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「信勝殿、無礼であるぞ。殿が病に伏せておるというに、何というおぞましいことを……」


「兄上が病であるからこそ、好都合でござる。お主はわしと兄上を和睦させたいのであろう。それにはひとつ条件がある。わしにもお主を抱かせろ」


「……な、なんと!?気でもふれたか!」


 信勝はいきなりあたしの腕を掴んだ。

 抵抗するものの、体格の差からいとも簡単に組み伏せられた。


「離せ!無礼者!」


 信勝は刀を抜き、あたしの首に刃先を向けた。


「声を上げるでない。静かにせねば、命はないと思え」


 勢いよく振り下ろされた刀は、頬を霞めグサリと畳に突き刺さる。頬からツーッと鮮血が流れた。


 あたしを犯し、殺す気だ。


 恐怖から身が竦み、叫び声が出せない。


 信勝はあたしの胸元を両手で乱暴に開く。


「晒し……?」


 信勝は晒しの中にゴツゴツとした手を突っ込み乳房を掴んだ。


「……やめろ!」


「……これは、異なもの。男にふくよかな乳房があるとは」


「放せ……声を上げるぞ」


「声を上げたければ、上げるがよい。困るのはわしではない、兄上じゃ。何故、お主は女だてらにそのようななりをしておるのだ。男の形をした女を囲うとは、兄上も正気の沙汰ではない。母上も家臣もこのことを知れば、さぞ嘆き悲しむであろうな」


 信勝は「ふふふ」と薄気味悪い笑みを浮かべ、あたしの乳房をまさぐり、唇を近づけた。このまま信勝に陵辱されるくらいなら、死んだ方がマシだ。


 あたしと信長の関係は、誰にも知られてはならない。


 あたしの首筋を舐め回す信勝。

 あたしは畳に突き刺さる刀に、ゆっくりと指を近づける。


 信長様……

 自害するあたしを、お許し下さい。



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