第20話 ギール登場
「あっどうも、ロウの父アントレイヤでーす。いやぁ、参った参った、北軍が夜襲かけて来てさ〜、参っちゃうよね〜、部下を置いて逃げるなんて俺情けないよね〜、でもさ〜、命がけの部下に言われた事に納得しちゃってさ〜、逃げるしかなかったんだよ、あっ、キューイが馬を止めたからまたね」
「ガチャ」
キューイが馬を止め馬から降りて来た。
「アントレイヤ様、着きました、一時この隠れ家で身体を休めましょう」
キューイはそう言った。
「分かった」
アントレイヤはそう言い馬を降りた。
「こちらへどうぞ」
キューイはそう言い、アントレイヤを誘導した。
誘導されるまま隠れ家に入ろうとした時、1人の騎馬兵がアントレイヤの道を塞いだ。
「なんだ?」
アントレイヤは立ちふさぐ騎馬兵に向かってそう言った。
「フフッ、お前の命はここで終わりだ」
横にいたキューイがそう言い、ナイフをアントレイヤの横腹に突き刺した。
「ぐおぉぉ」
アントレイヤはナイフを刺された瞬間横に飛びキューイ達から距離を置いた。
「お前達!なんのつもりだ!」
アントレイヤはキューイ達にそう叫んだ。
「なんのつもり?ふははははは、まだ気づいてないのか?お前に報告しただろ?暗殺隊がお前の命を狙っていると」
キューイはそうアントレイヤに向かって言った。
「お前達が… くそっ… 」
アントレイヤは今気づいて悔しがった。
「何か言い残す事はあるか?」
キューイはそう聞いた。
「お、お前達か?前任の最高司令官を殺ったのは?」
アントレイヤはそう聞いた。
「ふははははは、そうだ、俺が殺った。ふははははは、そしてお前もな」
キューイはそう答え話しを続けた。
「言いたい事はそれだけか?」
キューイはそう言った。
「くそっ…」
アントレイヤはそう吐き捨てた。
「やれ」
キューイがそう言うと、剣をもった騎馬兵が3人アントレイヤに近いて来て切りかかって来た。
「ズバッ、ズバッ、ズバッ」
アントレイヤは腹を押さえながら3人を切り捨てた。
⁈
キューイは驚きアントレイヤに話しかけた。
「北月師団の連中を殺るなんて…やるじゃないか、ふはははは、お前はただのお偉いさん
ではないな」
キューイはそう言った。
「俺が殺りますよ」
アントレイヤの前を塞いだ男がそう言い、アントレイヤの近くまで歩いて来た。
「ガゼ油断するなよ、怪我をしながらウチの連中を3人殺りやがった…この男ただ者じゃないぞ」
キューイはそうガゼに話しかけた。
「久々に手応えがありそうだ、ガッハハ」
ガゼはそう言い喜んでいた。
「オラッ、死ねや!」
ガゼはアントレイヤに切りかかった。
「シャキィン、シャキィン、シャキィィン、ズバッ」
アントレイヤはガゼに腹を刺された。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
アントレイヤは空に向かって叫び剣が腹に突き刺さったまま両ひざを地面に付けた。
「おっさん覚悟しな」
そう言うとガゼはナイフを取り出した。
「これまでか… くそぉぉぉぉぉぉぉぉ」
アントレイヤは空を見上げ泣いた。
ガゼがナイフで切りかかろうとした瞬間、馬の足音がこちらに向かって来てガゼに向けナイフが飛んで来た。
ガゼはナイフを避け馬の男を見た。
「おやっ?大ピンチだねぇ、アントレイヤ
君」
馬に乗った男はそう言った。
「ギッ、ギール」
アントレイヤはそう言うと気絶した。
「あーぁ、気絶しちゃったよ、お前らウチの最高司令官になんて事しちゃったんだよ、死ぬ覚悟はあるんだろうなぁ?」
ギールはそう言うと馬をおり剣を抜いた。
「お前は何もんだ?」
ガゼがそう聞いた。
「俺が何者だろうとこれから死ぬお前らには関係ない事だ」
ギールはそう答えガゼに切りかかった。
「ズバッ」
一瞬の出来事であった。
「ぐぉぉぉ」
ギールはガゼの腹を刺し、キューイに向かって歩いた、ガゼは片足を地面に付け腹を押さえた。
「ふはははは、中央軍には、平和ボケしたなまくら兵しかいないと思っていたが、とんだバケモノ達が潜んでいやがったなぁ」
キューイはそう言った。
「おしゃべりはお終いだ」
ギールはそう言いキューイに切りかかった。
「シャキィン、シャキィン、シャキィィン」
2人が間合いを取った時、キューイが言った。
「今日の所はこれで引き上げる、お前もアントレイヤ殿を助けたいだろう、今なら間に合うかも知れないぞ」
キューイは全滅の危機を感じてそう言った。
ギールはアントレイヤを見て思った。
(確かに今なら間に合うか?)
「分かった、一時休戦だ」
ギールはそう言って剣を腰に戻した。
「ガゼ大丈夫か?」
キューイも剣を腰に戻しガゼにそう聞いた。
「あぁ、なんとかな」
ガゼは腹を押さえながら答えた。
ギールは剣が刺さったままのアントレイヤを抱き抱え馬に乗り隠れ家を後にした…
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