第41話 9回戦
9回戦第1試合。
前回の試合で良かった『チャージショット』+『スライド』を続投。ただし、HEAD能力は『眼制疲労』から『フリーズ』に変更して相手の能力が不明である初戦を意識した立ち回りを指示した。
うん。結局『斬波刀』は諦めて希望能力は『フリーズ』にしました。やっぱりなんだかんだと言いつつも俺個人の趣味に走るのはよろしくない。それきっかけで負けたらタマルに申し訳が立たない。『斬波刀』は俺がその内自力で引きます。
一方で相手は『ヘヴィーウェイト』で相手に重さを足して、『グラヴィジョン』で更に倍という荷重特化の組み合わせ。戦闘エリアの端っこに追い詰められて、タマルの体重は100kgを超えたが、これに相性の良いのがこちらの『スライド』だった。いくら重かろうが移動速度が変わらないので逃げ切る事が出来る。最後は『フリーズ』で相手を止めて一撃で決着。
9回戦第2試合。
今回も2タテを取りに行くつもりで、これが最後となる『シェアスタン』+『猛獣使い』を採用したがこれが大失敗。
相手はなんと召喚系の天敵とも言える『生体移動』と、こちらと同じく『猛獣使い』を採用してきた。『生体移動』は、自分と対戦相手以外の生物ならば離れた場所からでも戦闘エリア外に飛ばす事が可能な能力で、全く何も出来ない内にタマルの召喚した虎はどこかに追放されてしまった。
こうなると辛いのはこちら。相手にはまだ虎が残っていて、相棒を失ったタマルの『シェアスタン』は能力として完全に腐り、『後退却下』も使い所が無くなってしまった。
という訳で、実質『生体移動』だけで完封されてしまうという結果。やはり決まれば勝ちみたいな強い組み合わせには明確な弱点があるものだ。これが例えば『猛獣使い』じゃなくて『番犬』だったらリカバリも可能だったんだが、まあ仕方ない。
9回戦第3試合。
1戦目2戦目の一撃必殺型を完全に捨てて、『インフィナイフ』+『代償強化』で接近戦を挑む。『インフィナイフ』はこれが最後の1回なので何としてでも勝ちたいという事でHEADはやはり安定の『フリーズ』を採用。
対する相手は『阿吽』+『四次元口』のコンボ。どちらも初対戦の能力なので軽く解説すると、『阿吽』は呼吸を止めている間に身体能力を強化するという物で、単体では最大12秒しか持続時間がない。そこで『四次元口』の価値が生まれる。これは口の中に収まるサイズの物を無限に収納出来る能力で、それ単体では意味がないが、口を開けて酸素を無限に取り込み、それを自身の肺の中にに放出する。これは定義として呼吸ではないらしく、能力によって酸素を提供しているという抜け穴的な扱いになっているのだ。
そして相手の最後の能力は『ラストワード』。こちらの3つ目の能力を打ち消す効果を持った能力で、この存在によってこちらの『フリーズ』が打ち消された。
こうなってくると、勝負を決するのは身体能力の強化具合になる。Wikiで確認してみると、『代償強化』と『阿吽』この2つの関係性としては、
「代償強化(1つ封印)< 阿吽 < 代償強化(2つ封印)」
という順番で強いらしい。今回は『フリーズ』が打ち消されて封印されている事により、このままでは『阿吽』に軍配が上がる。が、タマルには『インフィナイフ』で召喚したナイフが1本残されていた。
そんなこんなでバリバリの近接格闘が繰り広げられた。両者ともに女の子とは思えない程の機敏な動きで、殴りも蹴りも映像で見ているだけで重くて痛そうだった。しかしやはりナイフ1本の存在は大きく、掠っただけでも出血に繋がるという前提条件は身体能力の差を埋める程度に役に立った。
30秒ほどの死闘の結果、生き残ったのはタマル。片目を潰され、鼻も折られてボロボロになりもう見てられなかったが、なんとか勝つ事が出来た。
という訳で9回戦の3日間を終え、俺もランク8へアップ。
報酬が気になる方にお知らせだ。無い。
え? うん。無いんだ。報酬。
俺も最初先輩達から聞いた時ビビった。ここまでずっとあって急に無しになるなんて、それレベルデザイン的に最悪な構成なんじゃないか、と。だが無い物は無い。
で、ランク8で無いのにランク9で1億円という馬鹿みたいな金額をくれる。それなら最初から5000万ずつに分けて渡せと申し上げたいがおそらく管理人は聞く耳を持たないだろう。
そしてもう1つ文句がある。
現在の所持能力。
H-21-W『ワールドエンド』残り:2回
H-04-V『眼制疲労』残り:2回
H-30-W『斥界』残り:1回
H-06-V『後退却下』残り:2回
H-14-V『フリ-ズ』 残り:3回
A-10-R『チャージショット』 残り:9回
A-11-I『バリア』 残り:1回
A-26-O『暴発』残り:4回
C-14-G『猛獣使い』残り:2回
C-16-G『用心棒』残り:1回
C-04-B『代償強化』残り:2回
Cー22ーM『スライド』 残り:3回
1試合目の勝った報酬で『チャージショット』がまた被りやがったのだ。ようやくC-G系縛りの悪夢から解放されたと思ったらこれだ。なんという不運。なんという偏り。
PVDOにおいて戦略を幅広く持つ事が物凄く重要な事はこれまでの戦歴から見ても明らかだ。にも関わらずこのダブりっぷりは下手すると死に至る。とはいえ、ここ2戦は相手がこちらに相性の悪い能力を採用してくれていたりして、マッチングの面で俺の方に風は吹いている。と自分に言い聞かせるも、これはあまりにもあまりにもだ。
もうここまで被ればなんとか消費していくしかない。何度でも宣言するが、橋本から聞いた能力の固定化などは最初から目指さない。なので今日の勝ちでのリクエストはCORE系にする。
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