第2部

第1話 タマルの日記

1日目

 にっきをかいています


2日目

 にっきをかいています


3日目

 にっきをかいています


4日目

 にっきをかいています


7日目

 ユウヒに このにっきを みせたら これは にっきじゃ ないよ といわれたので べつのことを かきます

 あまいものが たべたいです


8日目

 がくえんの なかに としょかんを みつけました

 本を よんで もっとたくさん 書けるように なります


9日目

 学園は、じきゅうじそくなので、甘いものが、ぜんぜんありません

 学園長は、こわいひとです


10日目

 今日も本を読みました

 おもしろい本がたくさんあります


11日目

 そういえば、メンターから言われていたことを思いだしました

 その時おもったこと、かわしたことば、何を食べたいか、を書くのが日記だと言ってましたね

 いまはパフェが食べたいです


12日目

 わたしは、学園で住んでいます

 今日はシュークリームが食べたいです


13日目

 アイスが食べたいです。ルマンドもポッキーも良いです。

 白い恋人も良かったです。最悪のばあいプリッツでも良いです。


14日目

 何でもいいから甘いものが食べたいです

 他の子達が我慢出来ているのが不思議で仕方ありません


15日目

 甘いものが食べたい。甘いものが食べたい。甘いものが食べたい。甘いものが食べたい。甘いものが食べたい。甘いものが食べたい。甘いものが食べたい。甘いものが食べたい。甘いものが食べたい。甘いものが食べたい。甘いものが食べたい。甘いものが食べたい。


16日目

 ユウヒにまた日記を見せたら「こんなのメンターに見せたら引かれちゃうよ」と言われました。

 引かれちゃうのは嫌なので、もっと字を勉強して他の事を日記に書いて、なるべく甘いものの事は書かないように頑張ります。


17日目

 今日は学園の事について少し書きます。

 学園は校舎と体育館と寮の3つの建物があり、生徒である私達は行き来が自由です。学園の外は広い庭がありますが、庭から外には出る事は出来ません。太陽と月は描かれた物だそうです。

 食事は能力によって召喚された物を上級生が料理して出してくれます。主に『猛獣使い』で召喚された虎、鷹、鮫が献立に並びます。「エキサイティングなジビエ料理ですわね」とユウヒは言ってましたが、私にはよく分かりません。

 足りない物は1年に1度、外の世界と繋がる時に運ばれてくるそうなので、それまでは我慢して食べなければなりません。運ばれてくる物資には限りがあるので、甘いものが全然ありません。とても甘いものが食べたいです。


18日目

 昨日は結局甘いものの事を書いてしまったので、今日は授業について書きます。

 私達1年生は、40人で1クラスです。半分は私やユウヒのようにメンターの所に仕えてた経験があり、もう半分は直接PVDOからやってきた女の子です。見た目が全員同じなので、最初は違いが全く分かりませんでしたが、少し話してみるとやっぱりメンターの所にいた子の方がちょっと変というか個性的です。

 授業の内容は、字の読み書き、地図の見方、状況判断テストなどを今はやっています。どれも「裏の世界」で戦う為に必要な知識で、真面目にやらないと死ぬぞ、と先生から言われました。


19日目

 学園の話をもう少し書きます。

 寮では私のようなメンター出身とPVDO出身の2人で1部屋で生活しています。毎朝7時に起きて、顔を洗って、歯を磨いて、注射をして、制服に着替えて、教科書とノートと筆記用具を持って教室に移動します。どれもカプセルに入っていた頃はしていなかった事なので新鮮です。これも全て集団での行動を習慣化させる為にやっているそうです。

 私と一緒の部屋にいる子は名前をサトラと言い、能力は『空中浮遊』+『ヒール』+『劣化分身』のサポート型だそうです。PVDO出身の生徒約半分がこの型で、裏の世界での戦いの際は偵察や回復などの補助に徹するそうです。


20日目

 友達の話を書きます。

 1人目の友達はメンターと同じサロンに属していたユウヒです。誰に対しても礼儀正しくて、私の知らない言葉を沢山知っています。テストではいつも1位で、先生からは優等生だと褒められています。ただ1度だけ、メンターに会いたいと言っていたユウヒの顔は少し寂しそうでした。

 2人目の友達は昨日も書いた寮で同じ部屋のサトラです。PVDO出身なので、メンターというのがどういう物か知らないそうで、私が毎日教えています。アイスは冷たいけど甘くて色んな味があるとか、プリッツにチョコをかけてパワーアップさせたのがポッキーであるとか、この世の全てを詰めて生クリームで封じたのがパフェであるとか、サトラは真面目な子なので黙って私の話を聞いていますが、いまいちピンと来てない感じもします。

 3人目の友達は、今日初めて話したミカゲです。本当はここに来る前、メンターからは奴隷と呼ばれていたそうなのですが、私がそれは名前ではないよと言って、たまたまその時読んでいた石の本から好きな石を選ばせて勝手にミカゲと呼び始めました。ミカゲのご主人様(ミカゲはメンターをそう呼びます)は同じサロンに所属していたらしいですが、私は見た事がありません。

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