夢の使者

 ひらひらとひらひらと

 七色の翅が目の前を泳いでいく

 世界の果てから聞こえてくる鐘の音と共に


 夢の中の景色のようにそれは在り得ないほど優雅で

 その小さな体に不釣合いなほど大きな翅で

 あなたは一体何処に辿り着こうとしているの


 世界がひとつの空で繋がっているように

 全ての陸地が同じ海に浮かんでいるように

 風にはどんな国境線も意味がないように


 朝目覚めて夢の続きを見てる

 忘れないように絵に描いて残そう

 言葉の絵筆を使って詩に書いて残そう


 ひらひらとひらひらと

 その蝶は軽々と海を越えていく

 千の蝶は風のベルトに乗って霧の中


 霧は全てを包んでいく

 全て無かった事にする位の勢いで

 強引な風が全てを吹き飛ばした時

 僕らは一体どの丘に立っているのだろう


 世界の果てから鐘の音が聴こえてくる


 由緒正しい古代から続く町並みにも

 人々の行きかうビルの立ち並ぶ街並みにも

 砂漠に作られた闇を知らない幻のオアシスにも

 煙の止まない人の絶えた歴史の残骸にも

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