第5噺 この杖の無いエレメンタルマスターに素材を!
妹side
ゴブリンを討伐したら、湖から水の精霊が現れました。
「おお…めっちゃ美人」
「この精霊さんを想像した人はきっと、木こりの話に出てくる湖の女神をイメージしたに違いない。あの斧持ってくるやつ。」
水の精霊は私達に微笑み、ペコリとお辞儀して話しかけてきた。
『冒険者さん、我々の湖を取り戻してくれて感謝致します。』
「喋った!!」
「そりゃそうだよ、湖の女神っていったら話しかけてくるイメージあるじゃん」
『貴方達にお礼をしたいのですが、小さな魔女さんは……見たところ
それに貴女は私の眷属の女神様の気配が………これは…』
どうやら私にかけられた加護に気がついたようで、水の精霊は驚いて目を見開いている。
『素晴らしい!!貴女はアクア様から祝福を受けているのですね!杖の素材を集めている最中のようですし、貴女にはお礼として最大級の物を差し上げます。』
アクア様万歳!!アクア様に気に入られて良かった!ありがとうございます!
私アクシズ教に入信しようかな…アクア様はアクシズ教に崇められてる女神様って言ってたし。でもこないだお兄ちゃんに言ったら全力で止められたんだよね……。
私の箒はニワトコの木で出来ているらしく、これを杖の芯にすれば良い杖が出来ると水の精霊に言われた。
箒は木自体に神様から特殊な魔法がかけられているので、箒を解体しても木があればちゃんと飛べるので問題ないそうだ。
この箒は使いたい時にいつでも目の前に出現する持ち運び便利なものだったので、これを杖にすれば……空を飛べる持ち運び便利な最強の杖になると言うことだ。
空飛ぶ杖とか何処のカードキャ〇ターだよ!!でも便利だから問題ナッシング!!
『ニワトコは…黒い女神への戸を叩く……』ボソッ
「え?」
『いえ、なんでもありません。それでは貴女に、最大級の素材を…』
そう言うと、ザアァ…と風で木々が靡き、大きな金色の鳥が現れた。……あれ、なんかドラ〇エのラー〇アっぽい、FC版の。FCのラー〇アは白ってことになってるけど、レ〇ィスの印象のせいか金色のイメージがあるよね。
水の精霊曰くこの鳥さんは風の精霊だそうです。……絶対日本人だろこの精霊達を連想したの、精霊は人間が連想した姿になるってアクア様が言ってたし。冬の精霊も日本人が連想したせいで冬将軍になったそうだ。
私は風の精霊って妖精さんみたいなのイメージしてたんだけどなぁ……まぁ精霊は一体という訳ではなく世界中にいるらしいし、きっと妖精さんみたいなのもいる…はず。
ピイィーッ!!
風の精霊の美しい鳴き声が周りに響き渡る。
すると……何処からか他の精霊達が姿を現した。
ドラゴンの様な翼の生えたサラマンダー擬きや冬将軍、他にも色んな精霊達が集まった。何これ凄い。
集まった精霊達は輪になり、何かを作り始めた。
水の精霊が水の膜で球体を作り、それを地の精霊が結晶化させガラスドームの様なものになる。風の精霊が球体の中に風を送り、火の精霊が炎を入れたことによって、中の炎が風で揺らめく。
結晶化させた際に開いた穴を火の精霊が熱して綺麗な球体にし、それを冬の精霊が冷ます。
こうして、世界に一つだけの幻想的な美しい水晶玉が出来上がった。水晶の中で炎が揺らめいて、とても綺麗だ。
精霊達の魔力が籠められているので、強力だからか清らかなオーラを纏っているのが見える。中に炎があるのに、触ってみるととても冷んやりしている……水で出来ているのもあるだろうが、先ほど冬の精霊が冷やしていた時の魔法がかかっているのだろう。
「凄い…」
『この水晶を素材にお使い下さい。我々の力を籠めたこの水晶の杖ならば、どんな精霊も協力してくれることでしょう。
そして、我々からも貴女に祝福を…』
そう言って、水の精霊を筆頭に精霊達が何かを唱え、私の身体は光に包まれた。
『これで少しは、貴女を苦しめる古い鎖を緩和出来た筈です。どうか今世では、貴女の人生に幸多からんことを』
「え…、古い鎖ってどういう……」
水の精霊は頬笑むだけで、何も答えずに精霊達と共に消えてしまった。
To be continued…
―――――――――――――――
後書き
久しぶりの更新です。
最近急に引っ越しが決まってしまいバタバタしています。
さて、水の精霊が言っていた古い鎖とは何のことでしょう。アクアが加護を与えたことに関係があるのでしょうか?
このことについてはまだ明かされませんので、気長にお待ち下さい。
漸く素材をゲットして精霊とも交流をもった妹ちゃん。早速持ち帰って武器屋さんで杖に加工してもらいました。
ニワトコの木の上に水晶を金属の装飾品で固定し、高品質の細長い菱形マナタイトを装飾品からワイヤーやチェーン等を使いイヤリングの様に垂らしています。
ニワトコの木は死と再生のシンボル。
「黒い女神への戸を叩く」、これは三相女神のうちの老婆の相を持つ女神のことです。
老婆の相は、地下世界や死、冥界、そして再生を司る女神を意味します。
多くの研究者が『古代の人達は死を終わりとして考えていなかった』と考えているようで、死を司る女神は、地上で生を全うした全ての魂を冥界で受け止め、再び新たな循環、新たな生へと解き放つもの、と捉えていたのではという事です。
一度死んでしまっている妹ちゃんのことを思うと、なんだかなぁ…。
次回、妹ちゃんがピンチに!?新たなキャラが登場!アイツは一体何者なんだ!?
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