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あたしは夢中でページをめくる。
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【赤鬼と黒い蝶】
織田信長は黒い蝶と恋に落ちた。
黒い蝶は剣術はめっぽう強かったが、まれに見る美男子であり、他の武将もその美しさに男であることを忘れ魅了された。
一説には黒い蝶とは男装した女性であり、信長が正室や側室の目を欺くために女装させたとの説もあるが、平手政秀の策略であったともされている。
その証拠に、側近の名は平手紅。その素性は平手政秀の縁者であるとされたが、家系図によると平手政秀にそのような縁者はいなかった。
黒い蝶は本能寺の変で南蛮人のような奇妙な服を身に纏い信長に加勢したが、明智光秀の謀反により本能寺に火を放たれ最期を遂げる。
だが不思議なことに、森蘭丸の遺体は発見されたが、織田信長と平手紅の遺体は発見されず、秘かに2人で落ち延びたのではないかとの説もある。
―――――
――黒い蝶は……
平手紅…………。
夢の中の……あたし!?
明智光秀はどうなったの!?
――――――
【身代わり姫の恋人】
身代わり姫の恋人明智光秀は、本能寺で織田信長討伐後、中国大返しで羽柴軍に天王山の麓、山崎にて迎え討つが、羽柴軍に大敗し離散、坂本城を目指すものの羽柴軍に捕らえられ自害したとされているが、一説には、“深夜勝竜寺城を脱出し、本経寺付近の竹藪にて落ち武者狩りの百姓に竹槍で刺し殺されたとの説もある”。
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光秀は……
羽柴軍に大敗し、落ち武者狩りに殺された!?
身代わり姫は……
美濃はどうなったの!?
―――――
“織田信長の正室濃姫の最期は不明であり、墓所墓石は特定されていない。”
すなわち、身代わり姫の最期も、暗殺、病死、様々な諸説はあるが不明である。
――叶わぬ恋、戦国の世の悲恋。
本能寺の変の裏には、痴情の縺れによる討伐という諸説もあり、赤鬼と黒い蝶も、身代わり姫とその恋人も、愛しい人のために刀を手にし戦った。
美しくも儚い、愛の物語である。
―――――
小説はそう締めくくられていた。
――身代わり姫の最期は……
不明……。
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