美濃side

20

 授業中、私は教室の窓から外を見ていた。私の教室は広い校庭に面し、その先には正門が見える。


 もうすぐ四時限目の授業が終わる。


 あれだけ言ったのに、紗紅は何をしているのだろう。もう家を出たのかな?


 小学生までは、明るく活発だった紗紅が、中学二年生の頃から、母に反抗するようになった。


 高校生になり遅刻や早退が増え、学校を時々サボるようになった。


 学校にメイクやマニキュアをして登校し、髪を染め制服も着崩している。校則違反を繰り返し、度々生徒指導室で注意を受け、喧嘩や喫煙で停学になったこともある。


 母はそんな紗紅を強く叱ることも出来ず、娘の顔色ばかり伺っている。


 私はそんな母の代わりに、紗紅を叱りつける。でも、叱れば叱るほど、紗紅は私に反抗的な態度をとる。


 紗紅が不良グループと付き合い、夜遊びを繰り返すのは、私が口煩くするから?


 高校生になり生活が荒れ外泊も増えたが、それは中学時代の友達の家に入り浸っているからだと思っていた。


 でも……

 最近の紗紅は少し違う。


 姉妹だからわかるんだ。

 紗紅には、好きな人がいる。


 あの日、紗紅がアパートを飛び出したあと、バイクに乗る姿を見た。男性の顔は見えなかったけれど、夜の闇を切り裂くようなバイクの音に胸騒ぎがした。


 まさか……

 紗紅の好きな人が、暴走族……!?

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