第6話

前回のまとめ

日当たりの良いところでスランはマリーの態度にイラつくまま夜を迎える、マリーの術によりスランは剣、セフィは岩の盾を与えられる、そして黒い犬が無数に襲いかかって来るが、なんなく撃退、スランはホッとするが大鎌を持った黒い骸骨の鎧を着た黄泉からの使者が現れた、苦戦するもなんとか倒すが、マリーも倒れてしまう。


六話

黒い骸骨は崩れ地面に散らばり白い炎で燃えている

その白い炎を見つめ誰も喋ることなく炎は燃え尽き灰ものこさず消えていく

スランは心の中で呟く『こいつで終わりなのだろうか・・・』

手に持っている水晶の剣をぎゅっと握りしめる

突然、剣はその手の中で土に戻りボロボロと崩れていく

スランは驚き剣を握りしめていた手を見る、その手は黒く茶色に汚れていた

スランは、ハッとしてあたりを見渡し、地面に倒れているマリーを見つける

「マリー!」

ニーナもハッとしてマリーに向かって駆け出す

スランはマリー抱き起こし全身が汗で濡れて身体が冷え切っているのを知る

スラン「冷たい・・・おい、何もしてないのになんで倒れてんだ、おい答えろ!」

マリーの口はすこし開き唇は白く生気がないく、呼吸はしているもの弱い

ニーナは冷えきったマリーの身体に軽く右手を当て、息を吸い込む

スランはニーナのそれを見て

「おい、そんなことしたらマリーが・・・」

ニーナ「大丈夫、信じて」目を閉じマリーの呼吸に合わせる様にゆっくりと呼吸する

やがて、マリーの唇にすこしづつ赤みが戻る

スランにもマリーの身体が暖かくなって来るのが

抱き上げてる腕から伝わって来る

ニーナ「これで多分大丈夫よ、でもこのままじゃまたすぐ冷えてしまう、スラン、マリーを家の中に運んで」

スラン「おう」マリーを抱き上げ家の中へとすごい速さで走っていった

ニーナもあわてて、スランを追いかけて走っていった

セフィは黒骸骨の大鎌を奪おうとしたが

なぜか大鎌は突然、消えてしまい黒骸骨の肩から高く飛び上がり

全身を地面に叩きつけられその痛さに動けず夜空の星を眺めていた

セフィ「まだ敵いるのか?・・・だけどおれ、痛くて動けないや、あとよろしく、あはは・・・」

家の中にマリーを運んだスランはマリーを板間に寝かしマリーの服を脱がそうとする

スラン「なんだ、この服どうやって脱がすんだ」マリーの服をあちこちいじりまわす

スラン「めんどくせー」

スカートの端を掴んで脱がそうとするがマリーの腰に引っかかりぬがせれない

スラン「このやろう、背が低いわりに」

次は上着の端を掴んで引き上げて脱がそうとするが、胸も大きくそこで服が引っかかってしまう

そこに、ニーナが家に入ってきた、

マリーの白いお腹が丸出しで服を引張ているスランを見て

「なにやってるのよ!」

ニーナの平手ががスランの顔に飛ぶ

スラン「ぐぁ」

スランは叩かれた頬を抑えて

「濡れた服を脱がしてるんだよ」と言い訳をする

ニーナは顔を赤くして怒りながら「わかってるわよ、私がするから出ていって」

スランはマリーの白いお腹ともう少しで服から出てきそうな胸を見ると、すこし顔を赤くして「わかった」と言って、家から出ていった

スランが家から出ていくのを確認したニーナはマリーの服を脱がせ全身の汗を綺麗に拭き取り

乾いた服を着せ、囲炉裏の近くに布団を敷いてマリーを寝かせた

スランは家の外に出るとあたりを見回す

月は沈みかけて、夜空の星はキラキラと輝いている

今までの戦いが嘘のように静かだ

風は心地よく、草は揺れ木の葉がこすれてザワザワと音を立てる

もう、黄泉からの使者はこないようだ

スランは、すこしホッとするが

マリーは気を失っている

もし、このままマリーがいなくなってしまうと思うと、スランは手足が震えてしまう

スランは震える手をにぎりしめながら「くそ」と呟く

月は沈み、東の空から明かりがさす

スランは東の空から明るくなるのを見て、心の緊張がとれ眠くなってくるが

なぜか、あの黒の骸骨と戦った場所が気になりフラフラと歩き出す

そこで、スランは倒れている人影をみつける

スランはハッとして駆け出す

「おい、セフィ」

スランの呼びかけに応えることなくセフィはピクリとも動かない

スラン「セフィー」両膝をつきセフィの両肩をつかむ

セフィ「あと・・・5・・・分だけ・・・寝か・・・してムニャムニャ」

スラン「フッ」

スランは、立ち上がり、セフィをその場に残してニーナとマリーのいる家に戻って行った

家に入ると、布団で寝ているマリーとすぐ横で一緒に寝ているニーナを見つけた

寝ている2人を起こさないよう、そっと囲炉裏の近くに座り小さく燃えてる炎に薪を投げこんだ

パチパチと炎は大きくなるのを見て、スラン睡魔に誘われるように横になった

燃える炎と2人の寝顔を見てスランは安心して眠りについた

日もすこし高くなり鳥の鳴き声が響く

今日も、マリーは鳥の鳴き声で目を覚ます

マリーはゆっくりと起き上がると、少し考え込み夜のことを思い出し周りをみわたし

セフィがいないのに気がついた

マリー「セフィがいない」

マリーは慌てて近くで寝ていたニーナを揺さぶり起こす

ニーナは慌てているマリーを見て

「なに、マリーどうしたの?」とマリーを心配する

マリー「セフィは・・・セフィは何処?」

ニーナもセフィがいない事に気がつき蒼ざめる

その時、家の扉がガタンと開く、そこには目をこすりながら立っているセフィが

「あー・・・おはよう、何かあったの?」

青ざめているいるニーナと、泣いているマリーに気がつく

ニーナは身体中の力が抜けふらつき

「セフィ・・・よかった」

マリーはハッとして「昨日の戦いがすばらしくて、ニーナと感動してたところですわ」

マリーはこっそりと涙を拭く

ニーナは目をうるわしながら

「セフィ外でなにしてたのよ」

セフィ「いや、外で寝てたみたい」とあくびをする

マリー「え、外で・・・」

マリーは、泣いてしまったことが恥ずかしくなり顔を赤くし拳を握る

マリーのその様子を見たセフィは、怒っているのと勘違いして

「おれ、なにか悪いことしました?」と怯える

マリー「なにビビってますの、それではこの先心配でしかたありませんわ」とおーほっほーと笑いながら布団に潜る

スランは目を閉じたまま、その様子を全部、聞いていた

『おれは悪くない、おれは悪くない』と何度も心の中でつぶやき寝たふりをする

布団の中に頭まで入ったマリーにイナリ様がよりそってきた

「よくやった」とマリーに囁く

マリーはイナリ様を抱きしめ「がんばったよ」と言って目を閉じ昨日の夜のことを思い出す


スランが黒い骸骨に切りつけた時とても辛かった

スランが一振りして紅い水晶の剣が吹き飛ばされるたび

マリーは心を殴られている感じがして力が抜けていくようだった

岩の盾を削られていくたび、心を削られていく感じがして

その都度、意識が薄れていった

紅い水晶の剣、岩の盾、どちらもマリーの魔力と精神力でその形を成し維持していた

それらが削られ傷つくたび、マリーの魔力と精神力も削られ

すこしずつ魔力を失っていく

マリーはそれに耐え、脂汗をかき、地面に伏してなを意識を保った

地面に伏している時マリーの体は地面の冷たさと汗によってどんどん冷やされ

さらに、ニーナが作り出した冷気によって氷のように冷えていった

マリーは白く輝いてるニーナを見て「がんばれ」と小さく呟いた

そして、空中に舞う幾つものの小さな光の粒を見た

マリーは布団の中その時の綺麗な光景を思い出し震えた

そして、布団の中で抱きしめるイナリ様の暖かさを感じ

初めてニーナと出会った時の日を思い出した


あの日、地面に積もり始めた雪を踏みしめながら、見渡すかぎり平原の何もないところを走っていた

遠くに見える山はすこし白くかすみ、雪の降る中白い息をはずませ山に向かって走る

「急がなければ、今夜・・・」

マリーは、走り続けた、そして、首に巻きついてるイナリ様の暖かさを感じた

やがて、日は暮れ、闇が周りを包みこむみ、雪はやみ空が晴れていく

雲の隙間から月の光が差し込みあたりを照らす

積もった雪は白く光り夜道を照らす

マリーはやっと村のはずれに到着した

村は静まり、わずかな光が家の隙間から漏れている

マリーは村の様子を探る、村のほとんどの人はもう寝ているようだ

そして、マリーは考え込んだ

この村では誰もわたしのことを知らない

いきなり現れどう説明しても誰も自分の言うことは信じてもらえないだろうと

また、こんな夜更けにいきなり騒いでも、泥棒か盗賊と間違われてしまう

マリーは村の中心に向かい、そこで手のひらに収まる水晶を取り出し地面に置いた

水晶の中には蒼く光る五芒星が浮かんでいる

マリーはその水晶に両手を添え唱える

「村を全ての闇に包み込み、死せる者を示せ」

村は闇に包まれ、地面に置いた水晶から一筋の光が伸びる

マリーは光が示す方向に走り、一軒の家に入る

家の中の人は、マリーが入ってきたのに誰も気がつかない、

走って地面を蹴る音、扉を開ける音、月の光、焚き火の光、全てが闇に飲み込まれる

マリーは水晶の光で示された少女を見つけた

そして、少女の腕を掴み家の外に連れ出そうとする

少女はびっくりして悲鳴をあげ掴まれた腕を振り払い抵抗するが、悲鳴は全てが闇に飲み込まれ悲鳴にならない

少女は、何も聞こえないことに気がつき、自分の腕を掴んでいる人を見ようとするがよく見えない

囲炉裏の炎はよく見えているのに・・・

マリーは力ずく少女を引っ張り連れ出す、少女はパニックになりマリーのされるがままについて行く

村を出たところで周りが明るくなり、少女は自分の腕を掴んでいるのが自分より小さな女の子と知る

少女は悲鳴をあげる、悲鳴はあたりに響きわたる

マリーは止まり少女の顔を見つめて

「おねがい、私を信じてついてきて!」

少女は見たことのない服装、髪の色、目の色にとまどい

「だれ・・・どこから来たのよ・・・信じられるわけないじゃない・・・」と

手を振りほどこうとするが、掴まれた腕は強く握られ離れない

「わたしは、マリー、あなたを助けたいの、もう時間がないの・・・」

「意味わからない、いきなり連れ出して助けたいって・・・どうかしてる」

「よく聞いいて、昨日なにかあなたに変なこと起こらなかった?」

「変って・・・あなたが一番変じゃない」

「そうじゃなくて、昨日あったことよく思い出して、大怪我していつのまにか治ってたり、あと何かで死にかけてもいきなり元気になったとか、あるはずよ」

少女はマリーの必死に訴えている表情を見て、昨日のことを思い出してみる

「昨日は・・・というよりかなり前から熱を出して、苦しんでて・・・気が遠くなって・・・それから・・・」

「それから」マリーが聞きかえす

「気がつくと、村の人がわたしの周りにいて・・・泣いていたわ・・・」

「そう、それで」

「わたしは、起き上がり、みんななんで泣いてるのと聞いたら・・・みんなびっくりしてたわ・・・」

「あなた、その時死んだのよ」

「何言ってるの、わたし生きてるじゃない」

「正確には、死んで生き返ったのよ」

「うそよ、そんなの・・・」

「でも、病気治ったのでしょ?」

「そうだけど・・・」

少女はその場に力なく崩れる

「あなた名前は?」

「ニーナよ・・・」

「ニーナもう少し走って、ここだと村の人に危害がおよぶわ」

「走れって・・・どこに!」

「村からもうすこし離れるのよ、だから立って」

マリーはニーナの腕を支える

ニーナは訳が分からずマリーの腕にしがみつき立ち上がり

雪が積もった大地を手を繋いで2人は走り出す

マリーとニーナは白い息をはずませ、村から離れた見渡しの良いところにたどりつく

周りは、視界を遮るものはほとんどなく、月の光に積もった雪が白く輝きとても明るい

「この辺りでよさそうね」

「こんなところで、なにするき?」

「ここからが、本題よよくきいて、もうすぐ黄泉から敵がくるの、その的をわたしとニーナの力を使って倒す、できるわよねニーナ」

「力って・・・なに?」

「え、目覚めてないの?」

ニーナはマリーに向かって大きく手を広げて

「やっぱり、あなたおかしいい、変よ!」と叫ぶ

その時、マリーの首に巻きついている白いものがするりと落ち

地面にちょこんと座る、

ニーナはびっくりしてそれを見る、

「白い狐?」

「イナリ様・・・」マリーは呟く

白い狐がしゃべりだす

「ニーナ、死んだ時のことをよく思い出せ」

「死んだ時・・・?」

「そうだ、その時、感じたことがあるだろう」

ニーナは、白い狐の金色に光る目を見つめて

「感じた・・・」そして、ニーナは目をゆっくりと閉じ思い出す

「体が熱くて・・・とても寒かった・・・」

「そうだ、それを感じて力にする」

「感じて・・・力に・・・」

ニーナの右腕が白く光りだす

光はニーナの腕を包み込み、白く燃え出し手の甲から肘にかけて白く燃える

ニーナは右腕になまあたかさを感じ目を開き、自分の右腕を見て叫ぶ

「キャーー!」

右腕の炎は段々とちいさくなりきえ、右腕が白く輝いている

「なに・・・これ、気持ち悪い・・・」

「それが、あなたの力」

「これが?」

「そう、でももうのんびりと説明してる暇はないわ、奴らが来たわ」

マリーは遠くの方を睨む、その先には幾つものの赤い光が揺れている

ニーナもマリーの視線の先にあるものに気がつく

「なにあれ、こっちに近ずいて来てるようだけど」

「黄泉の使者よ、ニーナを連れに来たのよ」

その赤い光は、数え切れないぐらい増えていき

よく見るとそれは、赤い目でその体は黒い犬のように見える

マリーは懐から水晶の玉を一つ取り出すと黒い犬の方に手を差し出し

手のひらの水晶に唱える

「雪よ刃となり、敵を貫け」

水晶の中で光ってる五芒星はさらに輝きを増す

地面に降り積もった雪が下から突き上げるように飛び出し黒い犬を次々にと串刺しにする

そして、雪の刃はあたりを埋め尽くす

マリーの手のひらの水晶が砕けると、地面から雪の刃が飛び出すのをやめる

黒い犬は地面から飛び出した雪の刃により、わずかに歩みを止めるが

雪の刃に引き裂かれながら前へと進む

そして、邪魔なものはすべて噛み砕いていく

「ニーナ、あなたが頼りよ、その炎であいつらを消し去らない限り、いつまでも追いかけてくるわ」

「そ、そんな、無理よ」

ニーナは自分の右腕が白く輝いているのを見て首を横に振る

「ニーナ、あなたがさっき出した、その炎であなたの腕は怪我した?」

そう言われて、ニーナは自分の右腕をよく見て

「どこも、痛くないし怪我も火傷もない・・・」

マリーはニーナの方を見て微笑みながら

「その炎で、あなたは傷つかない、だからもう一度さっきのようにおねがい」

ニーナはマリーの方を見て、すこしためらうが覚悟を決めて

「わかった、やってみる!」と言うと目を軽く閉じさっきと同じように意識する

雪の刃を突破して来た黒い犬が勢いよく走って来る

マリーはまた水晶を取り出し唱える

「風よ盾となり、敵を吹き飛ばせ」

水晶の五芒星が輝き出す

こちらに向かって来る黒い犬は次々に、空高くまいあがり地面に叩きつけられる

しかし、何事もなかったように、こちらに向かって走ってくる

また、空高くふき飛ばされる

マリーは横目で、ニーナを見つめて『がんばって』と祈る

ニーナの右腕の光は激しく光り出し、白い炎にかわる

そして、白い炎は徐々に大きくなり、肩まで燃え広がり

やがて全身を包み込んで白い大きな炎の塊となった

いつのまにかマリーの首に巻きついていたイナリ様が「いまだ」とマリーに囁く

マリーは素早くニーナから離れていった

「ニーナ!」

白い炎の塊はどんどん大きくなりやがて、天辺から幾つもの皮がめくれる様に周りに広がっていった

そして、マリーが持ってた水晶は砕け、黒い犬を吹き飛ばしてた風は止まり

黒い犬が勢いよく走りニーナを襲う

ニーナを包んでいる白い炎により黒い犬は次々と燃えあがり

地面に転げてなにも残さず消えていく

やがて、全ての黒い犬は焼き尽くされた

しかし、白い炎はさらに大きく広がり、マリーまでも燃やす勢いで広がり続ける

白い炎は周りのもの全てを包み込み、燃やしてしまうように思えたが

不思議なことに、白い炎に包み込まれた木や草は凍り始めた

白い炎は地上から見ると大きな波がゆっくりとおしよせるようにみえるが

上から見るそれは、中心から皮が一枚ずつ広がっていく姿は、

白い大きな花にも見える

「ニーナもう終わりよ、終わったのよ!」と叫ぶがその声はニーナには届かなかった

マリーは燃え上がる白い炎が迫り来るのを恐怖した

「こ、このままだと・・・」

マリーは覚悟を決め最後の水晶を手に取り唱える

「盾となり、我を守れ」水晶の五芒星が激しく光る

マリーは水晶を握りしめ、白い炎の中に飛び込んだ

マリーは水晶に守られ凍ることなくニーナなの名を叫びながら白い炎の中を突き進む

まわりは、白一色でもうどこをどう走って来たのかわからなくなったその時

マリーはニーナを見つけた、

マリーはボロボロ泣きながらニーナを抱きしめた

「ごめん、ニーナ助けられなくて、あたしも一緒に死ぬわ」

ニーナは薄れる意識の中マリーの声を聞き「マリー」と呟く

マリーの手の中の水晶はやがて砕け、マリーは白い炎に包み込まれる、その時

マリーの右腕にはめていた、古びて幾つものキズが目立つ籠手が白い炎を吸いこみ始めた

そして、それは一瞬で全ての炎を吸い込んだ、

マリーは驚き右腕の籠手を見た、籠手は白く輝いている

マリーはこの籠手をはめた時のことを思い出した、

『あれは、確か・・・あいつが、これは家の家宝ではめていると良いことあるわよと言って、無理やりはめさられ、脱ごうとしたら呪われててとれなくて・・・その後は些細な不幸ばかり・・・ムカつくこの籠手が・・・』

マリーニーナを抱きしめながら

「でも、助かったから許すわ」

ニーナは泣いているマリーの頭を撫でながら思った

「出会ったばかりなのに、なぜこの人はこんなにも泣いて、わたしをたすけてくれるの」ニーナはマリーを見つめた

そして、ニーナとマリーは手を繋ぎ一緒にあたりを見渡す

風はとても冷たく肌にささるように痛いが、あたり一帯を舞う小さな氷の粒が月の光にキラキラと輝く

その光景がニーナとマリーの心を癒す

マリーは呪われてずっと右腕から外れなくなってた籠手が、右腕から緩くなって外れそうになっているのに気がつき

白く輝く籠手を外した

「これ、ニーナが持ってた方がいいと思う、きっとニーナを守ってくれる」

と言い籠手をニーナに渡した

白い炎は消えたもののニーナの右腕はすこし輝いて見えた

ニーナはその輝きを隠すためのように、マリーから受け取った籠手を右腕にはめた

「ニーナの村に行こう」

「うん、帰ろう」

村にかかっていた魔法はいつのまにか消えて無くなり

たくさんの人達がこちらの様子を伺っていた

その後、マリーは数日ニーナの村にお世話になった

そして、マリーはニーナと村の人達に別れを惜しまれながら

首に巻きついた白い狐と、どこかに旅立っていった


布団の中、マリーはイナリ様を抱きしめ眠っている。






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