5月5日「無限乱舞」
大小様々な岩が置かれた荒野で、ヒメカとアタエという2人の少女が対峙している。太陽は高く2人を照りつけ、風は乾燥していて、時折地面の砂がふわりと舞う。
ヒメカの発動。
C-20-L『岩石地帯』
戦闘エリアを岩石の多く置かれた荒野に変更する。
アタエの発動
A-12-I『インフィナイフ』
ナイフを召喚する。
召喚したナイフを手に持つアタエ。障害物だらけのこの場所では投げて当てるのは難しく、当然狙いは近づいて刺す事になる。
ヒメカの発動。
A-04-O『マグネット』
対象の物体を別の対象にぶつける。
アタエの身体が突然左に移動した。偶然近くにあった大きな岩を対象に、ヒメカが『マグネット』を発動した為だ。マグネットの移動速度は時速100km程度。岩に叩きつけられればかなりのダメージは免れない。
次の瞬間、アタエが手に持ったナイフを投げた。
アタエの発動
C-23-M『ベクトル』
対象の物と同じ方向、同じ速さで移動する。
当たるはずのないナイフを投げたのには理由があった。アタエはナイフの軌道を『ベクトル』によってコピーし、マグネットによる移動を上書き。岩との衝突を回避する。
ヒメカはすかさず『マグネット』により飛んだナイフと別の岩を指定。ナイフを直接アタエに移動させても『ベクトル』の同期先をそれに指定されれば回避されてしまう。
アタエは空中で2本目の『インフィナイフ』を召喚し、別の方向に投げる。そして更にそれを『ベクトル』で指定し、方向を変える。ヒメカは『マグネット』のインターバルがあけると同時に再度アタエと岩を指定。
移動効果を移動効果で上書きしながら、アタエは華麗に宙を舞う。さながら華麗なダンスのように、無造作に置かれた岩石の合間をすり抜け、時々ヒメカ本人にめがけてナイフを投げつつも、2人は一定の距離を保つ。
無尽蔵に召喚されるナイフと、それと同期した移動は高い機動力を実現したが、ヒメカの『マグネット』はそれを妨害するだけの力があった。
そしてヒメカにはこの状況を打開するアイデアがあった。アタエは絶えず『インフィナイフ』によりナイフを召喚している。必然、地面には使ったナイフがばら撒かれている。1本や2本では『ベクトル』によって回避されてしまうが、『マグネット』が対象に取れる最大数の10本が揃えば、一気に決着まで持っていける。
そう計算するヒメカだったが、静かに身体を蝕む物があった。
めまい、吐き気、悪寒、咳、それらによる集中力の欠落。
アタエは既にもう1つの能力を発動していた。
アタエの発動。
H-24-V『視線感染』
視界に捉えた対象の生物1体に「風邪」をひかせる。
ヒメカを襲った症状は、全て風邪による物だった。もちろんヒメカも『視線感染』の発動には気づいていた。だが、あえて移動せずに体力を温存するという判断をした。
これにより、2人の距離が徐々に縮まっていく。近づけば近づくほど、ヒメカの『マグネット』は不利になる。対象に取れる岩が限られてくる上、直接の投擲攻撃にも注意を割かなければならないからだ。しかも体調は見る見る内に悪化していく。
2人の距離が2mまで近づいた瞬間、アタエが仕掛けた。本来ならば、この有利な状況になった時点でアタエはヒメカから距離を取り、『視線感染』による衰弱死を待つという事も可能な上、メンターにもそう指示をされていたが、『岩石地帯』の時間制限の方が先に来てしまう為、それが出来なかった。
ヒメカはそのタイミングを待っていたとばかりに、地面に落ちたアタエのナイフを拾い、カウンターを狙った。同時にアタエが今持っているナイフを『マグネット』によって弾き飛ばして防御を解除する。体力を温存していたのはこの瞬間の為だった。
だがアタエはそれも読んでいた。岩の間を乱舞していた際にこっそり拾っていた石を真後ろに投げ、それを対象に『ベクトル』を発動。ヒメカのカウンター攻撃を回避する。
だがヒメカはそれも読んでいた。
ヒメカの発動。
H-06-V『後退却下』
生物の眼を視界に捉えると、対象は後退出来なくなる。
最後の能力をこの瞬間まで残していたのは、トドメを確実に刺す為だ。『ベクトル』による移動がキャンセルされ、その一瞬の隙を突いてヒメカの持ったナイフがアタエの胸に突き刺さる。
カウンター成功。
一安心したヒメカは高熱で朦朧とする意識の中、その場にへたり込んだ。
決着。
ヒメカの勝利。
参加メンター
アタエ側 滝杉こげお様
ヒメカ側 百足陣三郎様
感想
アタエの運動量がやたらと多い試合になりました。荒野を飛び回るナイフと少女というのはなかなか絵になってる気がします。どちらもあまり使われないHEAD系能力を使っていて、最後はその差で勝負がついた感じですね。『視線感染』の方は言ったらデバフなので比較的使いやすいかなとも思うんですが、『後退却下』はここぞという所で決まらないと空気な感があります。今回は決まりました。
あと今回の試合では、メンターからの指示とはちょっと違う方向に流れが行ってしまったかなと思う所もあるので、もっと忠実に戦って欲しいと思われていたら申し訳ないです。
ご参加ありがとうございました。またよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます