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あたしは黒紅連合の総長になったばかり。対立する月華の総長と信也に、こんな過去があるなんて知らなかった。
信也はあたしをベッドに押し倒した。
ベッドがミシミシと軋む。小さなテーブルの上には2つのカップラーメンが仲良く並ぶ。
「信也……カップラーメン伸びちゃうよ」
「俺は、今、紗紅が抱きたい」
さっきよりも激しいキスに、戸惑いながらも身を委ねる。
信也をこんな風に駆り立てたのは、辛い過去を思い出したから……。
まだ知り合ったばかりだけど、あたしはずっと前から信也のことを知っていたような気がする。
出逢ったばかりのあたしたち……。
でも、こうなることに抵抗はなかった。
静かな室内で、唇が重なり合う度に小さな水音が漏れた。
鼓膜に響く水音と、漏れる吐息に全身が熱を帯びる。信也はあたしにキスを繰り返し、洋服を脱がせ体を愛撫した。
「感じるままにもっと乱れろ」
耳元で囁かれ、あたしは羞恥心を捨て本能のままに信也を受け入れる。
「……信也」
「さ……く……」
あたしを抱きながら、『さく』と名を呼んだ信也。
あたしは……
信也に抱かれながら、閉じていた目を見開いた。
信也はいま……
あたしではなく、死んだ恋人を抱いているんだ。
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