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 昼休憩、紗紅の担任に呼ばれ職員室に行く。


「呼び出してごめんなさいね。斎藤さんは成績優秀で申し分ないのだけれど、妹の紗紅さんはこれ以上学校を休むと単位不足で進級出来ない可能性があるの」


「留年ですか?」


「そうならないためにも、あなたから紗紅さんに学校に来るように話して欲しいのよ」


「はい」


「姉妹なのに、本当に正反対の性格ね。紗紅さんもあなたみたいに優秀なら何の問題もなかったのに」


「すみません。必ず学校に連れて来ます」


「それと……。これは生徒指導の先生から聞いた話ですが、紗紅さんの非行が問題になっているの。暴走族に入っているのではないかと、噂になってるのよ。もし噂が本当なら、停学ではすまないわよ」


「紗紅が暴走族だなんて。絶対に違います」


「それならいいのだけれど。実はクラスの男子と紗紅さんが喧嘩した際に、自分からそのようなことを口走ったらしいの。本人が学校に来ないし、電話にも出ないから、事実関係が確認出来なくて。最近家で変わったことはないかしら?夜遊びするとか、金遣いが荒くなったとか、交友関係が変わったとか」


「……いえ、別に変わったことはありません」


 十六歳になり、紗紅はバイト代でバイクの免許を取得した。学校の校則でバイクの免許取得は禁止されている。


 免許取得後、バイクを買ってくれと騒いだこともあったが、家にはそんな余裕もないし、高校を卒業してからバイクを買うようにと突っぱねた。


 それから紗紅は……

 頻繁に母にお金を要求し、以前よりも反抗的になった。


 紗紅が変わったのは……

 あのバイクの男性と交際を始めたから……?


 もし紗紅が暴走族と関係しているとしたら、それは彼が原因……?


 私の不安を……

 先生は見抜いている……。

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