第9話vier 2

なんてマヌケな鉄くずなんだろう・・・・・。

ため息が出た。


にひとに背を向け、もう一度スマホを確認する。

・・・・・本当に返信が来てる・・・・・。私に・・・?


手が震えてくる。

こんなの初めての経験。

男の人と会話した事なんてなかったし、メールもした事がない。

そんな私が今、名前を聞かれちゃってる!

でもなんか・・・・本当に私に興味があるのかな・・・・?

まだ疑いが晴れない。

そして何より恥ずかしい。



ーお返事ありがとう。

私のことは杉田って呼び捨てして貰って大丈夫です。



以上。

だって何て返信したらいいか?わからなかったし、

名前なんてさー・・・・・・自分の名前って何だったっけ?

呼ばれる機会もないから、忘れちゃった。




スマホを握りしめながら、にひとが居る方向を振り向く。



「しっかり充電し過ぎな位しなさいよ。

じゃないとアンタ動けなくなるでしょ!

肝心な時に動けなくちゃ意味がないじゃない」



・・・・・・・・・・・・・で、もし佳祐君が本当に私に興味があってメールをくれていたとしたら。

私が不安もなにも感じなくて「もっと生きていたい」って思えた時に、殺してよね。

どうせ死ぬなら、生にしがみつくくらい幸せな時に死んでみたいの。



「なーんて、ポンコツなアンタにはわかるはずもないか」



スマホをにひとの方に投げると、そのまま目をつぶった。


別に何も期待なんてしてないけどね。

なーーーーーーーーーーーーーんにも期待なんてしていない。

そう言い聞かせながら、バイト先へと黙々と歩く。



いつもは特になにも感じていなかったけれど、今日は心なしか自分でもわかる位にドキドキしている気がする。

バイト先に入ってすぐ、目の前には佳祐君が立っていた。



「昨日はメールありがとう」


「ぁあっ?!」


仕事の用件位しか喋りかけられなかったから驚いて、言葉にならない声を出してしまった。



「あぁ驚かせちゃったかな?

シフト表を確認してさー。そろそろ杉田さんが来る頃からかな~なんて待ってたんだ」


どういう意味?

真っ直ぐに見つめられて、すぐに目をそらし脇を通り抜ける。



「あぁそうですね。じゃあ私着替えるんで・・・・・」


今私の顔はニヤけてるのだろうか?

それとも真っ赤になってるとか?

嫌だ。見られたくない。きっと馬鹿にされる。

急いで更衣室へと向かった。

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