えっ?ただのチートですよ?

近藤 護

第1話 ある日森の中

「っつう…… 森?」


少年は辺りを見回した。

そして、少し苛ついているのか声を荒げた。


「あの、駄目神!何で森スタート何だよ!確かにテンプレだけどさ!」


はぁ。と溜め息を吐く。


「まあ、いいけどさ。『システム起動』」


少年が鍵言けんごんを唱えると、それに呼応してシステム─解り易く言えばステータス、モニター─が展開される。


リュート=キサラギ 龍神族 両性 不老

状態 正常

レベル∞

ユニークスキル

零の祭典ヌーラフェスティム

世界の智能ワールドアーカイブ

生命創造キャラクリエイト

武道の極致マルティアーリスペルフェクティオ


確かにゲーム時と同じステータスだな。

まあ、種族と性別と年齢に関しては少々ツッコミを入れたい所だが。


取り敢えず、武器と仲間を創ろうか。


「我、此処に刄を望む【零の祭典】」


すると、システムとは少し違う赤い透明なモニターが展開される。


銘称

種類

形成


今回は良く使っていた武器から創ろうか。


銘称

レーヴァテイン


種類

魔剣 


形成


銘称

エクスカリバー


種類

聖剣


形成

長剣 


銘称

ロンギヌス


種類 

聖槍


形成


「こんなモンか。さてと、……主装を死確の聖槍ロンギヌスに設定」


次は仲間を二人創ろうか


「我求む、血分けし血盟主を【生命創造】」


今度は、黒いモニターが展開された。


名前

種族

性別

職業

戦闘スタイル


そうだなぁ、好きな歴史上の人物のTS化にしようか。


名前

沖田総司


種族

人族


性別

女性


職業


戦闘スタイル

天然理心流


名前

霧隠才蔵


種族

人族


性別

女性


職業

くノ一


戦闘スタイル

暗殺 不意打ち


設定を完了すると、地面に蒼白い魔法陣が展開される。

光が一面に広がり、収まると二人の少女が顕れた。


「おはようございます、主様」

「…御早う御座います、御館様」

「おはよう。」

「して、本日は如何様な用件にてボクを呼んだのでしょうか?」

「……」

「いや、特に用件が有るって訳じゃ無いけど…… 強いて言うなら、旅のお供かな」

「了解しました。その任、承けさせて頂きます」

「……」 


総司は膝を着き、頭を下げながら言った。

対して才蔵はコクンと首を軽く振って答えた。

さて、今更だが総司達の容姿について述べておこう。

先ずは、総司。

髪は太陽の光を吸い込んだ様に明るく、瞳は空をそのまま写した様な透明感が有り、肌は白磁の様に美しく、手足はスラッと伸びていて綺麗と言う言葉が似合う。

しかし、顔は僅かに幼げでそのアンバランスさが微妙にマッチしている。

次に才蔵。

髪は墨汁を連想させる程黒く、髪は優しい菫の花の色、肌は黒い忍び装束に隠されており窺う事が出来ないがその手足はやはりスラッとしており、美しい。

顔も肌と同様、隠されているが小顔である事は分かる。

まあ、こんな所か。

俺?

いや、良いじゃん別に!

カッコいいよ?あ、当たり前じゃん!

因みに髪は黒、瞳は黄色な。

はい、終了。


「じゃあ、行こうか」

「はいっ!」

「……」


元気一杯の天真爛漫な総司と物静か(無言)な才蔵に挟まれながら俺は、創造した人物を間違えたかと、頭を抱えるのであった。

まあ、可愛いから許すがな!


◆ ◇ ◆


さて、森を歩いて二時間程。

食料は道中で動物を狩って、アイテムボックスに容れて有るから問題無い。

水は魔法で創れるのでこちらも問題無い。

ただ、一つ問題を挙げるとするならば、やる事が無くて暇だと言う事だ。


「はあ、暇だ」

「そうですねぇ~」

「……」


そのまま道無き道を歩いていると、争っている気配を【世界の智能ワールドアーカイブ】が感じ取った。


「丁度良いな。助けに行くぞ。……才蔵、先行頼んだ」

「…承知」


シュパッ!と、まるでアニメの様な音は立てずに無音で消えた。

まあ、そんな音普通は出ないし、出たとしてもそれじゃあ忍びとしての任務は務まらないよな。


「さあ、行こうか」


現場と現在地の距離は大体一キロ程。

大した問題にはならないな。

世界の智能ワールドアーカイブ】に接続し、身体強化の魔法を自分と総司に掛ける。

大体三分弱で着いた。

襲われてるのは情報通り、騎士達と馬車。

襲っているのは、オーガとオーガジェネラル。

数の比率は二対五と言った所か。


「出でよ【死確の聖槍ロンギヌス】」


右手の甲に在る十字架に鎖が巻き付けられている刻印に魔力を込める。

刻印から光が漏れだし、槍の形を形成する。

形成が終わると同時に光も収まり、刃は白銀柄は墨色の槍が露になった。

死確の聖槍ロンギヌス】を手に、オーガへ攻撃を始める。

既に才蔵が何体ものオーガを殺しており、オーガジェネラルへと攻撃を開始している。

だが、まだ低レベルな事が原因かオーガジェネラルに致命的なダメージが与えられず、姿を捉えられてしまっている。


「才蔵!下がれ!援護をメインに頼む!」

「承知」


やはり余裕が無くなっていたのか、返事を素早く返し既に後方に移動していた。

獲物に逃げられたオーガジェネラルは次は近くに居る俺に目を着けた。

その巨大からは考えられないスピードで走り寄ってくる。

俺も姿勢を低くしながら、槍を構える。

オーガジェネラルの剣をかわし、肩に刺突を加える。

真っ赤な血潮が抜く時に上がり、吐き気を催す。

だが、隙を与えない様に抑え込む。

そのまま、首にも刺突を加える。

しかし、今度は剣で軌道を僅かに逸らされ首を掠めるだけに終わる。

勿論オーガジェネラルもそれが軽傷には含まれない様で、痛みからか呼吸が荒くなっており目も虚ろになっている。

あまり長引かせても悪いのでさっさと決めにいく。

死確の聖槍ロンギヌス】に魔力を込め、より大きな力を加えて刺突で肉を穿つ。

心臓付近に突き刺さった槍は、血肉を撒き散らしながらオーガジェネラルの体を貫き、魔核コアを破壊していた。

俺がオーガジェネラルを倒し、戦況を確認すると既に殆どのオーガは討ち取られていた。

俺も早く終わらせる為に掃討戦に参加した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

えっ?ただのチートですよ? 近藤 護 @konoe_kanata

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ