はこにわの夜

 チカチカと弱い光が灯ってる

 まだお日様の名残が残る頃

 大気はすでに冷蔵室の雰囲気で


 いつだってその頃はとても寂しくて

 空をカラスたちが一斉に覆っていく

 暗い空に黒い灰が散らばっていく

 見えない妖が目覚め笑っている


 もうどれが自分の影だか分かんないね

 犬たちが何かに向かって遠吠えしているよ

 ネコたちがどこだろう お互いに爪を出して睨み合っている


 風は獣のように世界を切り裂いていく

 それでも空は何もないみたいに澄んでいて

 満天の星空が星座の形のままキラめいている


 締め切られた窓 孤独の部屋

 一人っきりで君は何をしているの

 僕は今こうして詩を書いているよ


 窓の外では

 犬が遠吠えして

 ネコがケンカして

 風が電信柱とセッションしてて

 それはもう賑やかだよ


 夜はまだまだこれからで

 このまま永遠の暗闇に閉じ込められてしまいそうで

 それもいいかなって思ったりもするのさ

 ずっと深い箱の底で永遠に辿り着けない何かを見上げながら

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る