第19話 北軍の夜襲

「あっどうも、ロウの父アントレイヤでーす。いや〜、みんな久しぶりだね〜、ま〜だ家に帰れないんだよね〜、一体中央政府は何やってるのかね〜、アレからず〜っと待機してるよ、参っちゃうよね〜、あ〜早く家に帰りたいわ〜、また愚痴っちゃったね、聞いてくれてありがとう。じゃ、またね」


「ガチャ」


アントレイヤが剣を落とした。


時間は深夜をまわっていた… 何処からか騒ぎ声が聞こえる…

アントレイヤはテントを出て近くにいる兵士に近寄った。


「何の騒ぎだ?」


アントレイヤは兵士に聞いた。


「分かりません」


兵士はそう答えた。


しばらくすると馬を走らせた騎馬兵が5人やって来て、アントレイヤの近くで止まり、1人が馬を降りてアントレイヤの前に来た。


「北軍の夜襲です、北軍の兵 約500、ウチは今200人くらいしか周りにいません、入口を突破される前にアントレイヤ様逃げて下さい」


騎馬兵がそう言った。


アントレイヤは考え込んでいた…


「アントレイヤ殿早くお逃げ下さい!ここは私達で食い止めますので!」


近くにいた兵士がそう言った。


「いや、私も戦おう!お前達を見捨てる事などできん」


アントレイヤはそう答えた。


「アントレイヤ様はここで死んではなりませぬ!ここであなたが死んだら中央軍はどうなるのですか!」


近くにいる兵士がそう言った。


「おい、お前、アントレイヤ様を早く連れて行け!」


近くにいた兵士が騎馬兵にそう言った。


「くそっ、北軍のやつらめ、必ず私がお前達の仇を討つからな… だが…出来れば生きていてくれ…」


アントレイヤは涙目でそう近くにいた兵士に言った。


「さっ、早くこちらへ」


そう言い騎馬兵が馬の方に誘導した。


アントレイヤが馬に乗った時、入口を突破され北軍が流れ込んで来た。


「さっ、アントレイヤ様、我々が誘導しますのでついて来て下さい‼︎」


騎馬兵の1人がそう叫んだ。




アントレイヤ達一行が逃げ出してから1時間程馬を走らせた時、アントレイヤは気づいた、騎馬兵の1人に暗殺の件を報告しに来たキューイがいる事に。


「君はあの時の」


アントレイヤはキューイの隣に馬を寄せてそう言った。


「はっ、あの時報告に参ったキューイです」


キューイはそう答えた。


「やっぱりそうか…君に聞きたい事があるんだが私達は何処に向かって逃げているんだ?」


アントレイヤはそう尋ねた。


「はっ、あと1時間程した所に絶好の隠れ家があります、そこに今向かっております」


キューイはそう答えた。


「そうか分かった、このまま誘導頼む」


アントレイヤはそう言った。


「はっ、分かりました」


キューイはそう言い馬をアントレイヤの前に出し誘導を始めた。


アントレイヤ一行は、隠れ家に向い暗闇を疾走するのであった。

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