紹介丿壱
幽体?だからだろうか、今はこの部屋全体が見渡せる。
よく考えるとこの部屋には照明がなく、照明を証明する器具もない。
と、くだらない冗談を思いついてふわふわ浮きながらナルミヤは笑った。
ざっと見渡す限り20mくらいだろうか、駅構内よりだだっ広い。
部屋、というか空間か。
見渡せるということは、壁があるかを認識できるというわけではない。
そこまでしか人がいないから、とりあえずはそこまでの広さがあることが分かるということだ。
ひとまず自己紹介だろうか、話し合いが行われている場所まで向かう。
何人かはまだそこに集まっておらず、考え事をしていたり、他を詮索している様子だ。
「・・・それで、私の自己紹介?は以上だ。」
「ほんなら、もう名前だけでもええんとちゃいます?」
「・・・うみゃあ・・・言いたい人はなんでここに来たとか・・・。情報が欲しいにゃん・・・。」
なんとなく会話する声が聞ける範囲まで近づいた。
集まったのは6人だろうか。
俺とバディを除けばあと5人はうろちょろしている。全部で13人だろうか。
「さっきも言った通り、僕の名前はクリークス。多分この中で一番強い。」
金髪を揺らしながら言う。
「そんならさー、最強さん、あんたここをそのご自慢の力強さで突破してみてくれないかい?」
葉巻だろうか、ふぅーと一息吹かせ、女性がクリークスに煙を吹きかけた。
「ちょっと、それなに。」
煙を仰ぐ。
「んー、実際やってみたんだけれどちょっとまずいことになって・・・と、そんなことより、名前だけでも良いから自己紹介してみてよ。呼びづらいから。」
葉巻の女にクリークスが話しかける。
「まあそうか・・・私はメニスの国の大晩、ルイだ。」
「ダイバン?」
黄色みがかかった髪で、小柄でか弱そうな女の子が話しかける。
「大晩を知らないのか・・・。大晩ってのは死にたいやつの枕元に立って、死を実行してやる役目さ。方法は様々。断首、窒息、安楽・・・とにもかくにも、生きている人間から魂を引き離す役目さね。」
「それまた物騒なお仕事だね」
クリークスが茶化す。
「そう思うか?メニスでは喜ばれる人気職だよ。皆笑顔で次に向かうのさ。そのへんは概念的な違いだろうよ。」
また一息、葉巻でつかせる。
次はあんただよ、と隣の男を指差す。
「俺はグニディア。」
上裸でよく焼けていて、目の色は青い。
「それだけ?」
「名前だけで充分だろう。」
「まあそう云う人も居るか。」
クリークスが頷く。
「・・・わっっちは・・・メメコですにゃ。・・・えっと、んんー」
単発で見た目はボーイッシュな感じなのだが、やけに女々しい。
「殺し屋をやっていますにゃん・・・」
その見た目の可愛さと裏腹に、一同は驚く。
「・・・殺し屋と言っても、わっちは魂ノ
「魂ノ
「・・・にゃあ、魂ノ
もじもじしながら答える内容とは裏腹に、かなりにやばい内容だということは誰しもが分かる。
「・・・っつー、魔力を注ぐってどうやるんだ?・・・」
黒い背格好の牧師が尋ねる。
「うーん、・・・ひとにはそれぞれ魂を繋ぐ虫みたいなのがいてですにゃあ・・・、その虫をわっちの
まったくもって、今のところ危険人物第一位だと彼は思った。
ただ、ふと思う。
こいつらは本当のことを言っているのか?
白い部屋に閉じ込められた13人の異世界人 筆まめ猫ろんだ @kakukotoyomukoto
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