第5話
前回のまとめ
朝マリーが目を覚ますと、イナリ様から今夜に黄泉からのお迎えが来ると告げられ、マリーはニーナとセフィ、スランにイナリ様からのお告げをつげ、黄泉について知っていることを語る、スランはやる気を出すが、どうやって戦うかマリーに突っ込まれて終わる。
家の外、スランは日当たりの良いところに座りブツブツと呟いていた
「あの女、何聞いtも任せろだの、大丈夫だのとばかり言いやがって、家の中でごろごろするだけで何もしやがらね・・・ニーナもあの女と同じで任せれば大丈夫だよといいやがる・・・」
スランは空を見上げ、ため息をつき口を閉じた
やがて日も暮れ食事も終わり
スランは怒りの絶頂に達しようとしていた
ニーナはまーまーとスランをなだめていたが
スランの怒りは爆発した
「ちび女、もう夜だいい加減おしえやがれ!」
マリーはチビというところに反応してすこしイラついたが気を取り直して
「いいですわ、説明しますとても簡単ですわ」
「それで」
「わたしが術を使って、あなた達お二人に武器を作って差し上げますわ、それで戦えばよいことですわ」
セフィ「おーーー」と喜ぶ
スラン「ならなぜさっさと作れよ」
マリー「わたしの術はその力を維持するのに、魔力なるものを消費しますわ、いくらわたしが偉大でも、さすがに何時間も維持すると疲れますので日が沈んでから作りますわ」
スラン「だったらもったいぶらず、さっさとそう言えばいいじゃねーか」
マリー「あなた達の焦る顔が見たかったですのね」といつもの調子で笑う
スランは拳を強く握りしめながら心の中で、『くそ、このチビ女いつか切り刻んでやる』
マリーは立ち上がり
「そろそろ準備しますかね」
黒いマントを纏い外に出て行った、三人もそれに続き外に出た
外は日も沈み、外を照らす明かりは出てきた家の隙間からわずかにさし
夜空に浮かぶ幾つものの小さな星と月の明かりのみ
マリーは何もない土の上を指差し
「スランそこに立って頂戴」
「ああ」
スランはマリーの指差した所に移動した
マリー「スラン何があっても動かないでね」と言うとマリーの人差し指が蒼く光り出した
マリーはスランに向かって素早く蒼く光る指で五芒星を空中に描きその五芒星を両手で囲う、そして力強く唱える
「血よ出ろ」
スランの首元から勢いよく血が吹き出し地面に落ち土に染み込む
スラン「ぐあ」目の前が暗くなりふらつく
マリーは右腕を斜めに振り「解除」と唱えると
スランから噴き出していた血は止まった
スランは踏ん張り「てめー」とマリーを睨みながら自分の首を手でおさえるが、首には傷もなければ血も付いていない
マリーは無表情で「動かないで」と言うとまたマリーの人差し指が蒼く光りだす
マリーは地面に染み込んだ血に向かって五芒星を空中に素早く描き両手で囲い唱える
「血よ土よ、鋼となりて。剣となれ」
血の染み込んだ土がもぞもぞと動き出し赤黒い剣に形を変えていく
完全に剣に成ったのをマリーは確認して両手を下ろす、蒼い五芒星は風に吹かれたかのように上に伸びて消えていく
マリーは「フゥ~」と息を吐き「いいわよ、スランその剣拾って」
スランはしゃがみ赤黒い剣を拾う、剣はスランの持ったところから紅く透明になっていく
スランの心がざわめき立ち、その紅い瞳がさらに紅くなるようだった
それを見ていたセフィは「おーーかっきい、おれもほしいー、スランのよりもでかくてかっこいいのが、ほしいいー」
マリーはセフィを無視して「いいその剣の形を維持しているのはわたしの魔力だから、使い方には気をつけるのよ」
スランは紅い剣を見ると興奮して「ああ、いつでもいいぜ」
セフィ「あー!マリー無視してる、おれにもデカイ剣をつくってよー!」両手で拳を作り地団駄を踏む
ニーナ「セフィすこし落ち着こうね、マリーはセフィにあった武器つくってくれるからね」
マリーはため息をつき
「セフィあなたは、戦った経験とかあります?」とセフィの方を見る
セフィ「戦うって・・・なにと?」
マリー「そうだろうと思いました、あなたにはあなたに合った物をちゃーんと作ってさしあげますわ」
セフィ「そっか、かっこいいやつたのむぜ」
マリーは岩の方に向かって歩き出し、岩の近くに来ると、セフィの方を見てその岩を右手で軽く何回か叩きながら
「この岩使って作りましょうかね」
セフィ「おー」と拳を作りその拳を上に突き上げる
マリーは岩から二、三歩離れ、右手で人差し指を岩に向かって突き出し、スゥーと息を吸い込むと人差し指が蒼く光りだす
蒼く光りさした指で空中に素早く五芒星を描き、五芒星を両手で囲む
「岩よ、死の刃から守る盾となりれ」
岩は、グニャグニャと形を変え岩の分厚い板みたいに形を変えた
セフィは岩の盾を指差し「なんでーーそれカッコ悪いよ、いやだいやだー」両手で頭を抱え嫌がる
マリー「以外と疲れますのよ、これ以上はもう無理ね」
ニーナ「マリーはちゃんと考えがあるんだから、これがいちばんいいんだよ」
セフィは肩を落とし元気なく「ああ~、これでどうやって敵をたおすんだよ・・・」岩の盾に近づいていく
セフィは岩の盾を拳で軽く叩く「これ、すぐ壊れたりいないよな・・・」
マリー「大丈夫ですわ、わたしの魔力を注ぎ込み作った物、敵も盾に向かってまっしぐらですわ」いつもの笑いが響く
セフィは不安そうな顔で盾を持ち上げる「うへ、おもてー」盾を持ち上げふらつく
マリー「さて、準備も整ったこと敵もそろそろ来る頃ですわ、ニーナ灯りをお願いしますね」
一時間後
スランとセフィはしゃがみこみだらけてる
セフィ「来ないじゃないか、いつまで待つんだよー」
マリー「敵はこちらの都合に合わせてはくれませんわよ」とセフィに気合を入れる
セフィ「そいや、今気づいたけどニーナには武器作らないの?」
ニーナ「わたしには、これがあるから大丈夫よ」と右腕にはめた白い籠手を見せる
スランはニーナがはめてる白い籠手を見て「前から聞こうと思ってたけど、何時もつけてるよな、それ」
ニーナはスランに微笑みながら「これつけてないと、困るの」と右腕の白い籠手をスランに見せる
セフィ「そうだよね、ねーちゃん料理する時もその、もごもご」ニーナが慌ててセフィの両の頬っぺたを指でおさえる
ニーナ「セフィ余計な事はいわなくていいのよ」と苦笑いする
マリーは両手を上げ呆れた顔で「ニーナ別に隠さなくていいわよ、ただ知らない人には使ってるところみられないでね」
ニーナはセフィのホッペを指でグリグリしながら笑顔で「はーい、マリー」
スラン「ん、それでその白い籠手はなんだ?」
ニーナ「えーと、これはですねー・・・」
マリー「それはね、わたしの家に伝わる秘宝中の秘宝、白雪の籠手っていいますの」
スランは腕を組んで「なんだ、そんなにすごいもの盗んできたのか?」
マリーは怒りながら「盗むわけないでしょ、それは、わたしの家の家宝、家を出るときにもらってきたのよ」
スラン「たいしてかわらねーよ」
セフィは思い出したように手を叩き「そうか、それで最近ご飯が美味しくなってたのかー」
ニーナは拳を作りセフィの頭をゴンと殴る
スランはゲラゲラ笑いだし「さすが家宝だな」
マリーは怒りながら白い籠手を指差し
「これはね!ニーナの力を強めたり制御するのに必要なの」
スラン「あー、わかった」と言いながらまだ笑ってる
マリーほ心の中で『魔力垂れ流しで疲れるのに、なんと、まー・・・』と嘆きながら視線を遠くの暗闇に向けると、そこには幾つものの赤い光の点が見えた
マリーは、ハッとして松明を掴むと、赤い光の方に向かっておもいっきり松明を投げる
三人もマリーの投げた松明の先に何かがいるのに気がつく
松明の揺らめく灯りに照らされ、さらに赤く目を光らせ低く構え松明に噛みつき
なにごともなく、火のついた松明を何度も噛み砕く
松明は消えたが、松明で照らされたそれは黒い犬のように見えた、そしてその体に生えているそれは、幾つものの太く平で先は尖り、まるでトゲの付いた鱗のの鎧を着ているように見えた
セフィ「すげー犬、何匹いるんだ?」
マリー「感心してないで、セフィは攻撃に備えて盾で防御、スランはセフィのサポート、ニーナは力溜めて準備」
セフィ「おう!」と犬に向かって盾を構える
スラン「しかたねーな」とセフィの斜め後ろに立つ
ニーナ「はい」と言って右腕を前にして構え拳を作り力を込め叫ぶ
「わぁーー」白い籠手の周りから白い炎ようなものが噴き出してさらに、ニーナが叫ぶと拳の先に白い塊が現れ大きくなっていく
その時、黒い犬達が走り出してきた
黒い犬の多くは大きく口を開けセフィが持っている盾をガリガリとかじる
それ以外は、スランに向かって黒い牙を剥き出し襲ってくる
スランは人とは思えないぐらいの速さと剣さばきで、黒い犬を次々と切っていく
切られた犬は血も出さず地面を転げまわり切断された所から黒い糸のようなものが伸び繋がろうとする
マリー「ニーナ、転がってる犬を燃やして」
ニーナ「はい」
ニーナはスランに切断されて地面に転がっている黒い犬に拳の先にある白く光る塊で殴る
白い塊に殴られた黒い犬は次々と白く燃え出し灰も残さず消えていく
残るはセフィが相手をしている黒い犬のみ
スラン「残るは!」と叫びセフィの方を見ると
セフィは盾を構えたまま黒い犬に身体中をかじられていた
スラン「セフィー!」
ニーナ「きゃー!」
セフィ「痛い痛い、盾重いし犬邪魔でうごけねー」
マリー「何してるのよスラン、どんどん切っちゃって」
スランはセフィに噛み付いている黒い犬を切っていく
しかし黒い犬は切られてもしつこく頭の部分はセフィに噛み付いたまま離さない
セフィ「痛い、スラン早くなんとかしろよ」
スラン「あー面倒な犬だな」
スランはセフィを傷つけないよう黒い犬を切っていく
そして、ニーナの白い炎で黒い犬は燃やし尽くされいなくなった
スラン「やれやれ、以外と大したことなかったな」
セフィ「おれ痛かっただけだぞ・・・」
マリー「何言ってるの」黒い犬が来た方向を指差し
「メインディッシュはこれからよ」
マリーが指示した方を見ると、そこには大きな鎌を持ち黒い鎧を着た大きな人が歩いて来る
黒い鎧が月明かりに照らされ、その体ははガリがに痩せて骨の形がよくわかり、その頭は凸凹して人の頭の骨によく似ている
黒い骸骨が歩いていると言っても良いぐらいの不気味さだ
身長は3m以上はあるだろう、その手に持つ大鎌を振り上げる姿はさらに大きく見える
鎌は振り下ろされる、それは上から落ちてくるような感じで、セフィを襲う
セフィは岩の盾で大鎌を受け止める
岩の盾と大鎌は火花を散らし大鎌が岩の盾を削っていく
スランは飛び上がり、黒い骸骨の頭に向かって紅い水晶のような剣を振り下ろす
黒い骸骨は、持ってた大鎌で受け止める
スラン「き、切れない」
スランは、さらに剣に力を込めるが火花が散るだけ
スランは地面に着地し後方に飛ぶ、黒い骸骨は大鎌を横後ろに振りスランに向かって水平に切る
セフィ「スラン!」重いし岩の盾を持ち大鎌に向かって飛び込む
大鎌はまた火花を散らし岩の盾を横に削るが、なんとか受け止めた
スランは大鎌の動きが止まったのを見て、黒い骸骨の足に切り込む
紅い水晶の剣は火花を散らしながら黒い骸骨の足に切れ込むが、半分くらい切断したところで剣は吹き飛ばされた
スラン「くそ、最後まで切れない」今度は大鎌の届かない所まで退がり、紅い水晶の剣の状態を確かめる
剣は刃こぼれすることなく紅く透き通っている
スラン「まだいける」
黒い骸骨は、後ろにふらついたが、すぐに大鎌を振り回し岩の盾を削っていく
セフィ「うあああ、このままじゃもたない、ニーナ!マリー!」叫ぶ
スランは隙をみて切り込むが、どうしても剣が途中で跳ね返されてしまう
ニーナは大鎌の動きについていけず動けないでいると、後ろからハーハーという息遣いが聞こえて来る
振り向くとそこには、地面に両手をつき脂汗をかいているマリーがいた
ニーナ「マリー!大丈夫?!」マリーに駆け寄ろうとする
マリー「来ないで! ニーナはあいつを焼き尽くす力を炎を」
ニーナ「は、はい、でもマリー」
マリー「みんなで生き残るんでしょう・・・」
今にも気を失いそうなマリーを見てニーナは「もちろん」と言い黒い骸骨を睨む
ニーナは右腕を上に上げ右腕に力を込める
拳の先にある白い塊はすこしづつ大きくなっていく
セフィ「盾が!」
セフィの焦りは恐怖となり、恐怖は怒りと変わっていく
そして、セフィは怒りに任せて削られて軽くなった岩の盾で黒い骸骨に向かって突っ込む
黒い骸骨は大鎌を横に構え岩の盾を受け止める、岩の盾は砕け散り大鎌はその衝撃で上に弾き飛ばされる
セフィは岩の盾を捨て、上に弾き飛ばされる大鎌につかまり
空中で半回転して骸骨の両肩に飛び乗る
セフィは大鎌を両手で掴んで
「その鎌よこしやがれ!」と叫びながら黒い骸骨の大鎌を奪おうと持ち上げる
黒い骸骨は取られまいと必死に抵抗する
スラン「よくやった、セフィ」
スランはいつのまにか黒い骸骨の正面にたち黒い骸骨の腹のあたりに剣先で無数に切りつける
黒い骸骨の腹に大きな黒い穴があく
スラン「今だニーナ、それを叩き込め」
ニーナ「はい!」スランがあけた黒い骸骨の腹の穴に向かって白い炎の塊を叩き込む
黒い骸骨はスランによって切られた身体中の隙間から白い炎を噴き出しながら崩れて行く
黒い骸骨が白い炎により崩れていくなか、周りに白い小さな無数の氷の粒が風に舞い上がるのをスランは気がつく、そしてこの時期にはありえない冬の寒さをスランは感じた。
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