第11話


「ない!!ないないないないないないないない!」


顔を青ざめながら、バックをガサガサと漁る迷涼。。。


「何がないの?」


隣に居た迷涼の大学での友達であるー雨香ーが、自分のネイルを眺めながら、彼女を横目で見つめる。。。


「徹夜して書いたレポート!!!」


「あー、課題ね。そういや、今日までだったね」


「あめちゃんは…もちろん?」


「出したけど?」


ですよねぇ…。。。


声が出ない為、生暖かく微笑んで居た。


そこに。。。


「うさぎかし めいりょう?さん」


ん?何かの呪文??


何処か聞き覚えのある声がしたので、振り向く。


そこには、白衣を着て起きている龍夜。


そんな、彼に目を見開く。


彼女が、驚いているのは彼に謎の名前を呼ばれたことでも、顔を覚えてくれてる事について、喜んでいるわけでもない。


迷涼が、驚いている訳は。。。


起きてる!?


気持ち的には、眠姫が王子のキスなしで起きて自分で、朝ごはんを作って食べている。と、言う感じなのだ。


「ああ、この子がうさぎかし めいりょうちゃんね」


右京が、近付いてマジマジと迷涼を見つめる。


「ますず!です!とがし!ますず!」


「とがしって読むんだ!?全然分からなかった!」


迷涼の後ろの席に腰掛ける笹木部兄弟。


「で、人の名前をからかいに来ただけですか?」


不機嫌MAXで、二人を睨みつける。


「ありがとうは?」


「は?」


「コレは、何ですかね」


嬉しそうに、ニッコリ微笑んで遥から、受け取ったレポートを見せつけた龍夜。


「そ、それは!!!」


私のレポート!!と、取ろうとするがすぐに手を引かれてしまう。


「ありがとうございますは?」


「ありがとうございます!!!助かりましたぁ〜」


龍夜のイジメに、気付かずに嬉しそうにレポートを取り返す。


そこに。


「講義、初めんぞ〜?龍夜と、右京じゃん珍しい」


七倉が、やって来た。


「おや、講義始まりますか。ちゃんと、届けましたからね」


「ありがとうございます!」


「またね、ますずちゃん♡」


そのまま、二人は、教室を後にした。。。


七倉が、ふと迷涼に尋ねる。


「兎菓子って、笹木部兄弟と仲良いの?」


「いや、話すのはコレで二回目です。ちなみに、弟さんの方は今日が初めてですよ」


「ここだけの話、弟の右京には気をつけろ。アイツ、気に入った女生徒でも教員でも、手出しまくるらしいからな」


「あー、それは最低ですね」


内心関わりたくねぇー。と、思っていると、隣で雨香何やら感動していた。


「どうしたの?」


「笹木部兄弟に会えて話してくれるなんて、アンタどんだけついてるのよ!!」


雨香は、迷涼の肩を掴み左右に振る。


「し、知らないよぉ〜」


脳内が揺れて、吐き気がする迷涼。。。


「いい?!!あの二人セットは、レアなのよ?!!激レア!!分かりやすいように、話すとネッシーが人魚と近所の川に現れるほど、ありえないんだから!!」


「あめちゃん…ごめん、分からない」


「ポケ〇ンgoで、大学内でミュウ〇ーが出るぐらいの確率なの!」


「あー、それなら分かる」


「迷涼なら、分かってくれると信じてた!」


「あめちゃん…」


お互い謎の、握手を交わす熱い女子の友情。


「はーい、講義始めんぞー」


あほらし。と、講義を開始する七倉であった。。。

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