿いの村、妖界で生まれる。この村には伝承があり海の日没の地平線に立つと人間ならざる者がやって来るとして、妖界と名付けたれた。この村は海沿い村で魚が主な食糧であった。

ルナは漁師の娘でも何でもない妖界を語り継ぎ、その妖界との境界線を創り、人間ならざる者と再開させる妖界使いの娘であった。ルナの両親は妖界と一番繋がっている武器は弓と考えていた為幼い頃からルナは弓を扱っていた。その時から契約は契っていたものの両親はそれをひた隠しにしていた。弓の名はプロキオンボウだが、もう一つの名がある。それはー霞花蓮(かすみかれん)ーというもう一つの名がある。そのプロキオンボウ(今はもう霞花蓮と言っておこう。)は名がしれた弓だった為名前をプロキオンボウに変えていたのだ。幼い頃から霊感体質で弓と触れ合っていたので霞花蓮は契約の対象者としてルナを選んだ。

しかしそれから三年後のルナが十四歳の時であった。

家に帰ると両親が磔にされ両脇腹に深い傷跡が残されてそこから赤黒い液体が流れ出ていた。そう、その磔刑を執行したのは“ノエル”しかしルナはノエルを知らない為知るのは後になった。ルナもそれを見て恐怖し、戦慄し、その場から逃げるが死角に隠れていたノエルに気が付かなかった。ノエルが持っていた刀で腕から二の腕にかけて長く、深い傷を負った。その痕は今も痛々しく残っている。

傷は自然治癒でどうにか塞ぐことが出来た。しかし暫くの間は使い物にならず麻痺して弓も上手く引けなくなってしまっていた。草原で弓を引いていたら一人の青年が声をかけてくる。それが後のダイという青年なのだ。その時を境にしてルナはダイといつも一緒にいる、何故か安心できるからとか、色々考えてい見るが、本心はそんな事考えていないだろう。

名前のない怪物では殺人量は十五万と一番少ない、しかし彼女は屈指の柔軟力でどんな状況にも対応出来ることとこの霞花蓮を武器に敵を貫く。

ーーーーーーーーーーーーー

光と炎が混じりあったような弓矢が至近距離のアバターを勢いよく貫いた。アバターは呻き声を上げてバチバチと電気がなっていてもう直ぐで爆発しそうな雰囲気を醸し出している。しかし3人は逃げる事もなく、この場から全く動かないのだ。明らかに楽観的に見つめているがイカロスが片方の手でヘルゲートを持ちアバターに近づく、そして......。

「暗黒物質(ダークマター)」

金の鎌が白黒に変わりアバターの周辺に漆黒の空間を作り出した。アバターは爆発の炎を噴き上げるがそれをイカロスが放った暗黒物質の空間に吸い込まれて消えた。

イカロスは痛みが引いていないようで少し憔悴した面持ちでこちらを見つめ言った。

「邪魔者は居なくなったし....行こうか?」

ダイはイカロスの傷を少し心配しながらも頷く、ルナも続いて頷いた。

それからは敵の気配が全く感じられなく、その束の間の休息を三人は堪能していた、大広間をゆったりとしたペースで歩き、敵にも遭遇すること無くハルベロス学園に到着する事が出来た。

サクラダファミリアの様な轟いた城が構え、白黒の近未来のような建物、全世界で発達している魔法学園に相応しいものだった。するとここで上空の連合軍の戦艦が炎を上げてゆっくりと墜落に向かっているのをイカロスは目撃し、その直後に身体に違和感を感じた。それはイカロスだけではなくダイ、ルナーー否、ハルベロス学園で応急処置をしている生徒全員が感じていた。

「ブルーアイズの魔力が戻っているみたいだ。これで形勢逆転、こっちが有利に戻れるみたいだね。」

そして上から魔法で形成された召喚獣が唸りを上げて翼をはためかせて空戦へと向かって行く、ハルベロス学園の召喚獣は連合軍の戦艦を酷く凌駕しており、そこら辺にある空中戦艦などは瞬く間に薙ぎ払うことが出来るだろう。ハルベロスの生徒は治療を急ピッチに進められた。これでチャイミーが負った頭の傷は回復の兆しに向かって行くだろう。無事に治療に成功したチャイミーがイカロスに気付き、走ってこちらに合流を果たす。

「大丈夫なのかい?君は身体は痛みは感じないようだけど頭には普通の人間の数倍の痛みを伴うんだから気をつけた方がいいんじゃないかな?それともヘルメットを付けて戦闘なんてかっこ悪いもんね。」

「えー、何それ、イカロスちょっと冗談が過ぎるよ」

冗談だよとイカロスは苦笑する。ダイとルナもチャイミーの頭の痛覚にも心配している面持ちを見せていた。




この第三次世界大戦はこの戦いを期に十時間の停戦協定を承諾、連合軍総督の“ノエル・B・スリード”はハルベロス国に武装解除とブルーアイズの引渡しを要求していたのだが名前のない怪物の君臨によって形成が一気に逆転、そして立体空間支配の魔法も解け、ブルーアイズの魔法の供給は完全に復活を遂げる。その予想外の損害を目の当たりにしたノエルはトランプとの会談で緊急停戦を承諾したのだ。最初は連合軍の死者数は圧倒的に零に乏しかったが名前のない怪物の活躍によって連合軍こ兵士に大損害を与えた。

連合軍、死者二十五万人

負傷者十万二千人

その損害を受けノエルは契約者を排除しなければならぬと悟った。ノエルは昔から契約者を憎み、妬み、憎悪して契約者に繋がる者は自らの手で殺してきた。しかし今になって契約者は悪から正義に成り変わろうとしつつあるのだ。ーー契約は絶対悪だ、契約は人間を不幸にする。しかし全員が全員契約は絶対悪とは考えているものはいない、寧ろ契約を遂行派の方が多いのかもしれない、でも契約者を滅ぼそうとし、ショウ達からこの戦争で契約を捨てさせようと考えるノエルの考えは止まることは無い、この僅か十時間の時間で契約者を誘き出し、そして全員皆殺しにしなければならないとこの名前のない怪物の登場で決心したのだ。例えノエル自身の体を禁断の魔術で契約しようとも、悪魔に身体を売ってもこの手で必ず契約者を滅ぼすことを....。ーーショウはまだ知らないのだ。ショウは選んだ、自身を賭して契約を正義と証明する道を、そしてもう一つショウは知らない、己を殺す事を、自身の生命の灯火が消えることを、そして.......。


















死に直面する恐怖を........シラナイコトヲ。


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