第4話

前回のまとめ

マリーが動けなくなったスランを連れて戻って来た、ニーナは喜んだがセフィはマリーのことまで忘れていた、そんなセフィを見たニーナは不安になる、疲れたマリーとスランは家に入り休息をとる、セフィはマリーの首に垂れ下がる白いものが気になりマリーに怒られたのも忘れて再び白いフサフサしたものを触ろうとする、セフィはマリーが寝ている布団に忍び込み謝ってマリーの胸をまた掴んでしまう、そして家の外まで逃げたもののマリーに捕まってお仕置きされてしまうのであった。


四話

次の朝、空気はやや冷たいもの空は晴れわたり、森の奥からは鳥の鳴き声が聞こえてくる

マリーはその鳥の鳴き声に起こされるよう眼を覚ました

すぐ横にはニーナが穏やかな寝息をたててまだ眠っている

昨日の夜、久しぶりの再会をニーナは喜び、一緒に布団の中でいろいろしゃべっているうちに二人とも寝てしまったのだ

マリーは寝ているニーナを見て昨日の夜ニーナと話したことを思い出して微笑みニーナの頭を軽く撫でた

その時、ニーナの方から「今宵奴らが迎えにくる」と声がした

マリーはドキッとしたが、声の主が誰なのかすぐ理解し言い返した

「相変わらず趣味が悪いですね」

「そなたも、昨日はふざけすぎであったろう」

ニーナの頭の上からマリーにの首にいつも巻きついてた白い狐がピョンと顔を出し、しゃべりだす

「少々やりすぎではなかったか」

マリー「いえいえ、教育は必要ですよ、それに自分がどいうものか教えとく必要もありますからね」

白い狐はマリーを少しの間見つめ

「よかろう、今宵の試練を成し遂げたのち、また話そうぞ」

言い終わると白い狐はニーナの後ろに消えていった

マリーはニーナの頭を撫でながら

「はい、イナリ様のおっしゃる通りに」

ニーナはマリーに撫でられて気持ちよかったのだろう、

微笑みながら、ゆっくりと眼を開けた

「おはようございます、わたしもお返しにナデナデしますね」

ニーナはマリーの脇腹あたりを撫で始めた

マリーは大笑いして

「そこは、ダメーやめてー」と体を反らす

それを見たニーナはクスクスと笑った


下の板間で寝ていたスランはその笑い声で目が覚め不機嫌そうに

「朝から賑やかなやつらだ」とブツブツ言いながら家の外に出ていった

セフィもスランの近くで寝ていたのだが起きる気配はなかった

彼女らの撫であいと笑い声は数分間つづいた


笑い声が止み二階からニーナとマリーが降りて来た

ニーナはいまだに寝ているセフィを見つけると

「セフィ朝だよ、朝ご飯だよ」

すぐに、セフィは寝ぼけた様子で

「メシ・・・お腹すいた」と起き上がった

ニーナ「セフィ、今から作るから火おこしおねがい」

「ん・・・なんで?」とニーナを眠そうに見上げる

ニーナは苦々しく微笑みセフィを見つめる

「いつもみたいに、ねーちゃんがその右手をを使って」

それを聞いたニーナはセフィの言葉を遮るように

「お願い!」とだけ言い道具を持って慌てて外に出ていった

セフィは仕方なく部屋の隅に置いてあった火打ち石を取り出し、カチカチと始めた

マリーは囲炉裏を挟んでセフィの向かいに座り火打ち石がだす火花を見ていた

沈黙の中、セフィが打つ火打ち石のカチカチとという音だけが響く


そこに、バンと扉を勢いよく開けスランが入って来た

セフィとマリーはびっくりして、スランの方を見た

セフィ「なんだ、スランかびっくりしたよ」

スラン「あまりにも静かだったから、誰もいねーと思ったんだよ」

セフィ「それで、何しにきたの?」

スラン「ニーナがメシするっていうから、来たんだよ」

セフィ「メシぐらい自分の家で食ったら?」

スランはムッとしながら「あ~、今この村にいるのは俺たちだけだろう、1人だけで食えって言うのかよ」と言いってセフィに近づいて来た

セフィはスランの方を見てすまなそうにして

「あはは、1人じゃ味気ないよね」

スランはセフィの手元を見て

「お前を何やってんだよ?」

セフィはスランが自分の手元を見ているのに気がつき、火打ち石をスランによく見えるようにして

「これ、知らないのか火をつけてんだよ」

スラン「見りゃわかるよ、ぜんぜん火がついてないじゃねーか」

セフィ「なかなかつかにんだよ」

スランは手を差し出し

「それ、かせよ」

セフィ体は火打ち石を奪い取ると、火打ち石を打ち始める

すぐに藁はくすぶり始め、息を吹きかけると火が出て薪に燃えうつった

マリー「やれやれ、これでニーナの力使わずにすみそうですね」

マリーはスランの方をちらりと見て

「あなた、出ていったきりもう戻ってこないかと思ってましたが、戻って来てホッとしましたわ」

スランはマリーを不機嫌そうに見て

「あー、おれのことか?」

マリー「そうですわ」無表情で答える

スラン「ニーナとこいつを残して、1人だけで何処かにいくわけがないだろう」と怒鳴る

外まで聞こえて来たスランの怒鳴り声に、ニーナは驚いて急いで家に入って来た

「ケンカはしないで!」

その声に、スランとマリーはだまってニーナの方を見た

ニーナはすこし怒った様子で囲炉裏の方に歩き、手に持ってた鍋を囲炉裏にかけた

マリー「そうですね、いいすぎましたわ」

スランは「ふん」とそっぽを向き、セフィはオロオロと慌てる

マリーは無表情で

「食事終わった後で、話したいことあります、そのまま待ってもらっても構いませんよね」

スラン「わかった」と呟く

ニーナとセフィはウンウンと首を縦に振る


囲炉裏の火はイキヨイよく燃え

鍋から湯気が上がり、グツグツと音を立て始めると

食べ物の美味しそうな匂いが部屋中に漂い始める

その匂いを嗅いで、二階から白い狐が飛び降りてきた

白い狐は、マリーのすぐ横にちょこんと座り鍋の方を見つめる

それを見たセフィは白い狐を指差し「あー」と叫ぶ

マリーはセフィをジロリと睨み

「むやみやたらと触らないでくださいね」

セフィは昨日、マリーにいっぱいお仕置きされたことを思い出して

小さい声で「はい」と言った

マリーはにこやかにウンウンとうなずき、ニーナの方を見て

「イナリ様にもご飯お願いしますね」

ニーナ「はーい」と楽しそうに、お椀に鍋から食べ物を装っていった


スラン「メシ終わったし、そろそろ話せよ」

マリーはお茶を口に含み飲み込んでから

「本題にはいりますわ」

三人の視線がマリーに集まる

マリーは口に手を当て「おーほっほーー」と照れ笑いする

スラン「なにいきなり笑ってんだ!」

マリー「場の空気をなごましたですのよ」とまた笑う

スラン「ちぃ」

マリー「では、簡潔にお話ししますね、黄泉の国から死の使者がお二人を迎えにきます」

スラン「は?黄泉ってなんだよ、それに二人って誰だよ?」

マリーはスランとセフィを指差し

「あなたと、あなたですわ」

スランとセフィ「は?」

マリー「お二人とも、昨日お亡くなりになりましたでしょう」

セフィは腕を組んで考え込み

スランはすこし考え込み昨日のことを思い出し

「あ、あーそうだな、死んだ気がする、それで黄泉ってなんだ?」

マリー「知らないんですか、黄泉っていうのは死んだ人の魂が行く場所ですわ」

スラン「それと、俺達となんの関係があるんだ」

マリー「先ほども言ったように、あなた達死にましたよね、本来ならあなた達の魂は、その体を離れて黄泉に行くはずだったのだけど、なぜかあなた達の魂はその体から離れなかった、ここまではわかりましたよね」

スラン「意味わからんが、なんとなくは・・・」

マリー「そこで、あなた達の魂が黄泉に行かなかったことにより、あなた達の魂と黄泉との道が繋がりっぱなしになってますの、そして今夜、その道を辿って黄泉からのお迎えが来ますわ」

スラン「ふざけんな、そんな話はじめてきくぞ」

マリー「知らないだけですわ、以前、ニーナは体験してますし」

ニーナはうなずく

スラン「いつ体験したんだよ、そんなふざけた話し」

マリー「見たことなくて、白い夜のことですわ」

スランはすこし驚き「ああ・・・あれか、確かにおれも遠くから見てたが・・・」

マリーはニーナを見て「あの時は、わたしとニーナで力を合わせて、なんとか撃退できましたわね」

スラン「そうなると、ニーナは一度死んだことになるが」

マリーはニーナを見つめながら「そう、ニーナもあなた達同様、一度死んでますのよ」

スランは笑い出す

マリー「セフィ、あなたはどう思ってますの?」

セフィ「え、おれ?んんー・・・ねーちゃんは死んで、マリーとねーちゃんでなんとかしたんだろう」

マリー「そうですね」聞いたことをすこし後悔する

セフィ「で、おれとスランも死んで、これからお迎えがくるんだろう、だったら簡単、またねーちゃんとマリーでなんとかすればいいんだ」

ニーナ「うんうん、そうだねわたしはがんばるよ」

マリー「聞くんじゃなかった・・・」

スラン「で、その白い夜って日に来たんだろう、もう少し詳しく教えろよ」とまだ笑っている

マリー「こほん、いいですは、そう、あれは寒い冬の夜、深々と積もる雪の中、わたしとニーナは手と手を握りしめお互いにハーハーと白い息を切らし、一晩中・・・ハー」とため息をしてマリーは頬に手を当て顔を赤くする

ニーナ「ちょっと、何かすこしちがうー」

マリー「ちょっと、ふざけて見ただけですわ」

ニーナ「もう、マリーたら」

スランは呆れてる

マリーはお茶を飲み一呼吸おいてから

「どちらにしろニーナの時はなんとかなりましたが、今回はお二人同時ですからね・・・、どうなることやら・・・」

スランとセフィをチラチラ見て、顔を赤くする

そのマリーの視線を感じスランは不機嫌そうに

「ああ、何か気持ち悪いこと想像してねか」

マリー「フッ」と失笑して

「まー今回はお二人同時なので、黄泉への道が大きくなっているので少々厄介かもしれませんね」

スラン「どういうことだ?」

マリー「あら、道が大きくなるということは、大軍もしくは強敵が来るかもってことですわね」

マリーはお茶を飲みながら、三人の表情を伺う

セフィは驚いているよう、ニーナは真剣な表情でマリーを見ている

スランは下を向きクックックと笑っている

スランは立ち上がり大声で「やってやる、どんな大軍だろが強敵だが関係ない、切り刻んでややる!」

マリーはフッと笑って「どうやって切り刻みますの?また腹に剣を突き立ててからやるきですの?」

スランはハッとして「て、おまえ!」

マリー「わたしに、お任せなさい、必ずみなさん生き延びさせてあげますわよ」と

右手を口に当て「おーほっほーー」と笑う





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