第15話 王族関係者

「あっ、どもっ、ロウです。前回ブル最高司令官と話したけど何の話をしてるのかさっぱりわからなかったでーす。謎って何?って感じでした〜。僕の父も何も知らないって?この世界の真実?意味がわかりませーん、とりあえず今、ブル最高司令官の部屋を出て、セナと歩いてまーす。セナちゃん可愛いよ〜、可愛い過ぎるよ〜「ピー」したいよ〜」


「ガチャ」


一緒に歩いていたセナがナイフを落とした。


「あっ」


そう言ってセナはナイフを拾った。


「ねぇ、この世界の真実って何?」


ロウはセナに質問した。


「私も知らないわ、さっき初めて聞いた話だもん」


セナはそう言ってロウを見た。


「えっ?そうなの?」


ロウは驚いた。


「うん…でもね時々おかしぃなって、思う事があるのは確か…」


セナはそう言って、話を続けた。


「例えばね、王族の関係者が時々北地区に来るの…なんで王族の関係者が北地区に来るの?王族って言ったら中央地区側の人間な筈なのに…1度気になってブル最高司令官に聞いた事があったんだけど、王族の事は何も聞くなって言われたの」


セナはロウの耳に口を寄せ小声でそう話した。


「えっ?王族が?」


ロウはセナを見てそう言った。


「うん…実はね…今日も来てるの…王族関係の偉い人が…」


そう言ってセナの足が止まった。


「ねぇ、少し探ってみる?私もブル最高司令官が言った事が気になるから」


セナはそう小声で聞いてきた。


「うん…でもそんな事して大丈夫なの?」


ロウは心配そうにそう言った。


「大丈夫よ、少し探るくらいだから」


セナは微笑みながらそう言った。


「うん、じゃあ、探ってみる」


ロウはセナの目を見てそう言った。


「じゃあ、こっちに来て」


セナはそう言うと、今まで歩いてきた城の中を引き返して歩き始めた。


ロウはセナの後を追った。




引き返してから5分程歩いてからロウは尋ねた。


「今日来てる王族の偉い人ってどんな人なの?」


ロウは気になったので聞いてみた。


「王族じゃなくて王族関係者だよ、間違えないでね、この国で1番頭がいいって言われてる人よ、名前はガブリエって言う偉い人」


セナはそう答えた。


「あっ、その名前聞いた事あるよ…名前しか分からないけどね…」


ロウはセナの方を見てそう言った。


「そうでしょ、有名な人だからみんな名前くらいは知っている筈よ」


セナは歩きながらそう言った。


それから少し歩き、曲がり角に差し掛かかる手前でセナは歩きを止めた。ロウも歩きを止めた。


「多分、今日もこの曲がり角の先にある部屋にいると思うからちょっと待って」


セナはロウの耳に口を寄せ小声でそう言い、曲がり角の先をチラッと覗いた。


「やっぱりいた、今日は護衛が1人ね、これなら楽勝ね」


セナはロウにそう小声で話した。


「どうするの?」


ロウはセナに小声で尋ねた。


「あの護衛を眠らせて直接ガブリエに会ってみる」


セナはそう小声でロウに言った。


「えっ⁈そんな事したら絶対ヤバイよ」


ロウはセナに小声でそう言うと。


「私を誰だと思ってるの?もうネタバレしてるけど、私はあの北月師団の最高幹部よ?絶対上手くやるから安心して」


セナはロウに小声でそう言いった。


「北月師団?」


ロウは北月師団なんて名前は初耳だったので不思議そうな目でセナを見た。


「あっ、そっかロウは知らないよね、じゃあ、教えてあげなきゃね、簡単に言うと、北月師団て言うのは北軍最強の部隊よ、そして私はその最強部隊の幹部なの、だからみんな私を見て敬礼してたのよ」


セナはロウに小声でそう説明した。


「そっ、そっか、それでセナを見た兵士達が敬礼してたんだね、セナ偉い人だったんだ」


ロウは少し驚き小声でセナにそう言った。


「偉くなりたくてなったんじゃないけどね…でも前にも話たと思うけど私は北軍に希望を見たの…だから北軍の為に命を懸けて頑張ったの…そしたらいつの間にかに…」


セナは何故だか悲しそうな目をしてロウにそう言い話を続けた。


「中央の軍に女性はいないわ、でも、北軍には女性がいっぱいいるの…私は北軍に希望を見た…でも北軍にいる彼女達は私に希望を見ているの…そんな彼女達が命令によって一体何人死んでいった事か…」


セナは涙を浮かべてロウにそう話した。


「しょうがないよ」


ロウはセナにそう声をかけた。


「しょうがない?」


セナの顔が強張る。


「その命令を出してるのは私よ?私に希望を見ている彼女達の命を私が奪っているのよ?あなたに私の気持ちがわかる?私は彼女達になんて言って謝ればいいの?」


セナは震えた声でそう言い静かに泣いていた…

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