第11話 定められていた結末 その2

「ふ……ふざけるな! リザが俺に会いたくないわけない! そうだ、これは何かの間違いだ……!」


「あ、あの!」


 そこへ、またしても耳障りな声が響いてきた。魔人形が俺にまだ何か言いたそうな顔をしているのだ。


 そこで俺は気づいた。魔人形は、どうやら魂が宿ると本当に人間のようになるらしい。表情さえも人間のように柔らかに表現できている。つまり、どうやら魔人形としては、コイツは成功した部類にはいるようだ。


 もっとも、俺の目的である「リザを生き返らせる」という目的から外れてしまった時点で、俺にとっては失敗作なのだが。


「……なんだ、失敗作」


「なっ……何を言うのですか! 一体全体どうしたというのですか? 貴方は私を助けてくださいました。それなのに……」


「助けた? ふっ……あっはっはっは!」


「な、なぜ笑うのです?」


「ああ、すまないね。助けてないからさ。ほら、見てみろよ」


 俺が指差した方を見て、リゼは絶句した。そこには、血まみれで横たわる彼女自身の姿があったからである。


「え……あ、あれは、私……」


「ああ。そうだ。お前はな、人形になったんだよ」


「え……人形? な、何を言って……」


「おかしいか? でも、お前、俺の短剣、胸に刺さったままだぜ?」


 そう言われてリゼは胸に刺さった短剣を見た。あまりの恐怖に何も言えなくなってしまったようだった。


「そ、そんな……私は……」


「だから、言っているだろう。人形だ。お前は俺が作った魔人形に魂を移し替えられたんだよ」


「ま、魔人形って……そ、そんな、ありえません!」


 そう言って聞かないリゼに近寄って、俺は刺さったままの短剣を引っこ抜いた。魂ごと抜けてしまうかと思いきや、既に人形に魂が定着したらしく、痛がる様子もなく短剣が抜けた。


「ほら、痛くないだろ? お前が人形だって証拠だよ」


「そ、そんな……どうしれくれるんですか! 私は……」


「さぁな。こっちが聞きたいよ。お前は俺の最愛の人として目を覚ますはずだった。なのに、目を開いて見れば、どこの誰だか知らないリゼ……なんちゃらっていう女の意識のまま。リザじゃない。悪いが、リザじゃない魔人形に興味はないんでね。どこへでも行ってくれ」


 リゼは何も言えないようだった。俺としても相当ショックだった。だからこそ、俺は大げさ気味に人形となった少女に対して振舞った。


 少女はその青いガラスで作られた瞳を俺に向けたまま立ちつくしていた。

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