紗紅side
99
「奇妙丸様、これ、お待ち下さい」
奇妙丸は今7歳。
ヤンチャ盛りで、城の中を走り回る。
「奇妙丸様!それ以上言うことを聞かねば、紅は怒りますぞ!」
「もう怒っておるではないか。紅は鬼のようでございますな」
「誰が鬼だ。そこに座りなさい。奇妙丸様はいずれ織田家の当主となられるお方なのです。人の上に立つお方は、鼠のようにチョロチョロせず、ライオンのようにもっとドッシリと構えておらねば。家臣を統率することは出来ませんよ」
「紅、ライオンとは何じゃ?」
「ライオンはですね。えっと……、乱世の日本国にはおりませぬが、百獣の王でございます。奇妙丸様のお父上のように、動物の中で一番強いのです」
奇妙丸は瞳を輝かせ、あたしの話を聞いている。
「紅はほんに物知りよのう」
座敷に座り、命を繋ぐために動物が獲物を捕らえることを教える。弱い者は強い者に食べられてしまう。この戦国の世もまた弱肉強食。
バタバタと廊下を走る音がし、着物の裾をパタパタさせ侍女が座敷に飛び込んだ。
「紅殿!一大事でございます!!」
「お
「お叱りはあとで伺います。於濃の方様が生きておられたのです!あのお噂は本当だったのでございます!」
「於濃の方様が……生きていた!?」
衝撃的な事実に、あたしは思わず立ち上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます