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信長の側近には、あたし以外に
美形男子の美しき側近に、信長が男色であるとの噂が加速する。信長はあたしとの関係をカモフラージュするために、蘭丸を常に側においた。
親子、兄弟が殺し合わなければならないこの時代で、あたしは帰蝶のことが気がかりでならなかった。
秀吉の撒いた悪意に満ちた噂話により、帰蝶と光秀の関係は絶たれてしまった。だが、光秀の暴挙を阻止できるのは、帰蝶しかいない。
――1579年(天正7年)
“五層七重の豪華絢爛な、安土城が完成”し、信長は帰蝶とともに移り住んだ。帰蝶は信長監視のもと自由を奪われ、もはや籠の鳥だった。
――1580年(天正8年)
“本願寺軍と織田軍の和睦が成立し、大阪から退去した。明智光秀は亀山城主となった”。帰蝶と多恵は光秀の出世を心より喜んだが、それを信長の前で口にすることはなかった。
――1581年(天正9年)
「京都御馬揃えを行い、
「流石上様でございます。天下布武を標傍する上様が、周辺大名を牽制し誇示するためにはこの上ない妙案かと」
家臣達は口を揃え信長を祭り上げる。
京都御馬揃えでは、あたしも織田一門の1人として、馬に乗り信長のあとに続いた。織田信長が“
◇
「上様、天皇からの使者が参り、上様を左大臣に推任したいとのことです」
「紅、それはまことか?」
「はい。どのように返答致しましょうか」
この頃になると、重要な案件は全てあたしが取り仕切るようになり、あたしは重臣からも一目置かれる存在となった。
秀吉は自分の意のままにことが運ばず、あたしのことを疎ましく思っていた。
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