第23話sechs 4

面接には一発で合格。

その場で採用が決まった。

私みたいな人間が即採用されるなんて・・・・・・・人手不足だったのだろうか?

深刻な人手不足とかじゃないと、採用なんてされないと思うけど。



どんな理由であれ、採用された事が嬉しかった。

これでアパートの家賃が払える。

ご飯が買える。

またしばらく生き続ける事が出来る。



ウキウキ気分で信号を待っていた。

目の前には車がそこそこの速度で走っている。

・・・・少し前の私なら、道路に飛び込んで死んでしまいたいなんて思う所だけど、今はまだ死ぬ訳にはいかない。

大人しく信号が青に変わるまで立っていると、何者かによって ドン っと強く背中を押された。


「・・・・あっ」


踏みとどまろうにも押される力が強く、前のめりで道路に飛び出しそうになったその時、



ゴンっ。


冷たくて硬い物が私の額にぶつかった。



「いでっ・・・・・」


不細工な声をあげつつ前のめり気味だった身体は、目の前の硬いものにのしかかる形になる。

勢いよくぶつかった額は痛かったけれど、物体のお陰で道路に突っ込んで死ぬのはまぬがれた。

ゆっくりその物体を確認しようと見上げると、そこにはにひとが立っていた。

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