Code:M029③
階段を半分程下りたところでMK23を構え、挨拶の代わりにテロリストのひとりを撃ち抜く。
慌てて散開したテロリストは直ぐにこちらに気付き、数打ちゃ当たるの理屈で撃ってくる。
「この船はもう駄目だ、自沈させろ! ボスもも殺られた」
「させるか」
階段から飛び降りざま、二人のテロリストを撃ち殺す。
マガジンを地面に落とし、ナイフを投げて牽制しながらリロードする。
こちらに銃も向けず、一目散に何処かに走ろうとする男を優先的に撃つ。
だが、柱から出していたMK23に弾丸が命中して、銃身が破損する。
左のホルスターからコルトガバメントを取り出し、MK23を壊したテロリストの脳幹を的確に撃ち抜く。
数打ちゃ当たるの所為で残弾が無くなったテロリストは、持っていた銃を捨てて一目散に逃亡を始める。
忙しなく動く足を撃ち抜き、転んで動けなくなったテロリスト2人を拘束する。
「残った2人を拘束した。ボリスは予想通り」
「そ、そうか。またあいつらが来るかもしれないから、警戒な」
「分かってる」
撃たれた箇所から出ている血を止める為に、傷口に応急リペアを打って安静にする。
当たったのは一発だけだと思っていたが、腹部を二箇所と左腕を一箇所撃たれていた。
腕の弾丸は貫通していたが、腹部の二発は体の中にあるようだ。
気付いて初めて襲い掛かってきた痛みに耐えながら、何とか声を殺して壁を拳で叩く。
「帰ったら抜いてもらうか」
よく電子書籍を読むと、主人公などが自分で弾を取り出すが、そんなものは傷を悪化させるだけで、格好良く見せる為の強がりだ。
そんなひねくれた事を思っていつも読んでいるが、実際体内に埋まっているとなると、確かに心底気分が悪い。
立っていると傷が痛む為、壁に背を着いてずるずると床に座り込む。
リペアのお陰で撃たれた痛みはもう無いが、どうしても疲労感は蓄積するようだった。
案外自分も大した事が無いなと思っていると、早速次のお客様の足音が近付いて来る。
船底に拳を叩きつけてゆっくりと立ち上がって、ふらふらした足で迎撃態勢を整える。
「居たぞ、敵討ちだ!」
8人のテロリストがアサルトライフルを撃ちながら接近し、徐々に打つ手を削っていく。
こういう時の人間は信じられない程しぶとくて手強い、何かを信じて何かの為に戦う。
仲間以上に心強い存在は無く、時に家族よりも尊い存在になってしまうそれは、何故か俺の内を熱くする。
欲しいと言う欲望ではなく、唯沸騰させるような突然来る怒り。
「興味無い」
フラッシュバンとコンカッショングレネードを同時に投げて、拘束していた2人のテロリストを引き摺り上げて盾にする。
肉片を被ったテロリストの腕が動いたのが見え、鉄片を受けて砕けた銃身で、むしのいきだった男に眠りをくれてやる。
沈黙した船底に寝転がって力を抜き、後処理を担当する第二班が到着するのを待つ。
「本当に大した事ないな、ボリスの後処理は任せた」
「あぁ、分かった」
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