❀episode.2

ユウの視線にサクは目を向ける。そこには、1人の男が小柄な子供を引きずる姿であった。子供の目は意識の無い白い目をしていて、体中に黒いシミがあった。男は、その子供を乱暴に馬車に乗せて連れて行った。

その様子を見ていたユウをサクは「見るな」とサクの右手がユウの頭を掴み下へ向ける。白いスープの固まりだけが目に入った。

「今週は8人………。」

ユウが呟くと、サクは静かに頭を撫でた。







この町には未知なる病気が伝染している。

それは、吐き気だったり、頭痛だったり、また、失明や失声と人によって違う。

その病気のせいで顔にシミやアザができたり、生まれつき髪や目の色が違う者もいる。

また、その病気のせいか、能力が目覚める者もいる。

僕のアザと左目もその病気のせいでなってしまったものである。

別に醜いとは思わない。それは仕方ないことだとわかっている。サクも、みんなも。

だが、

ある日、ある国が僕らの自由を奪った。

目を覚ましたあの日、いつのまにか僕らの町は灰色の壁と空によって隔離されていた。

戸惑った人々の前に、白いローブを着た男が立っていた。

その男は僕らにこう言った。



『お前らのような病人に自由などいらない。

このまま仲良く死んでいけ。』



あの日僕らの目の前から自由を失った。

残ったのは、死体だけ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る