4月の風

 おだやかなひざしの中で

 幼い頃と変わらない風景が

 ほら 見ているだけであの頃に戻ってく


 さわさわと風が草をなでていく

 れんげたちがくすぐったそうにふるえてる

 子供の頃から変わっていないそこは

 いつも通り過ぎていくいつものルート


 下校途中にみんなで紙ヒコーキ飛ばしてた

 着陸に失敗して見事に川を流れていった

 なつかしい思い出は変わらないこの風景と共に


 遠くに無人駅かすんでる

 そのさらに遠くにはお寺の屋根が見える

 何十年も変わらない田舎の景色


 かつて歩いていた道はやがて自転車になり

 今じゃエンジンの力を借りてるけれど

 いくら速度が変わってもこの景色の中にいる時だけは

 あのころと同じ気持ちに帰っていくよ


 風のうたを竹たちが気持ちよさそうに山から歌ってる

 その自然のざわめきをまた記憶に刻んでく

 今は何のドラマもない日々だけど

 季節の連なりの中で一年ごとに訪れる景色を楽しんでいるよ


 いつの間にか空が雨を振りたそうにうずうずしていた

 大丈夫 雨具はいつも用意しているからさ

 安心していつでも降りておいでよ

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