19
「あたしの彼氏が驚いてた。信也はもう恋人なんて作らないと思ってたって。あんなことがあったんだ。無理もねーけど。
黒紅連合の総長と付き合うなんて、信也もやるね。けど、元恋人と同じ名前だなんて、微妙じゃね?しかも、紗紅と似てるって噂だよ」
あたしが……
元恋人と似てる?
だから……
あたしと付き合ったの?
あたしは……
信也の恋人なのかな?
信也はあたしを抱きながら、亡くなった恋人の名前を呼んだ。あの時、口から無意識にこぼれ落ちた名は『紗紅』ではなく『咲』……。
切ない声が……
今も鼓膜から離れない。
体が繋がっても、心は繋がっていない。
それでもいいと思ったから、あたしは信也に抱かれたんだ。
でも……
なんかスッキリしない。
「どうしたの?紗紅」
「何でもねーよ。何かムシャクシャしねぇ?今夜ぶっ飛ばそうぜ」
「そうこなくっちゃ。でも、今夜は月華が埠頭で集会する日だよな。ヤバくね?」
「月華なんてカンケーねぇよ。あたしらはやりたいようにやる。公道は月華の所有物じゃねぇ」
黒紅連合は数年前に出来たレディースで平均年齢16歳。まだメンバーも少ない。都内一の人数を誇り、この界隈で恐れられている月華とは比較にならない。
でも今のあたしには、縄張りとか、他の族なんて関係ない。
あたしは走りたい時に走る。
月華も警察も怖くない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます