第3話

前回のまとめ

スランは盗賊に追われ、反撃するも無念に盗賊に殺される、しかし殺されたはずのスランは空高く飛び上がり自分の血で染まった敵の剣を取る、スランの持つ剣は紅く太陽の光を反射して輝く時、全てのものを切り裂く、盗賊達はスランによって殺される、盗賊を殺したスランは暴走するが、血を多く流したため動けなくなる、そこに黒いマントを覆ったマリーが現れてスランを魔法で浮かせて村につれもどした。


三話

囲炉裏の近くで座ったままセフィは居眠りをして、首をコックリコックリと上下に揺れる事数分

ついに囲炉裏に置いてある鍋に頭をぶつけゴーンという音が鳴り

虚ろの中から眼を覚ますセフィ

「アゥ、あいたた、頭にひびくなー」

セフィは右手で鍋にぶつけたひたいをさすりながら、立ち上がりあたりを見わたす

「あれ、ねーちゃんいない、どこいったんだ?」

セフィは、土間に下り家の外へと扉を開け出て行った

外に出て二、三歩歩いてあたりを見回すと、遠くの方から何かが近ずいてくる

眼を凝らしよく見てみると、小さな黒いマント姿の人影、顔はフードを被ってるのでよくわからない

その後ろから奇妙な感じでふわふわと変なものが付いてくる

セフィは大声で「ねーちゃん、どこいった?変な奴がこっちに走ってくるぞー!」

それを聞いたニーナは家の陰から顔を出し辺りを見渡し

ニーナはセフィの近くに駆け寄ってきた

「セフィどこ?」

「あっち、あっちだよ」と指をさした

ニーナはセフィに言われた方向をじっと見つめマント姿の人影をみつけた

「あーいたいた・・・あれって、もしかして、マリーかな」

マントの人影もこちらに気がついたのか手を振りながら何かを叫んでるようだ

それを聞いたセフィがさらに大声で「何いってんだー、お前だれだよー!」

あまりの大声にニーナは両手で耳をふさいだ

「ちょっとセフィ、声大きすぎ向こうが何いっているか聞き取れない」

「あ、ごめんごめん」

マント姿の人影がはっきりと見えるくらいに近くに来て

「ニーナー戻って来ましたよ、わたくしですよーぉ」

ニーナはその声を聞いて手を振りながら彼女なりの大きな声で

「お帰りなさい!」

「なんだ、ねーちゃんの知り合いか、でどこのひと?」

「セフィもう、何度もあっているじゃ無い」

「うーん・・・ちっこい黒マントの女?いたかなそんなやつ」

セフィがそう言いながら悩んでいると、

マリーの走るスピードが上がりセフィに向かってジャンプする

そのまま両足の先をセフィめがけて「だーれが、ちっこい女ですって!」

蹴りはみごとにセフィに命中、吹き飛ぶセフィ「ぐあ」

セフィは地面に倒れ「あの距離から聞こえてたんだ、なんて地獄耳だ・・・」

ニーナはセフィを見つめ「だめだよ、セフィの声が大きから聞こえたんだよ」

マリーは肩を上下にして息苦しそうにハーハーしてたが、

大きく息を吸い込んで、右手を口にあて「おーほっほーー」と笑ったが

また、ハーハーと呼吸が荒くなった

すこし落ち着いてから

黒マントの女はフードを取り顔を見せた、

肩まであるサラサラプラチナに輝く髪、肌は透けるように白く瞳は蒼白い

身長に合った童顔の顔立ち、

ニーナが嬉しそうに「この前会った時と全然かわってなくてお元気そうでよかった」

マリーは顔をピクピクさせながら『この姉にしてこの弟ありなのね』と心の底から思った

マリーの後ろから、つまらそうな声が聞こえてくる

「おい、女いいかげんおろせよな、いつまでこのままなんだよ」

スランがふわふわ浮いたままつぶやく、

マリーがハッとして後ろからついてくるスランを見て思い出す

「あーら、お礼はよくてよ」とまたあの変な笑いをしてごまかす

「忘れてやがったな、ちっこい女」と小声で何度も繰り返す

マリーはまた顔をピクピクさ、腕を斜めに振って「解除」と言う

スランは急に落ちたので受け身を取れず顔から地面に落ちた

「ぐあ」

マリーはそのスランの様子を見て

また右手を口に当ててた「おーほっほーー」と笑う

ニーナはすこし困ったように慌ててる

セフィはスランやニーナよりも今は、マリーの首に巻きついて垂れ下がっている

白くてふわふわの毛皮が気になってしょうがない

『なんだろうこれ、白くてフサフサでたまにすこし動いているような・・・』

『ちょっと触って見たい』

セフィはそーと手を伸ばしマリーの首に巻きつき垂れ下がっている白いものをつかもうとしたとき

それは、ピョンと跳ね上がりセフィは、それをつかみそこねた

掴み損ねたセフィの手はマリーの胸を鷲掴みにした

「あれ」

マリーの胸を二、三回揉む

マリーは顔を真っ赤にして「あれってどう言う意味どね」と言いながら

膝蹴りをセフィの鳩尾に叩き込む

セフィは後ろに吹き飛び地面に後頭部から叩きつけられ半回転して

ゴキブリのような速さで姉の後ろに隠れる

ニーナは「セフィだめじゃない、触るときはちゃんと言ってから触らないと」

「ほう、断ればどこ触っても何してもいいんですか、それに、あれだけ蹴り入れても平気な顔して動き回れるとはね~、さすがセフィ」

セフィは姉の足にしがみつきながら「ななにいってるんだ、もすごく痛かったぞ」

マリーは、大きく息を吸って「謝罪はなしですかね、すこし教育した方がいいようですね!」と叫ぶ

「ニーナちょっとそこを、どいてくれますかね」

ニーナは「え、はい」とセフィから離れた

マリーは右手を人差し指をセフィに向けつきだすと

「そこ、動かないでくれますね」というと人差し指のさきが蒼くひかりだした

セフィは何がはじまるかわからず、マリーの指を見ているだけだった

蒼く光った指は素早く空中に五芒星を描き両手で五芒星を囲む

手で囲った中に見えるのは蒼い五芒星とセフィ

力強く小さな声で「空気よ拳となり、たたきのめせ」

ゴーという音がセフィに向かっていく

見えない何かに殴られたのかようにセフィは大きく後ろに吹き飛んだ

「ぐえ」セフィは自分に何かの塊が飛んできて腹にめり込んでいるのはわかるがそれが何なのかはよく見えていない

自分の腹のあたりを見ると変な感じに服がねじれているのが分かる

セフィは後ろに吹き飛ばされたがなんとか両足で地面を踏ん張りたえた

「へーえ、がんばるねー、それではどんどんいきますわよ」

セフィは左に右に仰け反り

そして、後ろにも仰け反りついに地面に倒れてしまった

マリーは素早く腕を斜めに振り「解除」と唱えた

セフィ「な、何こり?お、お前一体なんなのぉ」

マリー「なに、このおばか何度もあっているのに?ニーナなにかありましたの?」

ニーナ「それが、川で溺れて、それからほとんどわすれたよう・・・」

マリー「なるほどそうですか・・・わたしは、マリーですの思い出しました?」

セフィ「な、なんとなく聞いた記憶が・・・あるような」

マリー「やれやれですね、とんでもないおばかですわ」

その右手を口に当て「おーほっほーー」と笑った

その様子を地面に寝転がって見てスランはくだらなさそうにして

「けっ」

そして、だるそうに地面から立ち上がる

スラン「ニーナ腹減っちまった、何か食いもんあるか?」

ニーナ「え、あお昼スランのも作っておいているよ」

スラン「わかった、食ってすこし寝る、なんか頭くらくらする」

マリー「だいぶ血を流しましたから、貧血気味でしょう」

スランは横目でマリーを睨みながらヨタヨタと歩いて行った

マリーは無表情でフラフラ歩くスランをちらりと横目で見て

ニーナに向かって

「ニーナ、村の人は避難できてるようですね、ニーナは準備よろしくて?」

ニーナは上の空で「はい・・・」

セフィの事が気になるのかニーナは不安そうにじっとセフィを見ている

そんなニーナを見てマリーは「大丈夫よ・・・わたし疲れたからすこし休ましてもらいます、ニーナのお布団かりますわね」と言い家に入って行った

数時間後

何事もなかったようにセフィは、家の中を音を立てずに、まるでコソ泥のように何かを探していた

最初に見つけたのは板間の上でに転がっているスラン

そのスランの横を音を立てずそーと歩き、その先にあるはしごに手をかけ登る

さすがにはしごはギシギシと軋む

セフィはそーとはしごから二階をのぞき、布団の端からでている白いフサフサしている物を見つけ小声で「ぉーー」とよろこんだ

『今度こそ、掴んでみせる』

セフィは四つん這いでソロリソロリと近づいて行く

手に届くところまで来て、素早くつかもうとするが、白いそれは、セフィの手からするりと布団の中に消えてる

「あれ・・・くそ」

セフィは白いフサフサを追いかけて、布団の中に手を突っ込むが何も掴めない

ついに苛立ち、体ごと一気に布団に潜り込み両手で掴む

両手に柔らかい感触が

「捕まえた」

両手で握りしめたまま、それを確認しようと布団を体で持ち上げた

握りしめた物は、白いものではなくマリーの胸だった

セフィはしまったと思いつつ、にこりと笑顔で

「あれ~?」

マリーはそのセフィの笑顔を見て、顔をすこり赤くしてにこりとして可愛い声で

「あれ~?」と言いながらマリーは拳を握り

セフィの顔面に向かって拳を振り上げる

セフィは素早く布団ごと後ろに飛び上がり

「とう!」と叫び後ろに飛ぶ

マリーの拳が宙を舞う

「あ、こいつ」とマリーが叫ぶ

セフィは布団を背負いながら仰向けになるよう一階の板間に落ちながら

「はーはっは」と笑う

マリーは、下に落ちて行くセフィを見て追撃の蹴りを放つ

「どりゃ」

セフィは背中から落ちたので布団がクッションとなり弾み、マリーの蹴りをかわす

マリーの蹴りはかわされ布団にめりこむ

セフィはゴキブリ並みの速さで家の外に出ていった

マリーもセフィを追いかけていく

スランはその騒ぎに不機嫌に

「ちびガキどもが」

とつぶやきゴロンと寝返りをうち、また寝始めた

家の外に飛び出したマリーは、逃げるセフィを見つけると

すばやく人差し指で五芒星を描き両手で五芒星を囲い唱える

「止まれ」

セフィは走っている姿のまま動けなくなり言葉にもならない叫び声をあげる

セフィの後ろから、勝ち誇ったような笑い声で

「ほーほっほー」とマリーが近づいて来た

「一度ならず、二度までも、しかも今度は布団に潜り込んでくるとは、いい度胸していますのね」

「い、いや胸が触りたいわけじゃなくて、白い・・・あれ・・・が・・・」

「なに言っているの?あれだけ強く握りしめておきながら・・・」

マリーは、脇に落ちている棒に気がつき、それを拾いにぎりしめた

「これ、なにに使うか知っていますよね」と言いそれをセフィに見せる

「そ、それは、クワといい野菜がよく育つように土を耕す道具と・・・ねーちゃんから聞きました、あはは」

「そうね、これでお前を耕したら、その小さなおつむもよく育つかしら?」

セフィは青ざめながら

「あ、いや、無理じゃないかな・・・あはは」

「そうかしら、物は試しっていう事知ってますよね」

「い、いいえ知らないし」

マリーはにこりと笑い、可愛い声で

「取り敢えず試して見ましょうね」

と言うと、クワを振り上げ、いきよいよく振り下ろした

数分間セフィは耕された

マリーは気が済んだのか、右腕を斜めに振り「解除」と唱えた

セフィは「ヒィー」と言いながら地面を転げ回って自分の体をあちこち見回す

痛みは、すこしあるものの、どこも腫れてないし血もでていない

不思議そうに自分の体を見る

「次は、こんなもんじゃ済ませませんわよ」

マリーは気が済んだのか、右手を口にあて勝ち誇ったように

「おーほっほー」と笑う

「は、はい、もうしません」と地面に平伏す

マリーはため息をつき、クワを捨て布団の中へと戻っていった。






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