第11話 中央政府の闇
「ど…ども…ロウです…今さっき目覚めました…今もまだ意識がもうろうとしてます…あの可愛いメイドさんに何かを吹きかけられて意識を失っている間、馬車に乗って何処かに運ばれて来たようです…身体はロープでがんじがらめにされてます…こんな状態なのに挨拶して来いって作者に言われて…あの作者マジキチです…主人公になんてならなきゃよかったって今、もの凄く後悔してます…だ、誰か助けて…」
「ガチャ」
馬車を止める音が聞こえてしばらくして誰かが馬車に入って来た。
「起きた?」
そう声をかけて来たのは、あのちょー可愛いメイドさんだった。服装は修道女の格好に変わっていた…
「何でこんな事するの?」
ロウは虚ろなまま質問した。
「それは後で教えるから、とりあえず一緒に来て」
彼女はロウを縛ってあった縄をほどきながら言った。
馬車から降りたロウの目の前にはボロボロの教会があった…そして教会の周辺の建物もボロボロだった…
「ここは何処ですか?」
ロウは恐る恐る聞いた。
「ここは北地区の都よ」
彼女はそう答えた。
(えっ?ここが北地区の都?こんなボロボロの町が都だって?)
「驚いたでしょ?あなたたち、中央地区の町や都とは大違いだもんね」
彼女は目の前に来てロウの目を覗きながら言った。
ロウは北地区のあまりの凄惨さに言葉が出なかった…
「入って」
彼女はボロボロの教会のドアを開けそう言った。
ロウがフラフラしながら教会に入ると彼女は教会のドアを閉めた。
「あなたは北地区の人なんですか?」
北地区に連れて来られ、薄々分かってはいたが気になったのでロウは質問した。
「そうよ」
彼女はまっすぐロウの目を見て言った。
やっぱり北地区の人だった…今はっきりと自分が誘拐された事にロウは気づいた。
「これって誘拐ですか?」
分かってはいるがロウはちゃんと確認したかったので質問した。
「その通りよ」
彼女は微笑みながらロウにそう言った。
「何故僕を誘拐したの?」
ロウは気になったので質問した。
「あなた達、中央地区の人間は酷い人達よ」
彼女は教会の像を見上げてそう言った。
「僕には何も関係ないでしょ?何も知らないし」
ロウは両手を広げてそう言った。
「何も関係無い?何も知らない?」
彼女の顔が強張る。
「あなたの父は中央軍の最高司令官よ、何が関係ないの?」
「そ、そうだけど…」
ロウは言葉に詰まった。
「それに、あなた達中央地区の人間は何も知らないからってすぐに逃げようとするけど、何も知らない事も私達からしたら罪よ」
そう言って彼女はロウを睨んだ…彼女の目は何故か涙目になっていた…
しばらく静寂が続き彼女が話し出した。
「私が5才の時、私の父も母も餓死で死んだわ中央政府の重税のせいでね…私は孤児になって北軍に引き取られ小さい頃から訓練させられたわ…他にもいっぱい私みたいな孤児がいた…でもねそれだけじゃない…北地区が独立する以前はね、中央政府の軍が北地区の働けなくなった人達を殺しに来てたの…生産性がないっていう理由でね…その時にねそこら中略奪もしていったわ…中央政府の軍が来るたび北地区の町はめちゃめちゃにされたわ…」
彼女はそう言いロウの目を覗き込んだ…
「中央政府の人間は、私達の事をなんだと思っているの?あなたの父は私達をなんだと思ってるの?」
彼女は涙を流しながらロウに尋ねた。
「何も言ってなかった…何も知らなかった…ごめんなさい」
ロウは彼女の目を見れずボロボロの床を見てそう答えた。
しばらくして彼女が言ってきた…
「じゃあ、あなたに聞くわ、今私が何も知らなかったあなたに中央政府の真実を教えたけど、あなたは今どう思う?悪いのは私たち北地区だと思う?それとも中央地区だと思う?正直に答えて」
彼女は目に涙を浮かべたままそう聞いた。
「中央地区が悪いと思う…」
ロウは正直にそう言った。
「そうよ」
彼女はそう言って話を続けた。
「なのにどう?何にも知らない中央地区の恵まれた人達は謀反を起こした謀反を起こしたって言って私達が悪者扱いされてる…」
彼女は悲しそうにそう言い話を続けた。
「私たちは中央政府の奴隷からずっとずっと解放されたかったの… 北地区の独立は私たちの希望なの…」
彼女は教会の像を見上げ泣いていた。
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