第2話
本来であれば、吉宗は将軍の座につける立場にはなかった。
去る正徳七年、七代将軍家継が僅かに満で八つにして世を去った。ここにおいて二代秀忠の直系が途絶えるわけだが、兼ねてより、そうした場合には御三家より将軍を立てる旨の遺訓を東照神君家康は残している。
そこで、尾張、紀伊、水戸の三家から将軍を擁立することになるのだが、家宣・家継に仕え、事実上幕府を牽引してきた立場にあった新井白石、間部詮房は尾張家を推した。
新井白石は厳格な儒学者で、頑なさゆえに敵も多かった。また、間部は家宣が側室月光院とのよからぬ噂もあり、やはり反発を覚える者も少なくなかった。
次期将軍に吉宗を推す急先鋒は、家宣の正室天英院であった。
紀伊を推すもの、尾張を推すものとで江戸城は二分したわけだが、結局征夷大将軍の地位に就いたのは吉宗であった。
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