5月6日「閃光刹那」
アタエの発動。
H-09-F『ビーム』
目からビームを照射する。
今回先手を取ったのはアタエ。両目から発射された眩い光線が一直線にシャルルを襲う。
シャルルの発動。
H-01-S『空中浮遊』
30秒間だけ空中に浮かぶ事が出来る。
『ビーム』は光の速度での攻撃なので、発動した瞬間に命中している。だが、確実なダメージを与える為には長く照射する必要があり、シャルルは『空中浮遊』によってそれを回避した。シャルルの左肩が僅かに火傷を負った程度で、作戦に支障はない。
『ビーム』の弱点は照射中に視界を失う事であり、アタエもそれを分かっていたので2秒しか発動しなかった。『ビーム』の照射可能な残り8秒間は確実に当てる必要があるが、全てきっちり当てきれば相手を即死させる事は容易い。
シャルルの発動。
A-18-I『斬波刀』
衝撃波を飛ばす事の出来る刀を召喚する。
空中で刀を手にしたシャルルは、アタエの挙動を確認しつつ衝撃波を放った。アタエの『ビーム』は当然空中にいる相手も狙う事が出来るが、相手が『斬波刀』を持っているとなると刀で受けられる可能性がある。
だが、アタエには『斬波刀』の衝撃波に解答があった。
アタエの発動。
A-11-I『バリア』
手の平から透明な障壁を召喚する。
衝撃波の威力は距離によって減衰する為、離れていれば『バリア』へのダメージも大した事はない。また出し入れも自由な為、『ビーム』での攻撃時は消しておけば問題もない。
『空中浮遊』+『斬波刀』による高さと手数の多さを生かした遠距離攻撃。
『バリア』+『ビーム』による防御力と一撃の重さを生かした遠距離攻撃。
アタエとシャルル、それぞれが別々の遠距離攻撃で対峙した。
しかし現時点で有利なのは、間違いなくシャルルの方だろう。アタエの『ビーム』は前述の理由によりそう易々と発動する事が出来ない。一方でシャルルの衝撃波は連発が出来て、さらにアタエの『バリア』は硬いとはいえ確実に耐久力が減っていく。
だが、シャルルの『空中浮遊』には30秒という時間制限がある。アタエもそれは重々承知なので、取る作戦としてはシャルルが地上に降りた瞬間を狙って一気に距離を詰め、残った『バリア』を押し付け、壁と挟んで『ビーム』を照射。という事になる。
シャルルは『ビーム』による反撃を警戒しつつも衝撃波を放っていく。30秒かけて『バリア』の耐久度は残り僅かという所まで来た。
両者が次の行動に移行する。
地面に降り立ったシャルルと、『バリア』を構えるシャルルの距離は10m。両者共に距離を縮めようとした所で、シャルル3つ目の能力。
シャルルの発動。
C-22-M『スライド』
一定速度で地面との平行移動が出来る。
床を滑走するシャルル。その状態で衝撃波を放てば、『スライド』の急加速によってついた勢いが乗り、更に威力は増す。それにより、アタエの『バリア』がついに耐久度を失う。アタエが防御を失った所でシャルルが最後の一手を打つ。
スライドによって移動しつつ上半身を仰け反らせ、アタエに接近するや否や『スライド』を停止。急制動を掛けつつ上半身を引き起こし、利き手に持った『斬波刀』でアタエの喉元目掛けて突きを繰り出した。
まさに回避不能、牙のように鋭い一撃が、アタエの喉に突き刺さる。
だが、勝負はまだ終わっていない。
アタエの発動。
C-04-B『代償強化』
能力を1つ封印し、身体能力を強化する。
『バリア』の耐久度が消滅する直前、アタエはそれを対象にこの能力を発動していた。『バリア』はAーI系、つまりあくまでも召喚物である為、メリットである自在な出し入れこそ出来なくなるものの、『バリア』自体を封印しても1度召喚した物は無くならない。
本来なら即死間違いないダメージも、『代償強化』された肉体ならかろうじて耐える事が出来た。喉から血を流しつつ、アタエがシャルルの右手を掴む。
捉えた、という訳だ。
『ビーム』再発動。今度は目一杯の8秒間。視界はなくとも掴んだ手の先に相手は必ずいる。『スライド』による脱出を試みるも、超人的握力を振りほどくには至らず、頼みの綱の『斬波刀』も今は相手の喉を貫通している。あと少しで絶命に至る状況だが、それを待つのに8秒は余りにも長すぎた。
シャルルの胸部が溶け、心臓が露出した。
決着。
アタエの勝利。
参加メンター
アタエ 滝杉こげお様
シャルル 鷹宮センジ様
感想
やっぱり刀はロマンがあって良いですね。ちょっとアタエ側『代償強化』の肉体強化っぷりが半端じゃない事になってるんですが、これはそこまで能力を温存する流れだった事と、そこまでノーダメージだった事を考慮してギリギリセーフという判定にしました。いつかこのコメント欄でも、C-B系能力の強さランクを出すと言っていたんですが、ようやく目処が立ったので来週中には必ず更新します。『代償強化』と『定置強化』が単独では最強の部類になります。
ご参加ありがとうございました。またよろしくお願いします。
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