第3話 バニーガールはカープ女子?
正門の方には何台ものパトカーが見える。そして警察官たちがスタンバイしていた。彼らは「とまりなさい!」と忠告するが、父はそんな言葉を無視する。
「とまらなければ撃つぞ!!」
警察の言う「撃つぞ」とはただの脅しに過ぎない。実際には撃たないのだ。
父は満面の笑みを浮かべ、砂利で敷き詰められた地面へと手を伸ばす。
彼は手を高速で捻り――竜巻を起こす。その動きはまるで渦潮だ。
だが、これは攻撃ではない。防御であり、同時に目くらましだ。
忍者が煙玉で姿を消すのと同じように、親父は砂利で警察の目をくらます。
警察官たちは「なんだこれっ!?」と焦りを見せた。
焦った時点で父の勝ちだな。彼は見事に警官の包囲網を突っ走た。
その後、彼は前方に止まっていた黒いバンへと駆けだした。
「オケー!」と彼が口にすると、バンの後部座席のドアが自動で開かれた。
もしかして俺の拉致計画には共犯者がいるのか? いったい誰なんだ?
父の知り合いか、友達か。どちらにしろロクな人物ではないだろうな。
ベンへとたどり着いた父は俺を後部座席へと投げ飛ばした。
「グヘッ!?」
首が折れたような感覚だ。勢いがありすぎて反対側のドアに頭をぶつける。
実の息子をモノのように扱うなんて、なんて最低な親父なんだ……。
親父はすぐに助手席に乗り込み「出していいよ!」と叫んだ。
外からはサイレンの音が聞こえる。警察はそぐそこまで来ている。
運転席に座っていた人物は「オッケー」と言ってアクセルを踏む。
今の声は女性の声だ。つまり、俺を拉致した父の協力者は女性なのか。
「ダイスケも相変わらず後先のことを考えないネー。他人の迷惑ノーノーよ」
「アハハ~。頭では分かってんだけどね~。なぜか行動にうつすと、毎回ダイナミックになってしまうのぞなもしー」
「そんなんだから指名手配されてしまうデース」
「ごもっとも」
なんだか親し気に話している。友達以上の関係なのだろうか。
そんな中、外からは相変わらずパトカーのサイレンの音が聞こえる。
警察が「直ちに止まりなさい!!」と強い口調で叫んでいた。
なのに父は車を止めるよう運転手に言う素振りを見せない。
その瞬間だった。パァアアアアアアアンッ! と言う銃声が響く。
おそらく追いかけてきていた警察が威嚇射撃をしたのだろう。
「む~これじゃ思う存分逃げることはできないにゃー。タイヤに打ち込まれたら逮捕されてしまう……。あ、そうだ! いいこと思いついたぞなもしー!!」
父は満面の笑みを浮かべて褌から釣竿を取り出した。
彼は窓から上半身を乗り出し、ブンブンと釣竿を振る。
パトカーの方へと針を投げると――思いっきりリールを巻き始めた。
そして銃声が鳴り止む。親父の行動と何か関係あるのだろうか?
「……」
数秒後、俺は彼が何を釣ったのか知り……驚愕した。
彼の釣り糸には――拳銃が引っ掛けられていた。
あろうことか、親父は警察官たちから拳銃を奪っていた。
「なぁあああああああああにしとんじゃぁあああああい!!」
つい叫んでしまった。これはさすがにヤバイ。重罪じゃないか!?
「わっははー。これで少しは静かになったもーれっ」
笑っている場合ではない。これはとんでもなく酷い状況だ。
だいたい親父の目的はなんなんだ? なんで俺を拉致する。
ただでさえ犯罪者なのに、この男は犯罪に犯罪を重ねている。
拳銃を奪われた警察は「至急、応援!!」と叫びをあげた。
どんどん追い詰められていく。先回りされたらアウトだ……。
いや、アウトではない。俺からすれば好都合なのではないだろうか?
ここで親父が無事に捕まれば、俺は東雲高校に戻ることができる。
なら、俺は警察を応援する。お願いだ! 助けてくれぇええ!!
「ダイスケ、なんだかヘリコォープターのサウンドが聞こえるデスよ」
「マジかー。応援って上空からかよー。ふぅー仕方ないにゃ~」
彼は諦めるどころか「ボニーちゃん。運転変わって」と言い出した。
猛スピードで走行しているにも関わらず、二人はシートベルトを外す。
謎の運転手は後部座席へと飛んできて、父が即座に運転席へと移る。
後部座席には俺が座っている。つまり俺の隣には謎の女性が来た。
視線を向けると、謎の女性の全貌が、ついに明らかになる。
「ハァーイ、螺衣。ハジメマシテ。お元気マスカ?」
「えっとー……え、あ、はい」
片言な日本語ではあるが、理解できるレベルだ。もしかして外国人?
座席に座る彼女のことを、足元から頭へと順に見つめていく。
赤いハイリール。黒い網タイツ。セクシーな美脚。赤いハイレグ。綺麗な顔立ち。やはり外国人か。つやつやな金髪。そしてバニーガールの耳……。
「なんでバニーなんだよ!?」
「ダイスケの趣味です」
「親父の趣味かよ!?」
驚き&驚き。リアルでバニーガールを見たのは今日が初めてだ。
つーか。え、なんでバニーガール? 少々意味が分からない。
「親父! このバニーガールの女性は誰なんだよ!?」
「マイ・新しいニューワイフさ。アハハ。ラスベガスに居るカジノで知りあったのよー。バニーガール姿の理由はな、産地直送だからなのだよー」
「意味が分からない」
人間は魚じゃねーんだから……。
それに産地直送って生産者と消費者が直接に取引を行って製品を受け取る形式だろ。バニーガールさんがアメリカ産だとしても、親父は誰と取引をしたんだよ。
あ、バニーさんの両親とか。じゃあ、二人は結婚してるってことなのか?
「んじゃ、この人と再婚したのか?」
「まぁな」
そう……なのか。なら、実質バニーガールさんは俺の義母ってことなのか?
俺には自分の母の記憶は一切ない。だから世間一般の母がどんな人間だかはあまり知らない。ただ、バニーガールが普通じゃないことくらい知っている。
変人な父と変人な再婚相手。変人同士、お似合いなんじゃないの。知らんけど。
今ある情報は、アメリカ出身、名前はボニーと言うことくらいだ。
見た感じ悪い人ではなさそうだな。それとバニーガール姿がエロイ。
年齢は何歳ぐらいだろうか? 20代? それとも30代?
いや、45歳くらいの父の再婚相手だぞ。きっと彼と歳が近いはず。
「……」
ジーと見ていると、彼女はニッコリとほほ笑んだ。いやいや、40はねーよ。
すごく若く見える。向こうの人って若くても老けて見えるから……10代?
父は犯罪者か!? と疑ったが、彼女がカジノで働いていたという時点で18歳以上であることは確定なんだよな。なら法律上は合法? 羨ましい奴め。
「あ、ボニートちゃん、螺衣のことを見張っていてね」
「オッケーデース。頑張りまーすデース!」
体は縛られ、車のドアの鍵は閉じられ、バニーガールに見張られている。
警察は応援を呼び、この車は何十台ものパトカーやヘリに追われている。
何もかも突然のこと過ぎて頭の処理が追い付かない。
だいたい、なんでこの女性はバニーガールなんだ?
やはり問題はそこだ。ラスベガスならいいかもしれないが、ここは日本だぞ。
まさかとは思うが、普段からバニーガール姿なのだろうか……?
本人は恥ずかしくないのだろうか。俺だったら恥ずかしくで全身が
「そう言えば、自己紹介が遅れまシタネ。私のネームはボニート・F・アングラー。ピチピチの37歳デス。好きなことはもちろんバスフィッシングデス。ルアー釣りはロマンを感じるヨ。芋虫も余裕で触れるまーすデス」
37歳!? この抜群のプロポーションとルックスで37歳だと!?
にわかに信じがたい事実だ。と言うか信じられない。エイプリルフールにはまだ早いぞ。それに37歳にもかかわらず自分のことをピチピチとかいうなんてすごい自信だな。きっと体形を維持するために相当努力とかしてんだろうな。
そんなことより、彼女の趣味はバスフィッシング。つまり釣りなのか。
親父と同じ趣味を持っているので、盛り上がり、意気投合でもしたのだろう。
「俺は坂凪螺衣です」
「知ってるデース。ダイスケから全部聞いているですよ」
「そうなのか」
「おい、螺衣。聞いて驚け、ボニートちゃんはなカープが好きなんだよ」
そうなのか。親父は鯉を意味するカープが好きで、彼女もカープが大好き。
釣りも好きでブラックバスも好きでカープも好き。お似合いじゃないか。
「そうですヨー。私は何を隠そうカープ女子なのデース」
「……ん?」
「日本の野球、見るの大好きです! 釣りと野球が私の趣味ですヨー」
ちょっと待て。
もしかして、ボニートさんの言ってるカープってガチの鯉を意味する生き物のカープではなく、球団の広島東洋カープのことなのではないだろうか?
そうなってくると、全然違う話になってくるのだが……。
父はそのカープの違いに気づいているのだろうか。当然気づいているよな。
「運命だよなー、彼女も美しい錦鯉の色を見るとワクワクするんだって」
「はい、ワクワクしマス! 黒田、野村、中崎、美しいチームワークが彩ります!」
うん。ダメだ。明らかにボニートさんのいうカープは鯉の話ではない。
絶対投手やピッチャーの話だよね。もうその時点で食い違っている。
「今度、黒田を見てみたいものだな。名前からして墨の部分が多い鯉なのか!」
だから違うから。黒田は錦鯉のあだ名じゃなくて、人間の名前だから。
「なぁ知ってるか螺衣。錦鯉の赤はな『紅』、黒は『墨』って言うんだぞ」
「興味ねーよ。それよりもボニートさんの言ってるカープは――」
「そして紅、墨、白の色の混じり方によって呼び方が違うんだぞ」
「だから興味ねって言ってんだろ! それよりもカープの話を――」
「わぁああああっははは! 警官はまるでちりめんじゃこわも~」
「……っはぁー……もういいよ」
二人が幸せならもうなんでもいい。同じカープに変わりないしな。
あと、先ほど父が言っていた錦鯉の話は幼き頃に何度も聞いた。
錦鯉には『大正三色』や『昭和三色』と言うのがあるという話だ。
「螺衣、ユーのファーザーはいつも新しいことを教えてくれます。赤が紅と言うのであれば、カープ坊やの赤い部分は紅と言うんですね」
いや、違うだろ。あれは普通に赤色って言えよ。鯉の話は忘れた方がいい。
まぁ、べつにどうでもいいか。二人が幸せならそれでいいじゃないか。
それよりも今は俺のことを第一に考えなくてはいけない。
父が俺を拉致している理由はやはり転校だろうな。でも、なんで今なんだ?
幼き頃に俺が転校していた理由は、子供だったから親父と一緒に暮らさなきゃいけなかったからだ。なのに今は一人暮らしをしている。転校する理由がない。
「おい、親父――」
「シー。お静かに」
大事なことを訊こうとしたとき、ボニートさんが人差し指を俺の唇に添えた。
「ちょっと待ってネ。ダイスケ、今、大事な電話をするカラ」
「……あ、はい」
父は車に取り付けられていたナビのブルートゥースと言うボタンを押した。
そしてナビ画面に表示されていた電話番号を押すと着信音が鳴る。
手を使わずに電話ができるとは、ハイテクナ世の中になったものだな。
関心していると、やがて向こうの相手と電話がつながる。
「あぁ、もっしー
言葉通り彼は丸い突起を極限まで捻り、音量を最大にする。しかし――
「お、これで聞こえる。うん、うん、なるほどなるほど。分かった!」
いやいやいや、何も聞こえないだろ。音量が最大の筈なのに音が出ていない。
出ていないはずなのだが……父には謎の声が聞こえているようだ。
「え、何? 始業式の真っ最中? ワッハハー、まぁまぁ、電話くらい良いじゃなの~、え、ダメ? 電話を切らなきゃダメー??」
『始業式』と言う単語から察するに、電話の向こうにいる相手は学校の関係だ。
生徒なのか、教師なのか、生徒の保護者なのか。それはまだ分からない。
俺は親父のプライベートを一切知らないので、与太っちと言う人間が誰なのか把握してはいない。可能性として考えられることは、やはり漁師仲間だろうか。
「あぁ、ズッキーの暴走でしょー? 大丈夫、大丈夫。今、救世主を連れていくかーらさ。あ、分かる? そそっ、俺の息子。手荒な真似? してないしてない。全然してないよ。手荒な真似なんてしてないよー。俺は普通に息子の学校に行って、校長とちゃんと会話をしてから息子を連れてきたんだよー」
全部嘘だろ。手荒な真似のせいで警察に追われていることをお忘れなく。
あと、なんだか救世主などと言う偽善的で不穏な単語が聞こえたんだが……。
「えぇー、危険だから来るなっちゅわれてもなー、もう拉致しゃちゃったし、後戻りはできない。ま、まぁ、お、落ち着け。拉致って言っても同意の上の拉致だよ!」
「親父。さすがに嘘はダメだろ。俺は同意なんてしていな――」
していない、と言おうとしたとき、ボニートさんが俺を黙らせる。
彼女は指を唇に添えるのではなく、今度は俺の頬を掴んで口を塞いだ。
俺は必死に抵抗したが、彼女の力は強く、抜け出すことはできない。
な、なんなんだこの女性の握力は!? 女性にしては強い方だ。
「ダメだよ螺衣。ここで声を出せば、相手に聞かれてしまう」
それの何がダメなのか分からない。おおい、助けてー! 助けてくれ!
「え? あぁ、ちゃうちゃう。今の声はあれや、犬! そう、犬。犬の声やねー。んじゃ、電話切るよー。おそらく午後には着くと思っから。バイチャ~」
ガチャッ、と親父が一方的に電話を切った。彼はふーっと汗を拭く。
相手の声が聞こえなかったので、本当に相手が居たのかすらも疑わしい。
仮に相手がいたとしても俺の声は届かない。助けを求めることは不可。
警察も誰も俺を助けてはくれない。ならば、自力で逃げなければ……。
体を動かし、逃げようと試みる。しかし、拘束からは逃げられない。
「フフッ、脱出無駄ヨ。その糸はメイド・イン・アメェリカの釣り糸だもの」
やはり大物を釣るために作られた特別製の糸かよ。人間の筋力では切れない。
動けば動くほどラインが皮膚に食い込んでいく……。軽く痛いんですけど。
逃げることはまず無理だな。
そもそも車は走行中だ。ドアを開けて外へと飛び出したとしても助かる保証は何処にもない。電柱のぶつかるかもしれないし、このバンの後ろを走るパトカーに
俺は逃げたいが、命を懸けてまで逃げたいとは思わない。
まずはチャンスをうかがうんだ。車が止まるまで待つ。話はそれからだ。
「なぁ、親父」
逃げることはとりあえずせず、まずは気になることを彼に尋ねてみることにした。
「俺はどこへと連れていかれんだよ?」
「調布」
「ちょ……調布? え、調布?」
「そう、調布だ」
「へ、へぇー」
予想外の地名に驚いた。親父のことだから外国の地名が出てくると思っていた。
それがところがどっこい、なぜか日本国内だ。
しかも調布と言えば、多摩地域東部にある市だからそれほど遠くはない。
親父が俺を調布の高校にぶち込んだとしても、俺は普通に退学して東雲高校に戻ってくることができる。転校と転入の方法は知らんが、どうにかなるだろ。
と言うか、転校先が調布なら逃げる必要はないのではないだろうか。
「あ、でも、千刃里がいるのか……」
唯一の友達と別々の高校になるのは嫌。やっぱり俺の高校はあそこだ。
親父が何をしようとしているかは知らんが、俺は思い通りにはならない。
調布についても、電車に乗って東雲市の戻ってくる。
「螺衣、ボニートちゃん、いざ調布へゴォ! あ、ボニートちゃん、例のアレは準備できてるぅ~の? そろそろ出番だと思うんだよね」
「イエス! もうばっちりホットペッパーズよ! イエイ!」
例のアレってなんだよ。今更、まだなのかサプライズでもあるのかよ。
「螺衣。目隠しするデース」
「……なんで!?」
尋ねたが、答えは返ってこない。ボニートちゃんは笑顔を浮かべ、目隠し用の鉢巻みたいな何を取り出した。それを動きを封じられた俺の方へと近づける。
「やめろ! な、なんで目隠しなんだよ! 行くところは調布なんだよな!」
「そうです!サプライズです。調布へ行くために必要なのは目隠しです」
「目隠しとか必要なんだろ!」
「いいえ、必要なのです。なぜなら目的地は調布なので」
「……本当に調布なのか?」
「は、はいデス」
怪しい。なんだか途端に胡散臭くなってきたぞ。本当に調布なのだろうか?
目的地が本当に調布なのだとしたら、目隠しなんて必要ないだろ。
「親父。本当のことを言え。この車はどこへ向かってんだ?」
「俺を疑ってるーの? 本当に調布だよ。螺衣じゃないんだから俺は嘘かないよ」
「……ハァ? なんで俺が嘘を吐かなきゃいけないんだよ?」
「アハハッハハ、ダイスケ、とても面白い! 今のは座布団ニーモだよ」
ボニートさんが笑い始める。今の発言のどこに笑える要素があったのか。
俺はとても不愉快だ。意味もなく嘘つき呼ばわりされたんだからな。
しょうもないネタの意味が分からないでいると、親父が解説を始めた。
「今のはな、お前の名前、
「ふーん」
乾いた声が出る。意味を知ったところで「で?」っていう感想しかでない。
こんなゴミみたいなネタで笑うなんて、ボニートさんも変わり者だな。
愛は人を狂わせるなんて言うけど、彼女もそれなのだろうか。
親父の仕草の全てが愛おしく、キラキラして見える。よく分からない。
「それじゃーそろそろ目隠しタイムですよー」
笑い終えたボニートさんが目隠しで俺の目を覆った。後頭部で強く縛られ、簡単には外れないようにされた。視界は真っ暗。残念ながら何も見えない。
「ボニートちゃん」
「分かってるマス。しっかりと準備はしておいたですよ」
何を準備したのか。視界が真っ暗なので何も見えない。
やがてボニートさんの指先が俺の耳に触れる。その後、音が切断された。
感覚的から察するに、耳栓を入れられたのだろうと思われる。
視界を聴覚が奪われた。ますます状況が怪しくなってきたぞ……。
目的地は調布?
あの発言に嘘はないようだったが、バカ正直に彼の言葉を信じる俺ではない。
聴覚や視覚を奪われたとしても俺にはまだ嗅覚と感覚が残っている。
車の揺れから移動距離を分析するんだ。――って無理だろ!!
俺にそんな特殊な能力はない。所詮俺は無力な庶民に過ぎない。
目が見えない。音も聞こえない。動けない。どうすることもできない。
最後に見えたモノは親父の再婚相手であるバニーガール姿の女性。
父が俺の前に現れるときは必ずトラブルを俺の人生にもたらしてくる。
迷惑な話だ。だが、情けないが、今はその波に従うしかない。
波に逆らって泳いでも無駄に体力を消費するだけだ。
果たしてこの車の本当の目的地はどこなのだろうか?
本当に調布なのだろうか? 調布だったらいいのになぁ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます