第5話 彼女(神田 美由紀の問題)
というわけで、来ちゃいました神田さん家。初めての女子の家はドキドキするよね?でもね、違うんです、目的があるからとかではなくてですね・・・
「ここが我らの愛しのカワイコチャンの家、神田さん家だ。」
「ここが・・・、あの麗しの神田さん家。」
この危なっかしい二人の予期せぬ言動が起こると思うと違う意味でドキドキするよね。ほんと、噂にはなってほしくない。誰も観ていないよね?
ちなみに、宮田と池田は用事があるからと帰宅した。そんな気遣い要らないんだけど。
「では、ピンポン開始。」
花咲結は張り切ってチャイムを鳴らした。
ピンポーン
返事がない。やはり警戒しているのだろうか。
しばらくして花咲がもう一度チャイムを鳴らそうとした時、玄関の扉が空いた。
出てきたのは神田美由紀の母親だった。
「その制服は美由紀と同じ高校の方ですね。美由紀の友達ですか?」
「はい、お友達の花咲結です。最近美由紀さんの姿が学校で伺えなかったので心配で訪問してしまいました。ご無礼をお許し下さい。」
そう、花咲は言った。いつもとはぜんぜん違う印象に少し驚いた。
「よかったら上がりますか?できれば美由紀に声をかけてやってはくれませんか?」
「では、すみませんが、上がらせてもらいます。」
「美由紀さんのお母さん、はじめまして美由紀さんの友達の浅加幸平です。こっちは松岡健吾です。」
「こんにちは、松岡です。」
軽く挨拶を終え、神田さんの部屋につく前に、神田さんのお母さんからあるていどの事情を聞いた。どうやら、何か問題を一人で抱え込んでいるらしい素振りがあり、学校に行こうとしないことから学校でトラブルでもあったのかと心配しているらしい。
部屋の前につき、母親がノックをする。
「美由紀、お友達が来てくれたわよ。」
「美由紀ちゃん、私、花咲結だけど。よかったらお話がてらお茶でもどうかな?よかったら力になるよ?」
返事がない。今は誰とも関わりたくないのだろうか。また、それほどの物を抱え込んでいるのだろうか、色々考えるとますます心配になる。美少女だというのもあるけど。
「美由紀ちゃん、あなたは弱い。」
なっ!!
「でもね、人間は誰でも弱いものなの、力があるから強いわけじゃないの。傷つき、助けを求め、支えてもらい、その傷を背負いまた立ち上がるの。」
花咲の熱弁が始まった。
「もっと大きな話をするとね、人生は一度きりなの、あなたも一人の人間なの、今抱えている気持ちは、世界で比べると大きいものではないと、誰かが言うかもしれない、でも、生きているのは自分自身なのだから、世界基準で判断するべきではないわ。」
ぐちゃぐちゃだな。
「だからね、今たった1度きりしかない高校生活をかんたんに捨てさせはしない。悲しいなら私達があなたを必ず笑顔にする。頼ってくれてもいい。私達の高校生活には、美由紀ちゃん、あなたは必要な友達なの。だから、今からこの扉を開けなさい。立ち上がって。」
扉を思いっきりグーで叩いた。痛そうだなぁと思っていると扉の向こうから声が聞こえた。
「私を、助けてください。」
その声は、いつか聞いた電車の中での言葉よりもとても重かった。
彼女の部屋に入った。女の子らしい部屋です。彼女のお母さんは気を利かせてくれて部屋から退出した。本当は一番気にしているはずなのに、申し訳ない。
俺達は、彼女から事情を聞いた。包み隠さず彼女は打ち明けてくれた。
まず、問題の原因は同じ高校の3年の先輩だった。
先輩の名前は芦田勇気(あしだ ゆうき)、部活には所属していない。これがかなりのイケメンらしく、女子からモテモテだという幸平情報だ。
きっかけは、高校の廊下で軽く衝突したことだったらしい。急に名前やらクラスやら聞かれ、連絡先の交換を要求してきたらしい。彼女的に渋々交換して適当に流したかったみたいだ。しかし、下校途中で合う機会がその日から多くなったらしい。どう考えても待ち伏せしている。彼女は段々と恐怖を感じだしていた。そんな時、急に恋人扱いされ、先輩の友達に紹介されていき、先輩の友達4人とも恋人関係にされたらしい。携帯の番号などを変えようと思ったが、そのような一時的なしのぎではことを収めることはできないと彼女自身考えてしまい、ついには先輩方から、この関係を続けなければ彼女を5股をしている女だと校内で広めると脅しをかけられ、肉体関係を迫られているらしい。そして、高校に行くのが怖くなり、今まで部屋にこもっていたというのが事の流れである。
「・・・・」
何も言わず、花咲は神田を抱きしめた。神田は涙を流し、力強く花咲を抱きしめていた。
「さて、じゃあ解決策を考えますか。」
冷静に幸平はいった。
「とりあえず、情報を集めたいな。神田さん、5人の先輩方の情報はある程度わかるかな?」
「はい、名前とクラスならわかります。」
「まずは、相手を調べ上げ、そこから計画を練ろう、こんなことをした事に後悔させてやらないとな。」
「えぇ、そうね。」
「ひとまず、神田さんにはもう少し家にいてもらうよ。時期が来たら君にも力を借りることになるからね。」
「はい。わかりました。」
俺は神田さんに声をかけた。
「大丈夫、必ず俺たちがたすけだすから。」
そういって、神田さんの部屋を後にして、彼女の母親のところに向かい俺達から事情を話し、彼女には言ってない決意を言った。
「神田さんのお母さん、彼女の学歴を傷つける可能性があるかもしれませんが・・・・」
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