22
「何か変わったことがあれば、すぐに学校に知らせてね」
「はい。わかりました」
紗紅の非行は教師には話せない。
父が亡くなったあと、苦労して私達を育ててくれた母を、これ以上悲しませたくないから。
紗紅のことは、私の力で解決してみせる。
職員室を出て、私は真っ直ぐ紗紅の教室に向かった。先生の話したことを確かめたかったから。
1年1組の教室。
廊下で複数の男子が騒いでいる。
数人の女子が、廊下の窓際で楽しそうに談笑していた。
「あの……斎藤紗紅の姉です。ちょっといいですか?」
「あっ……はい」
女子は背筋をピンと伸ばし、驚いたように私を見つめた。
「紗紅が男子と喧嘩した時、どんなことを言ったか知ってる?」
「あー、あれですか?仕返しが怖くて、みんな先生には話さなかったんだけど……」
「あなた達から聞いたことは、紗紅にも先生にも言わないから。教えて」
女子が顔を見合わせ、『どーする?』『生徒会長だよ』と、小声で相談している。私はその女子に頭を下げた。
「お願いします」
「斎藤さん二学期以降ずっと荒れていて、昼休憩の時間に男子と喧嘩になったんです。その時、男子の胸ぐらを掴んで……凄んだの」
「紗紅は何を言ったの?」
「『あたしのバックには、黒紅連合がついている。これ以上バカにしたら、あとでどうなっても知らねぇかんな。このことをセンコーにチクッたヤツも同罪だぞ』って。ね、そうだよね」
女子が顔を見合わせコクンと頷いた。
黒紅連合……?
バックに……?
まさか、あの彼が……!?
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