第3話

正体不明の女に連れされるがまま

やっとついたかと思ったら見上げた先には


「林檎堂…?」


なにやら禍々しい雰囲気を放つ

小洒落た喫茶店のような建物がドンと面を構えていた。

蔦が張り巡らされた壁かと思いきや

白く綺麗な西洋を漂わす窓があったり

正直、意味不明である。


謎の大きい達磨がある林檎堂の前でその女は


「アンタ、ここでしばらく過ごしなよ」


なんて突拍子も無い事を言う。




「いや待て、お前は誰なんだ」


「初対面にお前だなんて、アンタ失礼ね。

私は林檎堂に働いてるただの女」


「…なぜ俺を拾った」


「それは林檎堂に入ればわかるさ」




フルスピードで追い越して行く出来事の数々に圧倒され

何が何だか、動揺を隠しきれない。


「入るかどうかはアンタが決めな」



踵を返し、黒髪が揺れる。

女は重いドアを開けて闇の中へ消える。

まずい、と自然と思う自分がいた。


俺は装飾の施されたドアノブに手を出し


ゆっくりとドアを開けていた。

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