第24話sechs 5

「危ないですよ、ママ」


私の事を車から守るように抱きしめているにひと。

いつもは役立たずな鉄くずだったはずなのに、今は王子様のようにも見える。

そんなにひとに見とれていると、


「気を付けないとダメですよ、ママ。

今道路に飛び出して死ぬ所でした」


あっ!そういえば私、誰かに背中を押されたんだった!

背中を押したであろう人物を確認しようと後ろを振り返るが、そこにはもう誰も居なかった。

・・・・・なんでにひとなんかに気をとられていたのか。

もしここににひとが居なければ、私は危なく死ぬかも知れなかったのに。

・・・・・死ぬ?・・・・今、私誰かに殺されかけたの?


改めて自分が殺される事を考えると身体がゾクッとした。



私を殺そうとしたのは、誰?

・・・・・やっぱりお母さん?


お母さんは・・・・・・やっぱり私には死んでほしいのかな?




そんな考えが過ぎった途端、足の力が抜け立ちくらむ。

するとにひとは私がその場で蹲らないよう、身体を支えると耳元でこう話してくれた。



「ダメですよ、ママ。勝手に死んではいけません。

ママは勝手に死んではならないのです」


いつ振りだろうか?

頬に涙が伝う感覚。

私・・・・泣いてる?



「にひと・・・・・・・私、死にたくない」


「そうですママ。勝手に死んではダメなのです。

ママが死にそうな時は、ボクが必ず助けにきます」


「・・・・一生、私の事を守ってね」


そう言いにひとにしがみついた。


「了解しました、ママ。絶対に勝手に死なないでください」


にひとは同じ言葉を繰り返す。

私にとってはとても心地が良い言葉。



ママは勝手に死んではダメなのです。

だってママが死ぬ時はボクがママをー・・・・・・・・・・・。

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