第10話 修道女
「あっ、どもっ、ロウです。みなさんお久しぶりです。僕が主人公なのに久しぶりっておかしくない?みんな僕の事覚えてる?まぁ僕は貴族だから怒らないけどね〜、余裕があるあるからね〜、そんな事よりみんな聞いてよ、ウチに新しく入ったメイドさんがいるんだけど、ちょー可愛いくてさー、あのメイドさんと「ピー」したくてさ〜、君もこんな僕の物語なんて読んでないで好きな人と「ピー」してた方がいいと思うよ。あっ、誰か来た、じゃ、またね〜」
「ガチャ」
食器の音が部屋の外から聞こえた。
「トントン、入ります」
ドアをノックしてちょー可愛いメイドさんが部屋に入って来た。
「頼まれた物をお持ちしました」
そう言って僕の部屋にある小さなテーブルに食器を置いた。
「あっ、ありがとうございます」
そう言ったロウの頬はみるみる赤くなっていた。
「今日は天気がいいですね」
ちょー可愛いメイドさんが笑顔で僕に微笑んだ。
「たまんねー」
メイドさんの顔と胸を見ていたロウはつい口からそんな言葉が出てしまった。
「えっ?」
ちょー可愛いメイドさんが怪訝そうな顔で僕を見た。
「いっ、いや…」
ロウの言葉が詰まる。
耳まで真っ赤っかになっていた。
「もしかして具合悪いですか?」
ちょー可愛いメイドさんが心配そうに僕を覗き込む。
「えっ、いや、具合は悪くないんだけどアソコが…」
ロウはついそう言ってしまった後に気がついた、自分がとんでもない事を言ってしまった事に。
(おいー、なんて事言ってんだオレー、普段から下ネタばっかり言っててバチがあたったかー、ちょー可愛いメイドさんの前でアソコがなんて言っちゃったよ〜、どーすんのオレ、コレどーすんのー‼︎‼︎)
「えっ?アソコが?」
ちょー可愛いメイドさんが不思議そうな顔をしてロウを見た。
(ほらー、やっぱり聞こえてたよー、どうすんの?どうすんの?どーすんのー‼︎‼︎)
ロウは必死に考えた。
「あっ、違うんです、僕ちょっと考え事をしてまして…」
ロウは苦しい言い訳をした。
「あっ、そうなんですか…」
ちょー可愛いメイドさんは何処となく納得してない様子だった。
「えっ、え〜っと天気の話してましたっけ?」
ロウは話題を変える事にした。
「えっ?あっ、そうですね、今日は天気がいいのでロウ様と一緒に何処か行きたいな〜って思いまして」
ちょー可愛いメイドさんが何処かぎこちなくそう言った。
(えっ?僕と一緒に何処か行きたいな?聞き間違えじゃないよね?もしかして僕に気があるのか?今日、母は何処かに出掛けてるし。よし!このチャンスに、ちょー可愛いメイドさんと2人きりでデートして、もしかしたらこのちょー可愛いメイドさんと「ピー」だ。)
「いっ、いいですねー。一緒に外行きましょー」
ロウは急いで外に出る準備をする。
「一緒に行ってくれるんですね、嬉しい」
ちょー可愛いメイドさんは喜んでいるようだった。
ただ何か違和感をロウは感じた。
ちょー可愛いメイドさんとロウの2人は町の外れに向かって歩いていた。ちょー可愛いメイドさんがどうしても行きたい所があると言うのでそこに行く事にしたのだ。
「ロウ様、後少しですよ」
ちょー可愛いメイドさんが微笑みながらロウに言った。
「こんな町外れに何があるんですか?」
ロウも微笑みながら聞いた。
「まだ内緒ですよ、ロウ様」
ちょー可愛いメイドさんは人指し指を口にあてそう言った。
歩く先に小さな森が見えて来た。
「ロウ様、アソコですよ!」
ちょー可愛いメイドさんが森の方を指さしそう言った。
「なんだかワクワクして来た」
ロウは笑顔でそう答えた。
森の中に入り10分程歩いた頃、小さな教会が見えて来た。ちょー可愛いメイドさんの言われるまま教会に入ると中には10人程、修道女の格好をした人達がいた。
「連れて来ました」
ちょー可愛いメイドさんが修道女達に向かってそう言った。
(えっ?連れて来ました?どゆこと?)
「ゴメンね」
ちょー可愛いメイドさんがロウを見てそう言うと何かをロウに吹きかけた。
「ちょ、ちょっと待って、これは一体なんなんで…」
ロウはそう言ったそばからみるみる意識を失った。
「任務ご苦労であった」
修道女の1人がロウ達に近づきながらそう言った。
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